1
初めまして
サキです
楽しんでいただけると幸いです。
それは朝日眩しく目が痛くなるほどの快晴。いつもの様に長い長い仕事を終えた夜勤明け。
通勤ラッシュを少し過ぎ、電車に揺られ家路を急いでいるときだった。
『今日も疲れた…いつもよりトラブルが多かったな…』
そう思いながら家の最寄駅に到着した。
時計を見ると10時前まだファーストフード店しか開いてない時間だ。
『このあと休む事を考えたら、ファーストフードでは些か胃もたれしてしまいそうだ。』
そんな事を考えて歩いていたら、ふわりと食欲をそそるパンの香りがした。
その香りに釣られいつもとは違う路地に入って行くとそこには
【Wonder】
と看板のある小さなカフェバーがあった。
“OPEN”
そう、ドアに立て掛けてあった。
恐る恐るドアを開けみる。
“カランカラン”
「いらっしゃいませ」
そこには長身で癖のある長髪を後ろで一纏めにし、丸眼鏡を掛けた男性が立っていた。
芸能人のような思わず見惚れてしまう顔立ちだった。
「おひとり様ですか?お好きな席へどうぞ」
促されるまま、カウンター席に着いた。
「こちらメニューです。お決まりになられましたらお呼びください。」
スマートな動きでメニューを渡し、カウンターの奥で機械に触れている。
きっとコーヒーのロースト中なのだろう。香ばしい香りがした。
いつも夜勤明けでも構わずコーヒーを飲んでいる為思わず飲みたくなってしまった。
メニューに載ってあるモーニングセットを頼んでみる事にする。
「すみません」
そう声を掛けるとすぐに戻って来てくれた。
「お決まりですか?」
「このモーニングセット下さい。飲み物はコーヒーで。」
「畏まりました少々お待ちください。」
そう言って準備を進めてくれる。
その間に店内を見廻す。
入り口入ってすぐのキッチンとカウンター席
振り返ると真ん中が階段でその左右には段状になったフロアにテーブル席が1つづつ3段目には3つ並ぶ形になった不思議な内装だ。
思わず眺めていると。
「面白い内装でしょう?」
声を掛けられドキリと驚いてしまう。
振り向くと先ほどの男性がモーニングセットを持って来てくれていた。
「この席の配置は前のオーナーがお客さんの顔が見たいからしたらしいんだ。僕もお客さんの笑顔が見たくて良いところがないかってそう思ってた所にこの物件を見つけたんだ。」
私に前に食事を並べ、他のお客さんの笑顔を思い浮かべる様な優しい笑い方でテーブル席を見つめていた。
その姿だけでときめいてしまう。
「美味しいものを食べたり、話したり。素敵な表情が見られそうですね。」
「そう言ってくれると嬉しいよ。では、ごゆっくり。」
そう笑いかけまた奥へと戻って行った。
読んでくださりありがとうございました!
次回の更新をお楽しみに!