MISSION08 -鴉と亀-
惑星クリステラ、中央大陸。高度1000メートルの上空を機械仕掛けの黒い怪鳥が飛翔する。
「”ザイオン”領空、あと15秒で到達です」
「よし、機体コントロールを回してくれ」
「了解。操縦権限譲渡、自動操縦を解除します。…それにしても、やっぱり新型装備はわくわくしますね。新武器もいいですがこう云った装備は心が躍ります」
ロイドは今”トライスター・ヘビーメタル”からの依頼により”ザイオン・カンパニー”が保有する工廠への攻撃に向かっていた。
超長距離からの高速突破による電撃作戦。トライスターから回されたこの仕事は先の作戦で隙を見せたザイオン社を叩くために依頼されたものであり、同時にルプレリアを全身すっぽりと覆い包む黒い外装――長距離強襲用速度 強化外装、通称「R.A.V.E.N」と呼ばれる新型兵装のテストを兼ねた作戦である。
「オーヴァードブーストなんかよりもずっと速い! いやぁトライスターも太っ腹ですね」
「ルプレリアの機能の1つだろうに…まったく、暢気なやつだ」
鳥の格好をし、珍しいことに鼻息荒く興奮するプレリアを、ロイドは半ば呆れ混じりに笑う。プレリアも気付いていない訳ではないが、超長距離からの単独突撃を行うと云うことは、即ち通常の輸送ができない理由があると云うことである。
「ブリーフィングでは、ザイオンの工廠の新型兵器を破壊…だったな」
(ザイオン、か…マリアン絡みのネタか…? 彼女たちには特別な力がある。軍事転用しようとする可能性はあるはずだ)
ロイドは先日の救出作戦を思い出す――が、思索は思わぬ形で中断する事となる。
「光? ――ッ、緊急回避!」
操縦桿を引くと同時に視界が激しく揺れ、機体が素早く横へとスライド移動する。直後、蒼い光が外装を掠め、その表面を爛れさせた。
「うそ、反応無し!? 一体何が…!?」
「索敵範囲外からの砲撃か。熱い歓迎だな…!」
文字通り”予想外”の出来事に慌てるプレリアを余所に、ロイドはモニターを注視する。少しの間を空けてモニターが閃光を捉える。
先程よりは落ち着いた操縦で”砲撃”を躱す。2度の狙撃を経てロイドは確信した。
「狙われているな」
「索敵不能…ごめんなさい、システムでは反応できません!」
「わかっている。回避に集中する、落っこちるなよ…!」
R.A.V.E.Nは機体を高速で輸送する事に特化した兵装であり、火器の類を搭載していない。目標値までは一方的な攻撃に晒される事となる。当然撃墜されれば敵陣ど真ん中に孤立する事にもなる。ロイドの意識がモニターと、操縦桿を握る拳に集中する。機体の細かい制御はプレリアに任せ、回避行動は全て手動で行うことになったのだ。
(偏差射撃をしてくる上に間隔が短い…避け続けるのも難儀だな…)
「――来た、サイドブースター点火!」
「ひぃ、感知外からの攻撃はどうにもできませんー!」
「やかましいやつだな…!」
「おーたーすーけー!!」
絶え間なく撃ち込まれる光の砲撃、躱しきれなかった数発が怪鳥の装甲を抉るように削り取る。
「目的地まで、およそ90秒!」
「長いな…!」
「これでも飛ばしてるんですー!」
黒い翼が空を裂き、その影を閃光が貫く。真下の地上部隊が何事かと空を見上げ、鉄の鴉を撃ち落とそうと銃を構えるが、その姿は一瞬で遙か後方に掻き消える。捕捉はおろかプレリアからの報告すらもされない、文字通りの背景を流しつつ黒怪鳥は砲撃を躱しながら徐々に距離を詰めていき、20秒ほど経った頃――
「砲撃元特定! モニターに出しま…あれは…!?」
モニターに、異様な”影”が映り込む。光学ズームがさらに寄り、その姿を鮮明にする。
「でかいな…!」
それは巨大な建物、否”工廠そのもの”だった。格納庫、整備棟、冷却塔に通信アンテナ、それらがまるごとひとつの塊として組み上げられ――ゆっくりと、確実に”歩いて”いる。
