メニュー:2 月影スープ
森の中に佇む架空の食材を使った料理を出すレストラン「星の庭」。
星空が見える夜にだけ開店するそのレストランに、知らず迷い込んでくる様々な悩みを抱えた人達と架空の食材を使った料理が紡ぎ出す、心温まる物語。
森に深く分け入ると、優しい月明かりが差し込む夜道が現れる。その小道を、一人の若い女性が歩いていた。肩には重たいカバン、顔には疲れと困惑が浮かんでいる。彼女は医学生で、迫りくる試験や周囲の期待に押しつぶされそうになっていた。
ふと見上げると、月光が照らす場所にぽつんと佇む一軒のレストランが目に入る。「星の庭」という看板が揺れている。心引かれるように、彼女は扉を開けた。
店内は暖かく、ウェイターがにこやかに声をかけた。
「いらっしゃいませ。ようこそ、特別な夜のひとときへ。」
シェフも静かに頷き、彼女の様子を気にかけながら問いかける。
「何か、温かいものでもいかがですか?」
女性は小さく微笑み、ぽつりと口を開いた。
「何もかもうまくいかない気がして…。周りの人はみんな頑張っていて、私だけが取り残されているような…。」
シェフは考え込み、静かに言った。
「そんなあなたには、月影スープをお出ししましょう。心を温める特別なスープです。」
厨房では、シェフが月光ハーブと呼ばれる神秘的な葉を丁寧に選び取り、クリーミーで滑らかなスープを作り始めた。その香りは穏やかで、月の輝きを思わせる優しさに包まれていた。
「こちら、月影スープです。」
女性がスプーンを一口運ぶと、その柔らかい味わいがじんわりと広がり、張り詰めていた心がほぐれていくのを感じた。彼女は涙を拭いながら、
「こんなに温かい気持ちになったのは久しぶりです」
と呟いた。
ウェイターが微笑みながら言った。
「自分に優しくすることも、大切なことですよ。」
その夜、彼女の心には小さな希望の光が灯った。
-------------------------------------------------
月光ハーブ
月光を浴びて育つ神秘的なハーブ。光沢のある深緑色で、クリーミーなスープや料理の隠し味に使われる。食べると体がぽかぽかと温まり、心に穏やかな安らぎをもたらすと言われている。
月影スープ レシピ
材料
- 月光ハーブ(ほうれん草やバジルで代用可)
- 玉ねぎ 1個
- じゃがいも 2個
- 生クリーム 100ml
- チキンブイヨン 500ml
- 塩と胡椒 適量
手順
1. 玉ねぎとじゃがいもを小さく切り、鍋で柔らかくなるまで茹でる。
2. 月光ハーブを加えてさらに煮込み、ブレンダーで滑らかになるまで撹拌する。
3. 生クリームを加え、塩と胡椒で味を調える。
4. 温めて器に注ぎ、仕上げにハーブを飾る。