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「ステータスバグで人生が終わった!!」と思ったら前世の記憶が蘇り日本語で書かれたチートスキルを入手したご令嬢の冒険譚  作者: イ尹口欠
迷宮攻略編

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迷宮さん大盤振る舞いすぎるなあ。

 今日は師匠のもとで鍛冶だ。

 クラスを忘れずにブラックスミスに変えておく。

 

「おお、クライニアか。冒険は順調か?」

 

「うん。解体ナイフも調子いいって」

 

 ミアラッハが使った感想を伝えておく。

 私の打った解体ナイフは出来が良いらしく、スルスルと素材を切り刻むことができたのだ。

 

「そりゃミスリルを使って、アダマンタイトの道具で打ったのじゃ。性能は良かろう」

 

「そうだね。道具で品質が変わるっていうのも面白いね」

 

「クライニアも鍛冶の面白さを分かって何より。それで今日は何を打つつもりでいるんじゃ?」

 

「うーん、特に決めてないんだけど、私、自分の武器を打つのが最終目標かなと思ってるんだよね」

 

「アダマンタイトの剣じゃ不服か?」

 

「できれば魔法の武器を打ちたい」

 

「ハハハ、志が高くて結構!」

 

 魔法の武器というのは、何もせずに霊体などを斬ることのできる武器のことだ。

 今、私が使っているアダマンタイトの剣は霊体を斬るのに剣術〈霊破斬〉が必要になる。

 この前〈ヘヴィウェイト〉を付与したけど、あくまであれは剣が重くなるという効果しかない。

 魔法付与スキルでは魔法の武器は作れない、……こともないのだけど、貴重な付与枠を〈エンチャント〉系魔法に割く必要がある。

 できればアダマンタイトを使って魔法の武器を打ち、更に〈ヘヴィウェイト〉を付与することができれば、それが現状で作成できる一番強力な武器ということになる。

 

 なので魔法の武器を打ちたいわけだが、そもそも魔法の武器を鍛冶で作成するには膨大な熟練度が必要なわけで。

 並みの鍛冶師では打てないのだ。

 

「鋼の剣を魔法の武器になるまで打ち続ける訓練じゃな」

 

「うん。頑張るよ」

 

 炉から流れ出る鋼をハンマーで打つ。

 私が使っているくらいの剣を作成していく。

 何本も、何本も。

 魔力を注ぎながら。

 

「よく魔力が保つのう」

 

 闘気法で身体強化しつつ、魔力を剣に注ぎながら打っているから、消費した魔力はかなりのものだ。

 しかしそれでも、魔力自動回復と保有する莫大な魔力のおかげで、ガス欠にはならない。

 

「まあね。ところでこの大量の鋼の剣はどうするの?」

 

「ふむ。品質も安定しておるし、売るつもりじゃ」

 

「あれ、認めた人にしか売らないんだよね?」

 

「それはわしの作品だけじゃ。お前の習作はそうさな、店の前で格安で売る」

 

 ワゴンセールみたいなものだろうか。

 まあ習作だし、別に構わないけど。

 

「買う人いるのかな?」

 

「いるじゃろ。剣のバランス自体は悪くない。この性能ならば、値段次第で買う者も出てくるはずじゃ」

 

 自分が打った剣が売れる商品になると考えれば、なかなか悪い気にはならない。

 その日はひたすら鋼の剣を打ち、しかし魔法の武器にはついにならなかった。

 道は険しいらしい。

 

 へとへとになって宿に帰ると、ミアラッハが出迎えてくれた。

 

「今日はちゃんとデザートに取っておいたから」

 

「ありがたい」

 

 食後のデザートはミアラッハ謹製のアップルパイだ。

 私の大好物である。

 ワンホール用意してあったので、半分食べた。

 別腹にも限度があるが、どうせあとは寝るだけだ。

 目一杯食べてやった。

 

 * * *

 

 冒険者ギルドに入ると、受け付けから声がかかった。

 何事かと思ったら、以前オークションに出した真珠のネックレスが売れたので、代金を渡すとのこと。

 積まれていく金貨。

 一体いくらになったの? と聞いたら、金貨550枚で落札されたとのこと。

 仲介手数料は一割なので、金貨495枚が私たちの取り分になる。

 

 ……多いよ!!

 

 ミアラッハもこれには苦笑。

 いや笑ってる場合じゃないぞ。

 めっちゃ見られてるからね?

