歴代のペット
実家の母は動物が嫌いだ。
犬猫が嫌いと言うと、『接し慣れないからだ』とか『人間として冷たい』とかいう意見を聞くことがあるが、心情的にアレルギーがある人もいる事を言っておきたい。
母は単なる動物嫌いではない。
母は肉を食べない。
肉の入った料理も食べない。肉をどけても食べない。
牛乳もチーズ、バターもだめだ。酪農王国、北海道に住んでいてそれはないだろうと思うのだが。
かろうじて卵はOK。魚介も赤身のお刺身はだめだ。
別に食物アレルギーがあるわけでも、何かの信仰や主義主張があるわけでもない。心情的な拒否感から来るものだ。
そんな母と、借家住まいという環境から、うちで飼えるのは小鳥か金魚くらいだった。
母と反対に生き物好きな父は、セキセイインコからウグイスまで、色々な小鳥と観賞魚を飼っていた。(当時はまだ一部の野鳥が飼えた。現在では全て違法である)
どう母を言いくるめたのか、外にニワトリ小屋があった事もある。
一度、同級生の家で手乗り文鳥を見てから、父に『うちの鳥も手乗りにしよう』と言ったことがある。
肩や指に小鳥がとまるなんて、白雪姫みたいで素敵だと思ったのだ。
しかし、手乗りにするならもっと小さい時からやらなきゃだめなこと、それに母が嫌がるであろうことを父に説明された。
私の白雪姫計画はあえなく潰れた。
その後も、ペットらしいペットとは無縁だった。
が、私はいつも何かを飼育していたように思う。『何かを飼って観察する』のが好きだったのだ。
毎月届く学習雑誌の付録に合わせ、色々なモノを飼った。
モンシロチョウ、かたつむり、アリ、プランクトン――今から思えば神経質なうちの母だけでなく、どこの母親にとっても迷惑なものばかりだ。
毎回、両親はなんと言って私に捨てさせていたのか。
小学生の頃の話なので、飼育していた事以外全く記憶にない。
今となっては、どうもすみませんとしか言いようがない次第である。