21 黄金の糸
エリーゼはトランクの傍らにひざまずいた。その唸りが床を震わせ、真鍮の錠前の光る縁を指でなぞるたびに、震えが腕を伝わってきた。傍らには日記が開かれており、インクで書かれた文字がステンドグラスの窓から差し込むちらちらとした光をとらえていた。嵐の残響がまだ彼女の心に残っていた──ラファエルの影のある姿がコレットの破片を操り、リュミエールを引き裂いている。通りは緩んだ糸のようにずれ、人々は震えるブティックの壁の外に閉じ込められていた。
頭上の光が脈打っていた──金色の糸が影を縫うように、まるで心臓の鼓動のようなリズムで。手のひらのマーケット・スプールは微かに光り、金色の斑点が散りばめられた暖かさが、解き放たれる時間の重みに抗うように彼女を支えていた。マリー=クレールの告白、フェリックスの終わりのないループ、堕落した第六の鍵──そのすべてが、もはや否定できない役割へと彼女を縫い付けていた。彼女は後継者なのだ。そして、リュミエールを滅ぼすというラファエルの誓いが、沈黙の中に囁き続けた。それは、決して断ち切られることのない破壊の糸だった。
彼女の視線は、遠くの隅にあるマネキンをとらえた。その色あせたシルクが金色の光を反射していた。何かが彼女の感覚を引っ張った──目に見えない縫い目、可能性の囁き。彼女は近づき、指でその土台にあるほとんど認識できないパネルを撫でた。細い金色の糸がそれを封印しており、完璧に縫い込まれているため、気づかれなかったのだ。触れた瞬間、唸りが鋭く、執拗に押し寄せた。躊躇なく、彼女はそれを引っ張った。糸は滑らかな動きでほどけ、中に折り畳まれたガウンが現れた。
純粋。時を経ても変わらない。
7番目のドレスが彼女の手の中で広がり、金色の糸で縫われた螺旋がすべての縫い目を駆け巡り、きらめいていた。生地が彼女の指に押し当てられ、その魔法が空気を掻き立てた。彼女は息をのんだ。それは、真実の鏡に映し出されたイザベルの未完成の7番目のドレスと同じものだった。
「第七の鍵」彼女は囁き、声は震えていた。イザベルの言葉──6の後に7が来る──が彼女の心にこだまし、予言の警告を縫い合わせた。時間を癒し、散らばらせると。
突然の息を吸う音に、彼女は振り返った。カミーユが戸口に立っており、継ぎ当てのコートを揺らしながら、その光景を目の当たりにしていた。彼女の目は驚きに大きく見開かれた。
「見つけたのね」彼女は息を弾ませ、駆け寄ってきた。「第七の鍵。金色の糸。ママが閉じ込められている。これだ!」
エリーゼはガウンを強く握りしめた。後継者としての重みが彼女の肋骨を圧迫していた。「本物だ」彼女は囁いたが、カミーユを納得させているのか、自分自身を納得させているのかわからなかった。しかし、彼女の手は安定しており、金色の縫い目をなぞっていた。彼女の心は過去と現在を繋ぎ合わせていた──イザベルの織機、ミラベルの戦い、ソフィーの最後の願い。
トランクが低い共鳴音を立て、その光が強まり、真鍮の縁が下の亀裂の縫い目のように脈打っていた。頭上のステンドグラスの光が燃え上がり、金色の糸が空気中を静かなメッセンジャーのように織り成していた。
ドアが再び軋む音を立てて開き、冷たい風が巻き込んできた。フェリックスが郵便配達員の帽子を斜めにかぶり、一枚の封筒を握りしめながら入ってきた。
「最後の一通だ」彼はつぶやき、それを彼女に突き出した。彼の声は低く、切迫していた。「ミラベルの最後の手紙。10年前に投函された。今まで配達ルートに引っかかっていた。時間の歪みが悪化している」
エリーゼはそれを受け取った。そこにはミラベルの慣れ親しんだ筆跡で彼女の名前が走り書きされていた。心臓が高鳴り、彼女はそれを破り開いた。
場所は下。地下の裂け目。黄金の心臓。そこで繕え。彼は壊している。灰色の手が無限に広がる。
彼女は息を詰めた。フェリックスの警告──下、黄金の裂け目──が、マリー=クレールの──裂け目が彼女を連れ去った──そしてラファエルの──下で開け──と絡み合っていた。部屋の奥のカーテンがはためき、その向こうに地下への階段が暗闇の中にそびえ立っていた。