全高は軽くメタルライナーの十数倍。基部には四本の巨大な脚が突き出し、地を踏むたびに土煙が爆ぜ、空にいても地鳴りが伝わるような錯覚と重圧感を覚える。一歩の歩幅は戦車数輌分はあろうかという距離で、見た目以上に速い。
「さしずめ機動要塞と言ったところか…まさか、こんなものを隠し持っていたとはな」
その装甲はまるで戦艦を打ち延ばして張り付けたかのように分厚く、艦橋のような構造体が最上部に鎮座している。その天辺に備えられた二連装の大型レーザーキャノン――先程から幾度となく青白い閃光を迸らせていたそれ――が、再びエネルギーのチャージを始め、金切り声のような高音を響かせる。
「なーんーでー要塞が歩いてるんですかー!?」
プレリアの叫びは最早悲鳴に近い。人型の機動兵器が戦場に出る現代戦においても、艦でもない建造物が歩行するなど前代未聞だからだ。
要塞の四方八方には砲座、機銃、ミサイル発射管が余す事無く配置され、まるで甲羅にびっしりと武器を生やした亀のような異形を形作っていた。高射砲が林立する一角には、まるで鋼鉄の群塔のように制御塔が並び、薄らと蒼い光の粒子を漂わせている。
「プレリア、茶番は終わりだ。恐らくこいつが今回の目標だろう」
「は、はいっ。ええと、ひとまずデータ照合…ダメです、情報ありません」
「無いなら無いで実地調査だな。撃たれっぱなしは趣味じゃない。さっさと解体しにかかるぞ」
「はい、『やられた分はやり返す』です!」
「…『それが傭兵の流儀だ』、よく覚えていたものだ」
いつぞやのセリフを返され、思わず苦笑するロイド。だが、今の間で2人の間にあった緊張が溶け、僅かな余裕すら生まれていた。
「攻撃する。プレリア、武器のチェックは済ませたな?」
「もちろんです、いつでも行けます!」
瞬間、モニターの隅に映し出される武装の数々。普段の取り回しを重要視した物とは異なり、手持ちの回転弾倉式グレネード・キャノンと大型の実体盾、両背の指向性散弾の重武装は、今回の作戦を前にトライスターからR.A.V.E.Nと共に供与された物だ。再度のチェックが済み、ウィンドウが消えると共にプレリアもいつの間に戦闘服のような格好に着替えていた。
「ロックオン反応確認、ミサイル多数!」
「帰りの”足”を失うわけにもいかん、分離する」
”怪鳥”の腹部装甲が開き、ルプレリアの姿が露わになる。同時に固定が外れ、機体が空中に投げ出された。飛び去る渡り鴉と対照的に、ルプレリアに向かい殺到するミサイルの群れを背面に展開したオーヴァードブーストですれ違うように躱す。敵の接近を受けて機動要塞”チェレパーハ”の各地に据えられた無数の対空機銃や砲台が火を噴き、凶弾を放つ。夥しい量の弾道予測線がモニターに映し出されるのを流し見しながらロイドは甲板となる部分を探す。
「気をつけてください、何か出てきました。ミサイル…違う、ドローン…?」
プレリアの警告通り、チェレパーハの各所のハッチから小型の砲台が射出される。銃座に制御用の羽と推進器を備えた、大きさとしては2メートル程とメタルライナーよりも遙かに小さい”それ”は僅かな停滞の後、ルプレリア目掛けて取り囲むように飛翔する。
「ただでさえ砲撃の嵐だというのにか…!」
ロイドがレバーを弾いた直後、ドローンのような砲台――後に”機動攻撃端末”と呼ばれる、親機と独立して攻撃する浮遊砲台――”クラーヴァ”が下部のレーザー・ライフルを斉射し、光の編み目を紡ぐ。
紙一重で躱したルプレリアを、機銃とミサイルが畳みかける。
「容赦なさ過ぎだろ…!」
「容赦なさ過ぎですー!」
ロイドの悪態とプレリアの悲鳴が重なる。視界を埋め尽くす攻撃にこのまま為す術無く撃ち落とされる――その直前。
――助けて。
「なに…?」
ロイドの脳内を駆ける、見知らぬ声。突然聞こえた”幻聴”に困惑するロイドだが、そんなことはお構いなしとばかりにその声は反響し、共鳴し、肥大化していき耐えがたい頭痛となってロイドを襲う。
――助けて。わたしはここにいるの! お願い、助けて! 私を、殺して!
