行こうぜ、ランマル!
チャッピーの脱走とほぼ同時刻。
場所は移り、マサトの実家――
「マサトー。マサトー!」
朝からマサルの母親が、彼の名を連呼している。
「あんた受験勉強は? 今年受けるんでしょ? 勉強してるー? どこ行くか決めたのー? はやめに動かないと間に合わなくなるわよー! 聞こえてるー? マサトー?」
一方的でわずらわしい問いかけの嵐に、マサトはたまらず大声を上げて応えた。
「うるさいなあ、聞こえてるって! 前も言ったけど! 俺は”アニモマイスタ”として食っていくから、受験は受けない!」
アニモマイスタとは、アニモファイトのようなアニモを使った競技の公式試合に出場し、その報酬を得ることで生計を立てるプロトレーナーのことを言う。
マサトのこの返しに、母親は呆れたような反応を示す。
「あんたねえ、まだそんな夢みたいなこと言ってるの? マイスタになれるトレーナーなんてほんっっの一握りの人だけなんだから。それに安定した仕事でもないし。普通に働いた方が楽よー」
「知ってるよ、そんなことくらい! それを知った上で目指してるんだ!」
「じゃあ、もう大会の受付に入ったの? もうすぐ締め切りだけど」
「......あーもう、うるさいなあ。俺はこれからなんだよ! おーい、ヒナ! 練習しに行くぞ!」
「ヒナなら今日は出かけてるわよー」
「ん? なんだ、いつも暇そうにしてるくせに今日に限って......。まあいいや。行こうぜ、ランマル!」
「......ピイ!」
「あ、こら!」
母親の制止を振り切り、マサトはランマルーーと名付けられたとアニモ、ウィーゼともに外へ飛び出していった。
母親は打つ手なしといった感じでため息をつき、一人呟いていた。
「はあ、これ以上、親が何言っても駄目ね。あとは、あなたに任せるわ......」
数時間後。日課のトレーニングを終えたマサトはいつものように公園の対戦エリアに赴いた。
「さあ、今日は誰と戦おうかな......」
「......」
「ん? どうかしたか? ランマル。体調悪いのか?」
「......! ピイピイ!」
何でもないと言いたげにランマルは応えた。
「大丈夫そうか? よかった! よし、いくぞ!」
ちょうど対戦エリアには、マサトと同じように相手を探している中学生集団がいた。
マサトは迷わず声をかけ、彼らに勝負を仕掛けた!
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