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不死の死にたがりと異世界少女  作者: 陽炎 紅炎
第一部 二章 人と化け物
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帰還

一言:最近書く話、短ぇなぁ……

 メリセアンの吸血魔騒動から三日。

 俺たちの怪我も完治して病院も退院した。

 それからは会長から依頼料を貰い、メリセアンを出立した。

 会長、ケンジは見送りまで来た。

 特に会話はなかったが「何か情報に困ったらメリセアンに来るといい」と言っていた。


 そして俺とクロは、吸血魔のことをガドルに報告するため王都に一度戻ることにした。


「長旅になるな」

「なんだか久しぶりですね」

「そうだな、色々あったからな」


 クロの両親の遺品を見つけて、会長と戦って死にかけて……。


「はぁ……」

「どうしました?」

「いや、何でもねぇ」


 段々とこの体質に慣れてきてしまっている自分に嫌気がさした。

 だが、この体質に助けられているのもまた事実。

 その現実がまた悩みの種になっている。

 これの元凶、イールにもいずれ決着をつけなくてはならない。


「やることは山積みだな」

「この仕事が終わったら、暫く休みましょうか」

「それもいいかもな、そうしたらゆっくりと墓探しもできるだろうな」

「ふ、そうですね」


 そうしたら、この体質をどうにかできる時間もあるかもしれない。

 そう思うと少しはやる気が湧いてきた。




 〇




 列車に揺られて半日、やっと王都についた。

 荷物を持ったままギルドに向かう。

 長い間は慣れていたわけではないのにここも懐かしく感じる。

 ここ最近ですごく老けた気分だ。


「ただいま戻りましたマリーさん」

「おかえりなさいクロ、貴方もね」

「あぁ」


 受付にいたマリーは初めての時と同じように少し退屈そうに頬杖を突いていた。

 これが彼女のビジネススタイルなんだろう。

 誤解がないように言っておくとこれでも彼女は仕事はやっているのだ。


「それで、用件は何かしら?」

「調査の件でガドルに報告があるんだ」

「わかったわ、色々大変だったみたいね。貴女、少し魔力が伸びたんじゃない?」

「伸びるものなのか?」

「えぇ、伸びしろは人それぞれだけど。腐らずやればいい結果になると思うわ、頑張んなさい」

「あぁ、分かった」


 予想外の誉め言葉に気恥ずかしく思いながらガドルのいるギルド長室に案内される。

 ノックもせずマリーがドアを開けると書類とにらめっこをしているガドルが居た。

 少し不快な顔をしたガドルがマリーを見て軽く睨む。


「む、マリー入るときはノックしろって言ったろ」

「別にやましいことなんてしてないんだからいいじゃない」

「全く、魔導師団のときからお前はズボラなんだよ」

「あんたが細かいのよ。ほら、クロ達があんたに報告があるそうよ」

「はぁぁ、通せ」

「じゃ、私は仕事に戻るわよ」


 説教はごめんだとそそくさと戻っていくマリーをしり目にガドルはもう一度溜息をついて俺たちに向き直った。


「悪いな、いま立て込んでてな。仕事しながらでいいか?」

「はい、構いませんよ」


 書類とにらめっこを続けるガドルに俺たちは調査の結果について話した。


「そうか、人型の吸血魔が……。わかった、お前らは三日程休め。次の調査は休暇明けからだ」

「了解」

「わかりました」


 上司の次の言葉に怯えながらの報告は苦手だが無事に終わってよかった。

 ……半分くらいクロの手助けありだが。


「それと、クロの両親についてだが名前がわかった以上。俺も手伝わせてもらう」

「ありがとうございますマスター!」

「なぁに、俺もずっと気がかりだったんだ。喜んでやらせてもらうさ!」


 これは大きい、ギルド長のガドルなら人脈もかなりのものだろう。

 クロも嬉しそうに俺の手を握ってくる。


「タケルさんのおかげです。本当にありがとうございます!」

「……俺は何もしてねぇよ」

「ガハハハッ! 照れるなよぉ」

「うるせぇ!」


 居心地は少し悪いがそれ以上に自分を認めてくれるこいつらに感謝した。

 今まで誰かに自分の成果を褒められたことなんてなかったせいだろう。

 素直に受け取れない自分が今はそんなに嫌いじゃない。


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