第七のドレス

6 街の囁き

ブティックのざわめきが背後に薄れ、エリーゼはリュミエールの霧に包まれた街へと足を踏み出した。日記を腕に抱え、ラファエルのスケッチが彼女の心の中で燃えていた。彼女は空気を必要としていた――あのトランクの鼓動、カミーユのおしゃべり、そしてラファエルの訪問が彼女に縫い付けた不安から距離を置きたかった。ウェディングドレスの騒ぎの後、そして今やコレットのカメラの出現後、彼女は自分が何につまずいたのかを理解する必要があった。

彼女のブーツが石畳にカチッと音を立て、その音は朝の霧の中で鋭く響き、不安定な心臓の鼓動のように沈黙を区切った。彼女はもっと深く、布を通して骨にまで染み込むような寒さにマフラーをきつく巻きつけた。リュミエールは彼女の周りに広がり、街灯は番人のようにちらつき、屋根は何世紀もの秘密を背負っているかのように沈んでいた。

彼女は市場広場へと向かった。声のささやきと荷車の音に引き寄せられたのだ。願いの泉がその中心に立っていた。石の円、苔むし、時の流れで風化し、トランクのものと似た微かなうなりを脈打っていた。エリーゼは立ち止まり、その深淵を覗き込んだ。水面は揺れ、風もなく波打ち、一瞬、彼女は顔を見た――彼女のものではない、女性の顔、太陽が蜂蜜を通して降り注ぐように金色のベールに覆われた顔――そしてそれは消えた。彼女は一歩後退し、脈拍が速まり、「目の錯覚よ」と呟いた。しかし、そのうなりは残り、彼女の骨髄を貫通し、ミラベルの手紙を思い出さずにはいられなかった。「彼が壊したものを直して」。

彼女は頭を振り、泉に戻ろうとしたとき、古いバラと忘れられた夏の香りがする、すり切れたガウンを着た、古代の震える女性が彼女の袖を掴んだ。

「お願い」と、その女性はかすれた声で言った。彼女のアクセントは濃く、フランス語だったが、何世紀も前のもののように、母音はタフィーのように引き伸ばされていた。「ドレスを――家に帰りたいのです。私は閉じ込められているの――あの亀裂から。彼がやったのです――あの灰色の男が。」彼女の目は年齢で白濁していたが、絶望で生きており、激しく動き、何かをエリーゼの手の中に押し込んだ。――かすかに「I」と刻まれた金のピンだった。それは手のひらに鋭く、鍛えられたばかりのように暖かく光り、願いの泉のうなりが急上昇し、息を呑むほどの衝撃が走った。「私を戻して――お願い！」

エリーゼは腕を振り払い、心臓は閉じ込められた翼のように高鳴った。「あなたは誰？　何の亀裂？」

「以前から――1700年代」と女性は囁き、言葉は棘に引っかかる布のように詰まった。「彼がそれを壊したの――金色の光で、そして私はここにいた。ミラベルは試みたけれど…」彼女は言葉を切り、古代の根のように絡まった指でスカートを掴み、エリーゼが彼女を止める前に、群衆の中に消えていった。

エリーゼはピンを見つめ、その「I」は内なる光で輝いていた――Felixの話に出てきた名前、Isabelle？最初のバランサーが、「灰色の男」によって壊された？ラファエルの灰色のコートが彼女の心に浮かび、トランク、彼のスケッチの金色の糸を見た彼の目。彼女の現実的な壁はさらにひび割れ、肉屋の話、コレットの非難、そしてこの女性の懇願が、まだ読めないタペストリーのように一緒になった。彼女はピンをポケットに入れ、その重さは彼女の腰に冷たく、そして泉を見た――その水面は再び波立ち、ベールに包まれた顔が水面下でちらつき、そして夜明けの霧のように消えた。そのうなりは、彼女の呼吸に同期して脈打ち、それがどこで終わって彼女が始まるのか区別できなくなり、石畳は輝き始めた――馬はそこにない石の上をガタガタと歩き、そして沈黙に戻った。

「これは幻想？ これは真実ではない？」彼女は非常にショックを受け、それが馬鹿げていると思った。

彼女は背を向けてそれを無視しようと決心し、血まみれの大きなエプロンをしたがっしりとした男とほぼ衝突した――肉屋だと彼女は推測した。彼のベルトに付いている包丁と、第2の皮膚のように彼に付着している鉄の匂いから。