「ぐ…ァ…っ!」
瞬間、ロイドの視界が蒼く染まり、時間が静止する。否、静止したかと見紛う程に時間の流れが遅くなっていた。依然として飛来するミサイルと弾丸。後方からはクラーヴァのレーザー弾も迫っている。際限なく早鐘を打つ鼓動に衝き動かされるように、気が付けばロイドの腕が機体を操っていた。
直後、ルプレリアの周囲をミサイルをはじめ幾発もの弾丸が通り過ぎ、残りの機銃を大盾が受け止めていた。
「な…ん、だったんだ…今のは…?」
「え? 当たってない? 今ので?」
困惑を露わにする2人。視界はいつの間にか元通りの色に戻っていた。その僅かな隙を衝き、一気に機体を要塞に肉薄させる。無数の対空機銃がルプレリアを睨むが――
「まずは一発返すぞ」
それよりも一拍早く、右腕のグレネード・キャノンが火を噴き、大口径の榴弾を放つ。迎撃の銃弾に先んじて炸裂した榴弾は、巨大な火球となって周囲の銃座を焼き払う。正面の安全を確保すると同時に砲撃の衝撃を利用して素早く振り返り、両肩に装備されたクレイモアの蓋が開く。そのまま放射状にばら播かれた、一粒一粒がごく小型の爆弾となる散弾が背後を狙おうと接近したクラーヴァ数機を「面」で打ち据え、爆散させる。
「たーまやー!」
「景気のいい武器だな…っ」
依然として幻聴が頭の隅に響く声に顔を顰める。脳に直接叫びつけるような慟哭には覚えがあった。感応現象と呼ばれるエーテロイド特有の能力であり、”彼女”のそれは死を願う叫びだ。
「ザイオンめ…何をした…?」
「え? ザイオンがどうかしましたか?」
ロイドの独白にプレリアが首をかしげる。ロイドの聴いた声はプレリアには届いていなかった。
「なんでもない」と返すとロイドは再びブースターを吹かして機体の高度を上げる。地上には護衛用の部隊が展開しており、なおかつ頭上のチェレパーハからの挟撃のリスクがあるからだ。無視できない勢いで目減りする推進剤の残量を流し見しするロイドの視界には、甲板とそこに飛び出たメタルライナーの姿が映る。
「数は2騎、ロックオンされています!」
「直掩か、押し通るぞ」
マシンガンの迎撃を盾で受けながら距離を詰める。緩やかな曲面装甲が銃弾を弾き逸らし、金属音を奏でる。迫る勢いのまま機体を回転させ、遠心力を加えて盾の先端による刺突を放つ。
踵が火花を走らせ、残る慣性が敵メタルライナーを僅かに浮かす。コクピットに深々と突き刺さった盾を引き抜くと同時に反時計回りに機体を旋回させ、マシンガンを躱す。
「クソッ、なんなんだこいつは!」
重苦しい装備とは裏腹に軽快な挙動で味方を屠った”敵”に、相対する兵士が悲鳴のような悪態をつく。再び大盾が機体を隠し、その影が迫る。
「くっ、近接戦用意!」
「了解、レーザー・アックスを起動します」
慌てて近接兵装を用意するが既に遅し。激しい衝撃がコックピットを思い切り揺らし、姿勢が崩れる。ACSですら処理しきれない、大盾による質量攻撃が機体を突き崩し、致命的な隙を生じさせた。
「は、早く姿勢制御を…ぐわっ!」
続け様に繰り出された後方回し蹴りがコックピットを真横から弾き飛ばし、踏ん張りきれなかった機体が甲板から空中へ放り出される。一拍遅れてブースターが作動し、墜落は免れたが直後チェレパーハのごく太い脚に蹴り飛ばされ、落ちた先は不運なことにその脚の下だった。