 

 ギルドの受付嬢は淡々と金貨をカウンターに乗せていく。

 ごっそり金貨200枚をミアラッハのウェストポーチに入れて、残りを私の〈ストレージ〉に仕舞った。

 

 せめて個室なりを用意して欲しかったのだが。

 その辺、気が利かない。

 

 まあ周りを気にしても仕方がない。

 依頼ボードを見てから、迷宮攻略に行こう。

 

 特に目ぼしい依頼はなかったので、乗合馬車に乗ってドレイクの迷宮へ向かう。

 

 しかし朝から嫌な汗をかいた。

 私が大金を〈ストレージ〉に持っているのは周囲に知れ渡っているけど、今回のは噂になるだろう。

 冒険者に注意しながら迷宮を進むことになりそうだ。

 

 今日は第二十階層からスタートする。

 目標は第三十階層だ。

 

 転移魔法陣に乗って、いざ迷宮攻略に参らん。

 

 おっとクラスがブラックスミスのままだった。

 セージに変更しておこう。

 

 さすがに第二十階層ともなると、〈マジックアロー〉では火力不足になる。

 とはいえ、一体に二、三本打ち込めば倒せるという意味では、まだまだ〈マジックアロー〉無双なのだが。

 同時発動もあるしね。

 

 セージのクラス補正で威力が上がっているのか、こころなしか〈マジックアロー〉の必要本数が少なくて済むように感じる。

 まあ私が多少、サボったところでミアラッハという凶悪な前衛が雑魚を殺していくので、問題はなし。

 縮地と空歩で間合いを取り、魔槍で突けば大抵の魔物は一撃でお陀仏だ。

 

 ランサーのレベル上昇と槍技の熟練度上昇もあるだろう、ミアラッハは迷宮に入りたての頃から随分と強くなった気がする。

 

 ……ていうか、最近のステータス見てないね。

 

 帰ったらミアラッハのステータスを確認しておこう。

 もしかしたらレベル20になってて新しいスキルを覚えられるかも知れない。

 

 地図と道を見比べながら、最短ルートで階段を目指す。

 案の定、階段前に宝箱がお出迎え。

 慣れた光景だ。

 罠はないので開ける。

 

 中身は?

 小瓶に入った緑色の豆だ。

 なんだろうか、まあ何にせよ迷宮品は鑑定だ。

 先に進む。

 

 第二十五階層の中ボス部屋の前で、『三魔炎』の三人と出会った。

 いや五人いるから『五魔炎』なのかも知れないけど。

 パーティメンバーを増やしたらしい。

 

「あ、どうも」

 

「こんにちは」

 

「おふたりでここまで来たんですね」

 

「まあね」

 

 挨拶をしていたら、扉が開いた。

 『三魔炎』の五人は会釈して中ボス部屋に入っていった。

 

「ここはギガントボアだっけ?」

 

 ミアラッハが問うてきたので、「そうだよ」と頷く。

 

「巨体で突進してくるから、ミアラッハは回避重視で戦うといいかもだね」

 

「それじゃあ攻撃はクライニアに任せるけど」

 

「大丈夫、一度だけ戦ったことがあるから」

 

「そうなの?」

 

「うん。確か〈アイスセイバー〉で足元を薙ぎ払ってから〈ブリザード〉で倒せたかな」

 

 そういえば牙と肉が〈ストレージ〉に入れっぱなしだ。

 他にも肉類などが貯まっている。

 迷宮での剥ぎ取りも行っているけど、素材を売却していない。

 いつも鑑定で力尽きるからなあ。

 今日は帰ったら〈ストレージ〉内の在庫処分もしておこうか。

 

 そんなことを考えていると、中ボス部屋の扉が開いた。

 出番だ。

 

 中に入ると、地面からギガントボアが湧いて出てくる。

 ミアラッハが前に出て魔槍を構えた。

 ギガントボアは突進のために前足で地面を蹴る。

 そこへ私の〈アイスセイバー〉が地面スレスレを薙ぎ払った。

 突進が不発になったので、〈ブリザード〉を放つ。

 

 コテリ、と倒れた。

 よし勝利。

 

「あっという間だったね。やっぱりクライニアは強いわ」

 

「頼りになる前衛がいるからね。魔法が撃ちやすくて助かる」

 

 牙と肉と毛皮に解体して、内臓は捨てる。

 ボス部屋には宝箱が出現した。

 いつものことだが、迷宮さん大盤振る舞いすぎるなあ。

 

 罠は閃光と爆音で視覚と聴覚を奪うスタングレネードみたいな罠だ。

 魔法なので〈ディスペル〉した。

 中身は?

 短槍だ。

 

「武器だねえ」

 

「そうねえ」

 

 迷宮産の武器は魔法がかかっていることが多い。

 鑑定結果次第では使っても良いかも知れない。

 ミアラッハには魔槍があるが、私も槍技と槍術がある。

 

 転移魔法陣を無視して奥の扉から第二十六階層へ向かった。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] アルケミストレベル1ですごい素材錬成してたのおかしくない?
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