「お前だな」彼はそう言い、洗練されていない木のように荒々しい声で、目を細めた。「ミラベルの血筋。お前が戻したんだって言ってるよ――願いを、あの騒動を。」

エリーゼは硬直し、懐疑心が彼女の口調を針のように鋭くした。「私は何も持ってきていません。私はブティックを売っているだけで、経営しているわけではありません。」

彼は鼻を鳴らし、エプロンで手を拭き、傷のように赤色の筋を残した。「あの花嫁にそう言ってくれよ――見知らぬ人と駆け落ちしたんだ。昔と同じように。」彼の声はささやきに下がり、畏敬の念と恐怖が混じり合った。「ミラベルはいつも、灰色の男が来るまで、物事を直していたんだ。何十年も前、亀裂が私たちを分ける前に、彼を追放したんだ。」

「灰色の男？」エリーゼは息を呑んだ。ラファエルの灰色のコートが彼女の記憶に閃いた――灰色の男――彼は再び試すだろう。「彼は誰だったの？」

「名前は知らない」と肉屋は言い、その話が聞こえるかもしれないかのように泉を見た。彼の姿勢は硬直した。「ずるいやつ――ドレスを欲しがって、いつも周りをウロウロしていた。そしてある日、道が割れ、人々が消えたんだ――至る所に金色の光が。彼女は彼を追い払ったが、何かを壊したんだ。それ以来、ずっとおかしいんだ。」彼は頭を振り、「気をつけろ」と呟き、姿を消した。エリーゼはその後に見つめ続けた。彼の言葉の重みが霧の中にぶら下がっていた。

彼女の心は高鳴った――ラファエル、「灰色の男」、亀裂に繋がっている？ウェディングドレス、彼のスケッチ、トランクのうなり――すべてが偶然であるはずがない。彼女は日記をきつく握りしめ、その重みは街の奇妙さに対するつながりであり、声が霧を切り裂いた――シャープで、毒に浸した刃のように鋭い。「エリーゼ ・モロー」。彼女は振り返ると、コレット ・ボーモンが歩いてくるのを見つけた。ブロンドの髪は鋭い帽子の中で輝き、カメラは武器のように首にかけられていた。批評家の目は1月の霜のように冷たく、唇は何か酸っぱいものを味わうように歪められていた。「あの遺物のような店で、あなただと分かっていましたわ。」

「コレット、何が欲しいの？」エリーゼはそう尋ねた。彼女の口調は描かれた鋼のように平坦だった。彼女はパリでのこの女性のレビューを回避していた――彼女の最後のコレクションの失敗はほぼニアミスであり、そして今、ここにいたのだ、リュミエールの霧の中に、血の匂いを嗅ぎつけるサメのように。

コレットの笑顔は薄く、捕食的で、目に届いていなかった。「答えよ。あなたは呪いを復活させているのでしょう？あのウェディングのスタント――純粋なミラベル、そして純粋な詐欺。」彼女の声は硬くなり、マニキュアされた指の間でカメラのストラップがねじれた。「写真を見たわ――あのブティックの周りで光が生きているように曲がっていたわ。私の兄は――」彼女はためらい、顎が滑らかな肌の下で筋肉が跳ね上がるまで硬直した。「彼女のドレスのせいでいなくなった。タイムループって言うの――もう10年よ。あなたは彼女が去ったところから引き継いでいるのよ。」

エリーゼの胸は締め付けられ、怒りが彼女のあばら骨の下で熱く燃えた。「私は何も復活させていません。私はドレスを1つ縫っただけ――おまけよ。もしあなたの兄がいなくなったなら、それは私のせいではありません。」

「嘘つき」コレットは息を切らせた。彼女は近づき、ジャスミンの香りが、もっと鋭いものと混ざり合った――たぶん絶望だ。「リュミエールは騒いでいるわ――願い、失踪――すべてあなたが現れてから。私はあなたを暴露するわ、モロー――あなたが彼女と同じで、偽物であることを証明するわ。」

群衆は静まり返り、風向計のように頭が旋回し、エリーゼは彼らの目を感じた――警戒し、非難し――肉屋がそうであったように。「写真を撮って、出て行って」彼女はそう言った。声は低く危険だった。「私はあなたの話ではありません。」

コレットの視線は火打石のように硬くなった。「ああ、あなたはそうよ。わかるわ。」彼女は振り返り、カメラが彼女が後退するときにフラッシュし、その音は広場での銃撃のように響いた。エリーゼは息を吐き出し、彼女の反抗にもかかわらず、疑念が忍び寄った。コレットの兄――カミーユの母親のように、別の犠牲者？

「もうたくさんだ」彼女はそう呟き、ブティックに向き直った。彼女は街の狂気を解き明かすのではなく、探求しに来たのだが、リュミエールは彼女に中立でいることを許さなかった。群衆の囁きが続いた――「ミラベルの血筋」、「再び呪われた」――そしてコレットのカメラは遠くからフラッシュし、獲物を狙う捕食者が周りを回った。