断末魔をあげる暇も無く踏みつぶされた敵機だが、ロイドは知る由もなければ興味を向ける事もない。追加のために開いたハッチに容赦なく榴弾を叩き込んで爆破しながら、迫り来るクラーヴァを叩き落とす。
「右腕武装、残弾50%。左右背武装、残弾20%です」
「キリがないな…!」
プレリアの報告と共にモニターに表示される警告にロイドの舌打ちが漏れる。相当数を撃ち落とした移動砲台だが、少し経てば次の個体がどこからともなく湧き出るかのように現れており所謂ジリ貧の様相を呈していた。以前にも増して響く叫びがロイドの意識を揺さぶり、焦りが浮かぶ。戦闘の合間に解析をプレリアにさせてはいるが、その結果が出るには今しばらくの時間を要していた。
――助けて/解放して/殺して/もうやめて!
何重にも重なる声。チカチカと青く点滅する視界に映る、『弾切れ』の表記。ロイドは自身の限界が近い事を悟る。残る兵装はグレネード1発と盾の杭打ち機構のみ。
――私は、ここ…ここに、いるの!
「――解析完了、お待たせしました!」
2人の声が重なる。視覚と直覚に同時に映し出される機械亀の心臓部。ロイドの瞳には俯瞰した要塞の図と動力制御ブロックを示すマーカーが、脳裏には遠視の如く”見える”、機械に呑み込まれるように繋がれた女性の姿がそれぞれ映る。
「視えた…! プレリア、心臓部を撃ち抜くぞ」
「は、はいっ!」
ロイドの瞳が薄らと蒼く光る。感応現象により感覚的な”線”が通り、ロイドは腹を括る。ルプレリアが右身を引き、盾を突き出す。横槍に放たれたレーザー砲撃がルプレリアの右腕を吹き飛ばしたが、構わず狙いを定める。
「エネルギー経路を機体反応炉に接続。電磁銃身展開、相対距離算出、距離340。姿勢制御を砲撃モードに移行――」
砲撃プロセスを順に読み上げるプレリアと手動で照準を合わせるロイド。瞬きすら忘れたように開かれた4つの瞳がそれぞれ目標を見据える。
「仮想チャンバー通電。バレル内電圧上昇。砲撃出力30…50…80…」
「照準よし。目標、敵制御部及び動力部」
「100…120…姿勢固定。ブレード固定解除、発射タイミング任せます!」
「射突式徹甲杭”破城槌”、発射!」
ロイドがトリガーを引く。
瞬間、蒼白い電流を走らせながら盾裏に備えられた杭が圧倒的な電磁力によって加速され、超音速の弾丸となって放たれた。その衝撃たるや姿勢を固定したルプレリアが僅かに後退し、射線上の装甲や内装一切合切を文字通りぶち抜きながら一直線に貫き、制御装置と動力部を消し飛ばす程である。
――ああ、これで、やっと。
先程までとは異なり、眠るように穏やかな声が、”彼女”の願いとロイドの目標の達成を報せる。
いつの間にか視界の青さも要塞に漂う蒼い粒子も消えており、糸の切れた操り人形のように”クラーヴァ”が墜落する。同時に行き場を失った膨大なエネルギーが亀の体内を駆け巡り、強烈なエーテリウム光となって彼方此方から噴き上がる。
「目標の破壊を確認。プレリア、動けるか?」
「なんとか、というところですね。おなかぺっこぺこです」
「R.A.V.E.Nを呼び戻せ…巻き込まれる前に…離脱するぞ」
紅く点滅する警告表示がルプレリアの損耗具合を表す。機体のエネルギーの大半を砲撃に充てたため、エネルギー残量はほとんど尽きかけの状態であり、激戦であった事を物語る。
