表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
第七のドレス  作者: 光翔
24/27

24 魔法の解放

エリーゼは地下室の扉の前で躊躇していた。手に握られた7着目のドレスは、その黄金の糸が、まるで静めることのできない心臓の鼓動のように、彼女の肌に響いていた。ブティックの空気は彼女の背後で脈打ち、トランクの唸り、そしてステンドグラスの光が明滅し、金色が影の中を落ち着きなくうねる波のように織り込まれていた。


ラファエルの声が彼女の心にこだまし、静かな説得力が込められていた。「私と一緒に来てくれ。開けて。彼女を連れ戻して。」彼の懇願は、フェリックスの必死の警告、難民たちの自由を求める叫び、そしてイザベルの黄金のピンの重みと衝突し、それは彼女のポケットの中で、彼女のそばにある日記と共に脈打っていた。外では、リュミエールが震え、ラファエルの増大する嵐によって分断され、エリーゼは、見えない糸のように、彼女を前方に引っ張る黄金の裂け目の呼びかけが、彼女を締め付けているのを感じることができた。


彼女は鍵を回し、金属が彼女の指の下で冷たかった。地下室のドアが大きく開かれ、ブティックが歪み、空気が黄金の光で輝いた。絹は見えない骨組みを覆う水のように垂れ下がり、変化し、ほどけ、再び形作られた。マネキンがねじれ、その木製の唇が過去から盗まれた声で動いた。


イザベルの声がそれらすべての上に響き渡り、黄金のベールをまとった彼女の姿は、見え隠れしていた。「直して」彼女は懇願し、その手は縁がほつれた7着目のガウンを織り上げていた。「七つの前に六つ。時が壊れる。灰色の手がほどく」


カウンターが移動し、その場所に織機が形成された。イザベルが織り上げ、ラファエルの影が彼女の背後に迫ると、黄金の糸が切れた。一瞬が引き伸ばされ——何世紀もの時が一息に圧縮された——彼女のバランスが崩れた時。エリーゼは手を伸ばしたが、幻影は砕け散り、物言わぬ静かな見張りのマネキンだけが残った。「直して」その言葉が彼女を貫き、各音節は彼女の胸を締め付ける一針のようだった。


彼女の側で鋭い息遣いが聞こえた。カミーユがそこに立っており、彼女の継ぎ当てのコートが揺れ、畏敬の念と切迫感が彼女の瞳に燃えていた。「彼女がここにいる」彼女はささやいた。「イザベルの警告よ。七つ目はあなたのもの——下で直して」


エリーゼのドレスを握る手に力がこもった。それは彼女の手のひらに向かって脈打ち、その唸りは彼女の心臓の鼓動のリズムと一致した。「ラファエルが何かを壊している」彼女はつぶやいた。「感じたの」


彼女が動く前に、ブティックのドアが勢いよく開かれた。冷たい空気が内側に巻き込み、湿った石と真夜中の風の香りを運んだ。


コレットだ。


彼女のブロンドの髪はスカーフの下に押し込まれ、その鋭いコートは薄暗い光の中でくすんでいた。彼女のそばにあるカメラは動かなかったが、その目は静かで危険な決意に輝いていた。彼女は、真夜中の青い絹で覆われたマネキン——デュヴァル夫人の未完成のガウン、第二の鍵——に向かって歩いた。


「コレット」エリーゼの声が静寂を切り裂いた。彼女は一歩踏み出したが、コレットの手の方が早かった。彼女の指の間に金色がちらつき、彼女がドレスの破片をむしり取り、それを自分のコートに押し込んだ時。


「さらなる証拠よ」コレットの声は怒りに満ち、盗まれた破片の周りで彼女の指関節は白かった。「あなたはそれを壊している、タイムウィーバー。私の兄が囚われている。ラファエルはこれを必要としているの」彼女の目はひらめき、鋭い非難で満たされていた。「舞踏会であなたを終わらせるわ」


エリーゼは飛び出したが、コレットは身をかわし、その薄いほほえみは捕食者のようだった。「彼はそれを弱めるでしょう。裂け目は彼のものよ。あなたはおしまい」彼女は振り返り、夜に飛び出し、ドアは背後でバタンと閉まった。


