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出て来たモーニングセットはとても美味しかった。
ふわふわなバター入りロールパンにミニサラダ、プレーンオムレツ、ヨーグルト、オレンジと王道なモーニングセットだった。
食べ終わりそうな頃合いにコーヒーを持って来てくれた。
「コーヒーです。」
甘い香りではあるが、とても飲み易い
「あの…。このコーヒーはモカと何か入ってますか?」
思わず聞いてしまった…。
驚いた表情をされてしまった。
「よく判りましたね。お顔がお疲れの様だったので、ブレンドさせて頂きました。モカをベースに、ブルー・マウンテンとコナを混ぜてます。コーヒーはお好きなんですか?」
「オリジナルブレンドなんですね…嬉しいです。コーヒー無いと生きていけないくらいコーヒーが好きでして…あの!良かったら、ブレンドして貰ったものを豆で購入させて貰えませんか?」
男性はやさしく微笑むと
「飲み過ぎは禁物ですよ。」
と笑われてしまった。
「豆はどの位の量がお好みですか?」
「とりあえず、自宅で試してみたいので…200gとかできますか?」
「構いませんよ。ご自宅の場合は少し豆を多めに入れてみてくださいね。」
アドバイスまでもらいながら豆を分けてもらった。
コーヒーを飲み終わる頃に紙袋に詰めた豆を持ってきてくれた。
手渡された豆はまだほのかに温かい。
「先程ローストしたものを混ぜてますので、冷えてしばらく飲まない時は冷凍保存してください。それと、コーヒー豆をご購入の方にスタンプカードもうありますので、良かったら。100gで1スタンプです。記名させていただきたいのでお名前を伺っても?」
本当に流れるような動作で美しかった。
「わかりました。やってみます。美味しいコーヒーがあれば仕事も捗るので!名前は、東雲 一沙ーしののめ かずさーです。」
「では、カードお渡ししておきますね。」
渡されたカードはシンプルだが可愛らしいものだった。
時計を見ると11時過ぎたところだった。
「お会計お願いします。」
「モーニングと豆で1500円です。」
「え?安すぎませんか?」
あまりの安さに驚いて聞いてしまった。
普通であれば、このようなお店では普通100g 400円〜が相場なのだ。
「気にしないでください。このお店を褒めてくれたことへの感謝ですから。」
優しく微笑まれてしまうとどうしても顔が良い分ときめいてしまう。
「そうですか…?ありがとうございます。では、定期的に来させて下さい。」
思わず常連さんになりたい発言をしてしまった。
「いつでもお待ちしてますね。」
そのあとは、お代を渡しそのまま家路に着いたのだった。
ー帰宅後ー
入浴中に今日のことを思い出す。
仕事はトラブルがあったが、あのカフェバーに出会えたことは幸いだ。
それにしても、あのマスター俳優顔負けの顔面偏差値だった。あの笑顔は世の中の女性を魅了するだろう。
計算されていないのだろうが、あの長髪と丸眼鏡がなんとも言えない…
そして、久しぶりのときめきを感じてしまっていた。
そんな時ふと自分の恋愛について考えてしまった。
あれ…今どのくらい恋愛をしていなかったか…7年前からワーカーホリック状態だったから、約8年は恋愛をしていないことになる。
干物まではないとは思うが、喪女でもない。
ワーカーホリック化してからはスキルアップに勤しみ気がつけばフロアリーダーだ。
当時の馬鹿みたいな恋愛が終わったから悔しくてそう出来たのだろうと思うと少し複雑である。
嫌なことは早く忘れてしまい、マスターの顔面偏差値を思い出しながら眠りにつくようにしよう。そして、次に行く時は休みの前日に行こう。
そう思ったのだった。
第一章了