ちゃんとグングニルになっているね。
ゴーレム馬と木馬で一時間ほどで、ケルベロス迷宮に辿り着いた。
そう、ここのラスボスはケルベロスである。
第五階層まで進んでそれっきりだったが、今回は最下層までガンガン進もうと思う。
私たちもドレイク迷宮を攻略して、レベルアップしているから以前より強くなっているはずだからね。
今日は第二十階層まで進もうかと思う。
その後は街に戻ろう。
拠点を本格的に迷宮に移す前に、師匠に挨拶をしておきたい。
鍛冶場なら城の近くに用意できるし、鋼のインゴットもDPで出し放題だ。
さてケルベロス迷宮はドレイク迷宮よりやや難易度が高い。
しかし低階層で私たちの障害となる雑魚はもとより、中ボスでさえも弱い。
夕方になるまでに第二十階層を突破して、転移魔法陣で地上に戻る。
冒険者ギルドに寄って、迷宮品と剥ぎ取り品を売却。
迷宮品はDPを消費して出せるから、お金の方が欲しいのだ。
あと地図を買い忘れていたので、購入しておく。
地味に迷って時間かかったからね。
宿に戻ってから、ステータスを確認する。
お、ダンジョンマスターのレベルが21になっている。
スキルが増えるぞ。
【?】の文字がグルグル回る。
新しいスキルは?
【迷宮帰還】だ。
どうやらどこからでも自分の迷宮に帰還できるというスキルらしい。
便利だな……。
転職を起動する。
《【転職】
ダンジョンマスター(レベル21)
ノーブル(レベル10)
ファイター(レベル24)
スカウト(レベル33)
フェンサー(レベル29)
ランサー(レベル27)
グラップラー(レベル31)
プリースト(レベル20)
メイジ(レベル22)
ブラックスミス(レベル35)
アルケミスト(レベル26)
マーチャント(レベル1)
メイド(レベル1)
トリックスター(レベル28)
バード(レベル1)
テイマー(レベル1)
ウォーロード(レベル1)
カースドナイト(レベル1)
アサシン(レベル21)
チャンピオン(レベル20)
ビショップ(レベル1)
ウィザード(レベル22)
セージ(レベル24)
サモナー(レベル26)
ネクロマンサー(レベル1)
パペットマンサー(レベル1)
パラディン(レベル1)
モンク(レベル1)
ルーンナイト(レベル22)
ハーミット(レベル2)
エンペラー(レベル20)》
おや、下級クラスにテイマーが増えている。
魔物を配下に加えたのが条件解放に繋がったのだろうか。
ただテイマーは確か、迷宮の魔物には無効だったような気がする。
しばらく迷宮攻略に専念したいから、テイマーは後回しだ。
せっかく国を興したのだから、ノーブルのレベルを上げよう。
《名前 クライニア・イスエンド
種族 人間 年齢 15 性別 女
クラス ノーブル レベル 10
スキル 【日本語】【レクタリス地方語】【算術】【礼儀作法】【宮廷語】
【全属性魔法】【闘気法】【練気】【仙術】【錬金術】【魔法付与】
【鍛冶】【量産】【剣技】【剣術】【槍技】【槍術】【二刀流】
【多刀流】【武器伸長】【素手格闘】【投げ】【関節技】【気配察知】
【罠感知】【罠設置】【鎧貫き】【魔力制御】【魔法範囲拡大】
【魔力自動回復】【同時発動】【多重魔力腕】【消費魔力軽減】
【魔法武器化】【魔力強化】【怪力】【俊足】【幸運】【福音】
【光翼】【創世神信仰】【シャルセアとの絆】【ルマニールとの絆】
【ヨルガリアとの絆】【迷宮管理】【迷宮帰還】【経験値20倍】
【熟練度20倍】【転職】》
ミアラッハのステータスも確認しておく。
おや、ランサーがレベル50になっている。
ということは、上級クラスが解放されているはずだ。
明日は神殿でクラスチェンジを行う必要がある。
翌日、朝早くに宿を引き払って、神殿に向かった。
ミアラッハのクラスチェンジのためだ。
候補から上級クラスのグングニルを選択する。
その後、ミアラッハのステータスを確認。
《名前 ミアラッハ・ブライナー
種族 人間 年齢 16 性別 女
クラス グングニル レベル 1
スキル 【レクタリス地方語】【算術】【礼儀作法】【宮廷語】【再生】
【槍技】【槍術】【葬槍】【回避】【闘気法】【縮地】【空歩】
【魔法斬り】【馬術】【製菓】【醸造】【魔槍召喚】》
「うん、ちゃんとグングニルになっているね」
「ほんと? やった!!」
喜ぶミアラッハ。
そりゃランサーをコツコツとレベル50まで上げたからねえ。
さて師匠のところへ挨拶に行く。
土産はないけど、まあ許してくれるだろう。
ミアラッハを店内で待たせて、鍛冶場に入る。
「師匠、おはようございます」
「ん? なんじゃ今日は早かったのう」
「実は師匠にお別れを告げに来たのです」
「な、なんじゃいきなり?」
「実はですね。私、ダンジョンマスターになったんです」
「なんじゃそれは?」
「迷宮を作成・管理するクラスでして、今、新しく作った迷宮で国を興している最中なんですよね。拠点をそちらに移すので、この街には滅多に来ることがなくなるんです」
「な、なにぃ!? なんじゃその面白そうなことは!!」
「面白そうですかね? 結構、大変なんですけど」
「迷宮で国を作る……凄く、面白そうじゃないか?」
「師匠が面白いと思うんなら、そうかもですね」
「よし、わしも行くぞ。その迷宮の国に」
「え? 師匠、店はどうするんですか?」
「たたむわい。どうせろくに客も来ないしな」
ええ……。
ローレッタとか困るんじゃないの?
「ちなみに今いるお客さんってどのくらいなんです?」
「そうさな、金ランクの冒険者が四人といったところか」
少なっ!?
そりゃこの街に未練もないだろうさ。
とはいえ今の四人のお得意様が困るのは目に見えている。
師匠に迷宮までの簡単な地図を渡す。
「四人のお得意さんに引越し先を伝えたら、師匠も来ていいよ。あ、引っ越しのときは私が〈ストレージ〉で荷物を運ぶから」
「そうじゃな。そうするか。おお、そういえばヒルダにも声をかけた方が良いのじゃないか? あれも常連はうちの四人しかおらん」
「そうですか。じゃあ、一応、挨拶していきますね」
そうだね、お世話になったし、ヒルダさんにも挨拶しておくべきだよね。
「ところで……」と師匠がふたつの鉢金を差し出してきた。
赤みを帯びた金属、ヒヒイロカネが使われているらしいことはすぐに分かった。
「お主らの頭部を守る装備じゃ。ヒルダの奴と共同で作ってやった」
「貰っていいんですか?」
「もちろんじゃ。触ったことのない金属じゃったから、楽しめたわい。ハッハッハ!」
ありがたく頂く。
結果、ヒルダさんも「なにそれ面白そう」「ハーキムが行くなら私も行く」と言い出した。
ドワーフは迷宮に国を作るのが面白いと感じるらしい。
その感覚はよく分からないけど、一流の職人がやって来るのは素直に嬉しい。
目抜き通りに武器屋と防具屋を設置しておこう。
それはそれとして、ケルベロス迷宮の攻略の続きだ。
乗合馬車に乗って、迷宮に向かう。
今日は第二十階層からスタートして、第四十階層まで突き進む予定だ。
ミアラッハにも鉢金を渡した。
じゃあ張り切っていきましょう。