ブティックは周囲でため息をつき、喪失を感知したかのように震えた。盗まれた破片は不在を残し、壊れやすく、重要な何かが縫い目からほどけていた。


カミーユはエリーゼの腕を掴み、その声は激しかった。「彼女は彼を助けている。灰色の手。七つ目はあなたのもの——下で彼を止めて」


ステンドグラスの光が燃え上がった。トランクがドスンと音を立てた。壁が震えた。黄金の裂け目が彼らの下で脈打ち、待っていた。


外で新たな音が上がった——叫び声、金属の鋭い音。エリーゼは窓に駆け寄り、割れた色を通して覗き込んだ。下の広場では、時計職人のオルロージュがそびえ立ち、その時計仕掛けのバッジが薄暗い光を捉えていた。彼は手を上げ、その声は揺るぎなく、命令的だった。


「守れ」彼は叫んだ。「時計台は立たなければならない。彼はそれを壊している——彼の嵐はリュミエールを引き裂くだろう」


ボロボロの1700年代のコートを着た難民たちが彼の後ろに立っており、その目は決意に燃えていた。間に合わせの武器が彼らの手の中で光った。彼らは塔に向かって移動し、嵐雲が遠くに巻き込まれる中、その入り口を封鎖した。


エリーゼの胃がねじれた。「塔を守れ。私たちを解放して」その言葉は、ラファエルの迫りくる嵐、フェリックスの必死の叫びと対峙し、こだました。コレットの窃盗は裂け目を弱めていた。時が彼女が恐れていたよりも早くほどけていた。


彼女の背後でゆっくりとした軋み音がした。ブティックのドアが再び開いた。


レノア夫人が中に入ってきて、その銀色の髪はきつく留められ、その節くれだった手は杖を握っていた。彼女の灰色の瞳は、古い後悔に覆われ、エリーゼに着地した。


「あなたがここに」レノアの声は低く、震えていた。「後継者。裂け目は開かれている。灰色の手が壊している」


彼女は躊躇し、それからエプロンに手を伸ばし、繊細な「I」の文字が刻まれた小さな真鍮の指ぬきを取り出した。それは彼女の手のひらに向かってかすかに唸り、エリーゼがほとんど聞くことができるほどの力で脈打っていた。


「これはイザベルのものだった」レノアはつぶやいた。「彼女はこれを使って時を織った。彼女はそれをミラベルに与えた。それから私に。今、あなたに」


彼女はエリーゼの手に指ぬきを押し付け、その指が彼女の指を包み込み、声は後悔に満ちていた。「私は彼を助けた。私は六つ目を作った。灰色の手は私のものだった。彼のやり方を終わらせないで。あなたのやり方で直して」


指ぬきはエリーゼの肌に温かく触れた。彼女はそれが彼女の中に落ち着き、彼女を下の黄金の裂け目に結び付けているのを感じることができた。「あなたのやり方で直して」


7着目のドレスが彼女の握る手の中で脈打った。黄金の糸が輝いた。イザベルのピンが彼女のポケットの中でドキドキと音を立てた。下の裂け目が彼女を呼んだ。


カミーユの声は激しかった。「指ぬき。ピン。ドレス。あなたのもの。下へ。ママを救って。彼を止めて」


エリーゼはゆっくりと息を吐き出した。黄金の唸りが彼女の中で一直線に並び、すべての糸が同じ見えないパターンに向かって引っ張られた。


「彼が弱めている」彼女はつぶやいた。「コレットの破片。下へ」


窓の外では、オルロージュの人々がその場に立っていた。コレットは不可欠な何かを盗んだ。レノアは彼女にかけがえのないものを与えた。ラファエルの嵐が都市の端に集まり、時の最後の縫い目をほどいていた。


エリーゼは7着目のドレスを握りしめ、黄金の糸が彼女の指の間でささやいた。「直して」


彼女は地下室の階段に向き直った。裂け目が下で脈打ち、待っていた。ブティックが震え、鏡が波打ち、影が動いた。イザベルの手が縫っている。それから彼女の手が。


一呼吸。一歩。ヒールの音が彼女を安定させ、後継者が彼女を導いた。


そして彼女は、黄金の裂け目の中心へと降りて行った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