表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「ステータスバグで人生が終わった!!」と思ったら前世の記憶が蘇り日本語で書かれたチートスキルを入手したご令嬢の冒険譚  作者: イ尹口欠
逃亡編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/101

馬じゃねえのかよ!

 村が見えてきたところで、ゴーレム馬を土に戻した。

 ハニワ顔のゴーレム馬で村に入るとか目立ちすぎる。

 あと造形美がないのがバレバレなのも痛いので。

 

 レブリック領、ふたつ先の村には、冒険者ギルドがなかった。

 うーん残念。

 まあ銀貨はまだあるので、パンを買い込むことにした。

 この辺りで作られているのは、大麦を使用したどっしりした黒パンだ。

 王都の貴族院では小麦粉を使用した白パンがあったものだが、食べごたえのある黒パンも根強い人気があり、両方が共存していた。

 田舎のパン屋だけあってか、種類は少ない。

 バゲットと黒パンを紙袋に入れてもらい、路地裏でコソっと〈ストレージ〉に入れておく。

 ホーンラビットの肉とパンがあれば、あとは野菜か。

 新鮮な野菜は酒場で食べることにしよう。

 

「マスター、サラダ大盛りで」

 

「おうよ。嬢ちゃん、冒険者か。そんな装備で大丈夫か?」

 

「大丈夫だ、問題ない」

 

 基本的に魔法使いだからね。

 遠くから一方的に攻撃魔法を撃つのだ。

 接近戦に持ち込まれても闘気法で距離を取れる。

 まあ騎士相手だとさすがにそうも言ってられなかったけど。

 

 山盛りのサラダをもしゃもしゃ食べる。

 ドレッシングなんて洒落たものはなく、酢がかかっている。

 まあこんなもんだよ。

 とにかくビタミン摂取しとけば大丈夫だろ、味は二の次で。

 

 飲み物はミルク。

 牛ではなくヤギのミルクだ。

 

 食事を終えてお勘定して、私は村を去ることにした。

 長居は無用。

 ……と思ったけど雑貨屋を見つけたので、マントを購入しておく。

 フード付きのマントは野営のときに暖をとるのにも使える。

 今まで急ぎの旅でこんな基本的な装備すら整えていなかったんだなあと思い至った。

 装備、全然大丈夫じゃなかったね、マスター。

 

 村を徒歩で出て、門衛から見えなくなった辺りで再び〈クリエイトゴーレム〉でゴーレム馬を創り出す。

 今回は顔の造形にこだわった。

 結果、ハニワはシーサーになった。

 馬じゃねえのかよ!

 

 * * *

 

 レベリングがてら街道から外れて、魔物狩りをしながら進む目論見は、……結果から言って失敗だったかもしれない。

 割と厄介なのとエンカウントする羽目になったのだ。

 

 オーガ。

 

 単独じゃなく、レッサーオーガを二体、引き連れている。

 

 いかついゴーレム馬に驚きつつも、相手方はやる気まんまんの様子。

 なので先制の〈フレイムランス〉を叩き込んでやる。

 

 バン!!

 

 しかしオーガが振るった右腕で虚しくも炎の槍は霧散してしまった。

 え、中位属性の攻撃魔法だぞ?

 効かないってマジか。

 

 甘く見ていたのは否定しない。

 私はオーガという存在を初めて目にしたのだし、その強さは噂には聞いていたけどこれほどとは思ってもみなかったのだ。

 

 オーガとレッサーオーガは三体とも素手だ。

 オーガはまずレッサーオーガをけしかけることにしたらしい。

 何事か口にすると、レッサーオーガ二体がこちらに目掛けて走り寄ってくる。

 

 確実に一体、葬ってからもう一体の迎撃に移りたい。

 なので私は〈ライトニング〉を放った。

 

 バリバリバリ!!

 

 空気を引き裂き青白い稲妻がレッサーオーガに襲いかかる。

 回避できようはずもなく、稲妻に打たれたレッサーオーガは卒倒した。

 

 残る一体はややビビりながらも、拳を構えてゴーレム馬に迫る。

 馬上からでは上手く方向転換できない。

 私は闘気法を発動してゴーレム馬から飛び降りると、レッサーオーガと正面から打ち合うことにした。

 こちとらグラップラーなもんで、格闘戦もできるんだよ!

 

 雄叫びを上げながら殴りかかってきたレッサーオーガの一撃を、闘気法を全開にして回避。

 そのまま顎を狙って右ストレートを叩き込んでやった。

 メリ、という生々しい感触とともに顎の骨が砕けたことを悟る。

 そのまま仰向けに転倒するレッサーオーガに、〈ライトニング〉を見舞う。

 

 よし、これで雑魚は倒した。

 

 気がつけば、間近にオーガが迫っていた。

 

 速い。

 

「うわっ!?」

 

「GAAAAAッ!!」

 

 拳を連打してくるので慌てて後ろに飛ぶ。

 すかさず〈ライトニング〉。

 

 バリバリバリ!!

 

 稲妻が直撃したにも関わらず、オーガは一瞬の硬直の後に、距離を詰めに来た。

 タフ過ぎるだろ!!

 

 格闘戦になるのは避けられない。

 左・左・右のコンビネーションを捌いてから、私も拳を振り回してオーガを殴りつける。

 痛い、手の甲がすりむけた。

 

 コイツ、表皮が硬すぎるわ!!

 

 格闘戦は捨てて魔法でダメージを与えるしかないことを悟った。

 ていうか、ライトニングくらって立ってるところで格闘戦を挑んではいけないことに気づくべきだったのだろうか?

 

 蹴りを後退して回避し、今度は〈アイスセイバー〉をぶち込む。

 

「GAAAAAッ!?」

 

 胴体切断、とはいかないが、腹回りを氷漬けにすることはできた。

 よし、この調子で行こう。

 

「〈アイスセイバー〉っ!!」

 

 今度は上段から斜めに斬り下ろす。

 肩口を凍らせることに成功。

 この調子で全身を氷まみれにしてやれば、動きが鈍って格闘戦に持ち込ませないで一方的に攻撃できるはず。

 

 私は必死で距離を取って〈アイスセイバー〉を連打する。

 同じところに当たった場合は氷を砕いてしまう。

 できるだけ、違う場所を狙わなければならない。

 

 厄介だな。

 

 〈アイスセイバー〉の連打に動きが止まったオーガ。

 その間に考える余裕ができたので、攻略方法を思案する。

 具体的にはもっと攻撃力のある魔法だ。

 ひとつ思いついたので、試し撃ちしてみることにした。

 

「〈ブリザード〉!!」

 

 ゴヒュウウウウウ!!

 

 オーガを中心にして猛吹雪が吹き荒れる。

 赤みがかった肌が紫色に変色している。

 体温は相当、下がっているはずだ。

 足は完全に止まっている。

 

 もうひと押し。

 

「〈ブリザード〉!!」

 

 真っ白い雪に覆われ、オーガは動かなくなった。

 

「……死んだかな?」

 

 かなり魔法を撃ったせいか、軽く偏頭痛がする。

 レッサーオーガたちはまだ息があるらしいので、〈ライトニング〉でトドメを刺した。

 

 はあ、疲れた。

 ていうかオーガって騎士が複数で相手する魔物でしょ。

 私、ソロで倒せちゃったよ……。

 

 ちょっとここらで休憩しよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