「地下室」彼女は呟いた。「裂け目はそこにある」
フェリックスは顔をしかめて頷き、彼の視線はトランクにちらりと向けられた。「ああ。彼女は彼と戦った。10年間。下で。黄金の裂け目。みんな閉じ込めた──イザベル、ソフィー、私。今はもっと悪い。時計台。嵐。灰色の手がそれを壊している。彼を止めてくれ」彼は躊躇し、目が彼女の手の中にあるガウンにちらりと向けられた。「お前が彼女だ。後継者。そこで繕え」
「後継者」という言葉が彼女の中に脈打ち、もはや否定できない運命へと彼女を縛り付けた。彼女は日記に目を向けた。第六の鍵。 金は堕落していた──その糸は汚染されており、まるでラファエルの血まみれのドレスのようだった。
彼女はデュバル夫人の未完成の注文からエメラルドグリーンのシルクの端切れに手を伸ばし、マーケット・スプールが手のひらの中で温かくなっていた。カミーユの声が霞の中から響き渡った。
「整列させて」彼女は激しく、確信をもって促した。「中和して。第六は彼のもの。第七はあなたのもの。地下で彼を止めて」
エリーゼは躊躇した。「時間を癒す」という言葉が彼女の中にこだました。しかし、彼女の手はそれでも動き、金色の斑点が散りばめられた糸で針を通し、エメラルドグリーンのシルクを第六の鍵の堕落した縫い目に縫い込んでいった。衝撃が彼女の指を駆け抜け──暖かく、鋭く──金色の光が輝き、彼らの周りの空気が濃くなった。
幻影が咲いた。
ミラベルが下の裂け目に立っており、金色の光が彼女の針から放射され、ラファエルの堕落した第六の鍵を突き刺していた。彼の血塗られた金がほどけ、暗黒の魔法が染み出し、彼は呪い、影の中に退却していった。「お前はすべてを壊すだろう!」彼女は叫び、声はかすれていた。しかし、彼女の縫い目はしっかりと持ちこたえた。金色の糸は安定して光り、彼が織り上げた破滅を中和していた。彼女の目はエリーゼを見つけた──鋭く、切迫していた。「繕え」そして彼女は消え、幻影はすぐに切りすぎた糸のように消え去った。
エリーゼは息を呑み、針が指から滑り落ちた。トランクが再び深い、執拗な音を立てた。壁が震えた。
「ミラベル」彼女は呟き、シルクの端切れを握りしめた。時の破壊者は清められた。汚染はなくなった。
カミーユの手は興奮で震えていた。「やったわね! 第六の鍵──彼のものを中和した。次は第七」
「彼女は彼を止めた」エリーゼは囁き、7番目のドレスに戻り、金色の糸が彼女の手の中で震えている。「しかし、彼はまだ壊している」
ブティックが彼らの周りで震え、唸りが足元で深まっていた。頭上のステンドグラスの光がちらつき、金色のフィラメントが空気中を命綱のように縫い合わせていた。マネキンの頭が不気味なほど一斉に傾き、沈黙した視線が彼女に注がれていた。シルクがざわめいた──囁き、警告。あるいは、ミラベルの針が、まだ時を超えて縫い続けているのかもしれない。
エリーゼは第七のドレスを持ち上げた。その金色の糸が彼女の指の間を織り成していた。カーテンの向こう、地下への階段が暗闇の中に伸び、黄金の裂け目が下で脈打っていた。
「彼はそこにいる」彼女は呟き、日記を強く握りしめた。「嵐を利用している。コレットの破片を」
フェリックスは落ち着きなく身をよじり、すでにドアの方へ移動していた。「そこで繕え」
カミーユの目は輝き、確信に満ち溢れていた。「第七はあなたのもの。下で。黄金の裂け目。彼を止めて」
ステンドグラスの光が再び燃え上がり、金色の糸が命綱のように空気中を縫い合わせていた。鏡が波打ち、反射が変化した──イザベルの手が縫い、そして彼女の手が縫っている。「繕え」
エリーゼはトランクに手を押し当てた。衝撃が彼女の腕を駆け上がり、暖かく、鋭かった。唸りが深まった。ブティックが震えた。
「カタログは明日」彼女は震えの下にもかかわらず、安定した声で言った。カミーユは鋭く頷いた。フェリックスは口ごもりながら抜け出し、嵐の中に消えていくこだまのように「そこで繕え」という言葉が薄れていった。
エリーゼは第七のドレスを握りしめた。後継者。時間を癒す。それを散らばらせる。黄金の裂け目が下で待っていた。そして、もう後戻りはできなかった。