何かを分ける事
白と黒があったら、どちらかを選ばなければいけない?
右か左かだったら、どっちかに曲がらなければいけない?
そう思う君に、話がしたいんだ。
「もっと柔軟に物事を考えてもいいんじゃないかな」って。
そんな感じのことを、ね。
ちょっと君に、他愛もない話をしてみよう。
僕、夜はあまり眠れないんだ。
闇の中に、何かが潜んでいる気がしてしまうんだよ。
こういう話をすると、皆よく驚くよ。
そして笑うんだ。
「そんな馬鹿馬鹿しい事を気にするなんて」ってさ。
僕は、布団にもぐってその「何か」の事を忘れようとするんだけど、部屋の隅の見えない部分が気になってしまう。
暗闇が、さ。
どうしても、そこから何かよくないものが出てくるんじゃないかって、思ってしまう。
そのまま眠ってその後、夢の中で悪魔に追いかけられたりすると、飛び起きてしまうよ。
毎回思うんだ。
「ああ、こんな自分が嫌だ」って。
話は変わるけどさ。
僕は体を動かすのが好きじゃないんだ。
家の中で絵を描いていたり、読書をしていたりするのが好きなんだ。
そうそう、僕には年の離れた妹がいるんだけど、よくその妹につきあって、おままごとやお人形遊びをする事があるよ。
でも、それを話すと大抵の人は「信じられない」って顔をするんだ。
変だよね。
普通に遊んでるだけだよ。
僕は別に、おかしな事なんてしてないのにさ。
ああ、また話が変わるけど、いいかな。
僕は、友達がたくさんいる方だよ。
みんなでスイーツの食べ比べをしたり、雑貨屋に立ち寄ってショッピングするの事が多いな。
変わった店や商品の写真をとったり、小物を収集したりするのが好きなんだ。
だけど、そんな僕を見て奇妙な視線を向ける人もいるんだ。
そんな事が何度も続くと、おかしくなってきちゃいそうだよ。
みんな僕を見て「男性なのに」って思ってるからなのかな
分ける事自体が悪いんじゃないよ。
区別がつかないと、皆いろんなことで困っちゃうからね。
イメージも大切さ。
皆で共有してるイメージがあるから、交通標識が機能するんだし、ジェスチャーやイラストだけでも意思疎通ができるんだ。
でも、分ける事が行き過ぎると、差別に繋がってしまう。
それってきっと、とても世界を狭くしてしまう。
そして、人の心をうんと小さくして、想像力なんかもなくなってしまうんだよ。
だから、今この文章を読んでいる君は、ちょっと立ち止まって考えてみると良い。
最初は、とても身近な所から。
そう、右と左、前と後ろで分けられた人達なんかの事をね。
それって、真ん中はないのかな。
右と左。前と後ろの間に、もう一つ何かを加えられない?
しきりを取っ払うっていう方法もあるし、新しい分け方を付け加えるっていう方法もある。
もっと柔軟に物事を考えてみても良いんじゃないかな。