吹き飛ばされた右腕を拾い、やっとの事で崩れゆく甲板を蹴って空中へ躍り出ると、丁度鉄の鴉がそれを包み抱えた。
「ドッキング完了。R.A.V.E.N、作戦領域を離脱します。お疲れ様でした、兄さん」
「…………」
「兄さん…?」
ロイドからの返事はない。不思議に思ったプレリアがロイドの顔をのぞき込むと、ロイドは意識を失っていた。
◇ ◇ ◇
「本当によかったんですか、ボス」
「…ああ。遅かれ早かれ、あいつはこの戦いに疑問を抱いていた。それが今と云うだけだ」
「報告書が上がりやしたぜ、ボス。…坊主は、やはり覚醒しかけていますぜ」
「“蒼く輝く瞳”…旧時代に、地球で発生したとされるエーテリウム適合体――“真のエーテロイド”か」
クリステラ、中央大陸・中立区域上空。側部を「14th」とペイントされた一台の大型輸送ヘリが紅の空を駆ける。その先端、遮光され暗い制御室の中でいくつもの声が行き交う。クラウスは送られてきた戦闘レポートを読み込みながら、かつて実在したとされる存在「ブルーアイ」について思考を巡らせる。
――旧い時代、人類が宇宙に上がる前の地球で偶発的に生まれた彼らは、類い希なる肉体能力を以て戦場を支配し、体内を蝕む結晶化によって短命を宿命付けられた新人類であると、各企業は嘯く。実態はエーテライトの光に被曝し、さらにそのエーテライトに適合し肉体が結晶化を引き起こした人間の変異個体である。
レポートには直接的な名称は挙がっていない――その存在が架空のものとされているからだ――が、その特徴は正しく「ブルーアイ」と呼ばれるものであり、ロイドは「ブルーアイ」に覚醒しつつあると云う。
「先の依頼でエーテロイドと接触したのが…いや、その前か。あれがあいつの分岐点だったんだろうな」
「…いいんですか、ボス」
「ボブは心配性だな、将来禿げるぜ?」
「抜ける毛も残ってないぞジョージ」
ヘリの中ではボブの心配とジョージの軽口が繰り広げられる。「14th」が結成されてから、幾度となく繰り返された遣り取りである。
「心配性だが、ボブの懸念は当たっている――ロイドは、いつか俺たちと敵対する」
「…巣立ちってやつですかい。ボスも物好きなもんで」
クラウスの口から発せられた将来の――そして確実に訪れる“結末”に、暫し制御室から声が消えた。
「思えば長いようで短い旅路でした、ボス」
「死に水を取らせるようで少し気が引けますがね、親孝行とでも思ってもらいましょう」
「ですが、彼を拾った時にはもう腹は決まっていた」
「今更ノーだなんて言いませんよ。降りる先もないですし」
回顧するボブに続いてクルー達が次々に決意を新たにする。ロイドとプレリアを除いた12名のクルーの意見は固まっていた。
「“ルプレリア”接近、収容要請受信しました。承認します」
「この作戦で“ザイオン”は相当な痛手を負ったようです。他の2社が見逃すでしょうか」
「既に“トライスター”は追撃作戦を検討しているようです。支配域の関係上“ヴィヴィアン”も狙うでしょうね」
「ルプレリア収容。“セーフハウス”に帰投次第補給と修復を行います。アルフレッド、手配を」
『こちら“セーフハウス”アルフレッド。オーダー受領、準備を開始します』
R.A.V.E.Nごとルプレリアを下部に繋留したヘリが「セーフハウス」へと向かう。現実味を帯びてきた、やがて訪れる訣別の時。だがクラウスの命によりそれをロイドに伝える事はない。