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不思議なCafe Bar  作者: サキ
バータイム
3/15

1

二章目突入です。

それから数日仕事が続き、オリジナルブレンドのコーヒー豆が底をついてきた頃、通常業務時間で仕事が終わり、週末で次の日が休みである為、一度帰宅してからバータイムにお邪魔してみることにした。


“カランカラン”


「こんばんは〜」


「一沙さんこんばんは。いらっしゃいませ。」


先日と変わらぬ風貌の彼がカウンターに立っていた。

しかも名前を覚えてくれていたことにびっくりしてしまった。


「お好きな席にどうぞ。」


促されるまままたカウンター席に着いた。


「ディナーメニューもありますよ。」


そう言いながらメニューをもらった。

目移りしてしまうメニューで、なかなか決められそうにない。


「あのっ!マスター、今日のおすすめってありますか?」


こういう時は今日のおすすめを聞くべきだ!と思った為聞いてみた。


「おすすめですか?前菜にするのであれば、タイのカルパッチョですかね?おつまみ系ならイカチャンジャとか、枝豆とか、唐揚げもありますよ?」


居酒屋メニューまで充実してるバーなんてなかなか無いだろう。そう思ってしまった。


「それじゃぁ、カルパッチョと枝豆と…このチーズセット下さい。お酒は…白ワインの少し甘めのものがあればお願いします。」


「畏まりました。少々お待ちください。」


そう言って奥に入って行った。

この前は私一人だったが、今日は数名のお客さんが居た。

テーブルの一段目の左側にスーツ姿のおじさんが三名、二段目の右側に一人で読書をしている女性、三段目の右側にはちょっといちゃついているカップルがいた。


“カランカラン”


扉が開いたためふと振り向くとそこにはスーツ姿の若い男性が居た。見た目的にはまだ二十代前半だろうか青年というのが相応しい感じだ。

斯くいう私はもう三十代目前である。彼氏なし、仕事に明け暮れる日々で実際のところ実家にもしばらく帰っていない。


「あー。ヒナくんいらっしゃい。お好きな席へどうぞ。」


いつの間に奥から戻ってきてのかマスター恐るべし…

気配すら無かった。


「三倉ーみくらーさんこんばんは。カウンターに座らせてもらいます。」


そう言いながらヒナと呼ばれた青年は私とある程度の間隔を空けて座った。

と言うか、マスターの苗字?初めて知った。三倉さんと言うのか。


「はい。今日のメニュー。また呼んでね。」


そう言いながら私に近づき


「一沙さん、白ワインとチーズセットとカルパッチョと枝豆ね。」


はい。頼んだものが到着しただけでした。


「いただきます」


カルパッチョを頬張るととても美味しかった。


「どう美味しい?」


目の前で微笑まれるとすぐにお腹いっぱいになりそうな笑顔である。急に声をかけられた事もあり、驚いてしまい喉に詰めそうになった為、ワインを一口飲んだ。やや甘めの飲みやすいワインだった。


「マスター美味しいです〜!カルパッチョも美味しいし、ワインも飲みやすいです!幸せです!追加で、このほうれん草グラタンもお願いします!」


「畏まりました。ヒナくんは決まった?」


「俺はいつものでお願いします」


「はい。畏まりました。二人とも少々お待ちください。」


さらりと青年の注文もとるとは…無駄がない。そして、隣の青年は常連さんなのだろう。

奥へと戻っていく後ろ姿に思わず見惚れてしまった。

マスターがいない間に注文したものを少しずつ食べていく。

チーズセットはピンチョスのようになっており、爪楊枝に二つほどのチーズが刺さったものがグラスに4本入っていた。美味しいおつまみにはお酒が進んでしまうもので、気がつけばガラスの中は空っぽだった。


「マスター!すみません、さっきの白ワイン下さい。」


美味しいお酒とおつまみを頬張っていたら、気がつけばグラスワインを4杯は呑んでいた。


「一沙さんは美味しそうに食べるし、お酒強い方みたいですね。」


4杯目のワインを飲み干した所でマスターから言われてしまったのだった…


「え?そんなにですか?美味しいお酒と美味しいおつまみは飲み過ぎちゃう原因ですが…」


「あっ!変な意味で捉えないでね!作ってる方は作りがいがあるよって事だから!」


「三倉さん、それ、女の人に言っちゃダメなヤツだから。すいません。三倉さんって時々変な言い方するので、流して貰って大丈夫ですよ。」


青年も話に加わって来た。


「俺、朝日奈です。よろしく。」


「東雲です。朝日奈さんは常連さんなんですか?」


「ヒナくんはもう5年以上通ってくれてるんだよ。お祖父さんと通い始めてくれて、今ではお酒の飲めるお年頃になったしね。どうりで僕も歳をとるはずだよ。」


5年以上も前からこのお店があったなんて知らなかった。

7年も仕事に打ち込んでいたのだ。気がつかなくても仕方がない。




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