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臨界線のインフィアリアル  作者: 中田滝
十章
85/104

八十二話「メヒトVS第零部隊&聖魔術士」



(全員の姿は見えないけれど、おそらく数は三十。距離はぎりぎり魔術の届かない範囲、、、か。全方位に何人かずつのグループで固まって行動していると考えた方が良さそうだね。中々に、統率が取れているようだ。それにしても、ここまで正確に座標を決めて飛ばせるとは、、、、、)



場所はおそらく、聖戦の間の近くにある岩石地帯。

一度、バオジャイ女史の付き添いで来た事があるから間違いない。

ここまで転移させられた事はそれほど驚く事でもないのだけれど、、、。

問題は、適切な距離、位置にそれぞれが配置されているという事。

転移の光が晴れてから動いた様子はなかったから、元から今居る座標へ転移させたと考えて間違いないと思う。

それなりの距離があるこの場所へ、魔法陣も詠唱も無しに大人数を、しかも細かい位置を決めて転移させる。


(精霊を支配したという話。信憑性の無いものだと思ったけれど、嘘じゃないと考えたほうがいいかもしれない)


同じ事をしようとすれば、必要になってくるのは聖都に転移した際の魔水晶三つ分の魔力。

魔力水で言えば、70~80本くらいかな?

それに、空間主の力を十全に引き出す必要がある。

契約の泉にシェリル君と行ったという情報は仕入れていたけれど、おそらくその時だろうね。

今の力を手に入れたのは。

力、、、、だけではないかな。

クラムド君は魔力総量が圧倒的に少ない。

どれだけ高性能な魔装だったとしても、保有出来る魔力量は魔力水5本分にも満たない。

魔水晶を持っている様子はないように見えたし、精霊の、もしくは精霊域に漂う魔力も、自在に扱えると推測しておこう。


(そうなると、クラムド君と対峙しているであろうウルやバオジャイ女史の事が気になるけれど、、)


その事柄について考えるには、この状況を脱するしかなさそうだね。

どう、切り崩していこうかな。






「〝水泡(バル)〟!!」

「おっとっと、、、」






ゆっくりと思考に時間を費やさせてはくれないようだ。

左から向かってきた水泡を、後ろへ下がりながら右へ風で押し流し、対処する。

そうすると必然、、、、



「〝落岩(フォールン)〟!」



回避をして距離の近くなった背後に居る者達から、魔術が放たれる。

そこであえて、今し方落岩を放ったばかりの第零部隊の隊員へ近付いて回避してみた。



「〝(テンペスト)〟」

「〝(テンペスト)〟」

「〝(テンペスト)〟」



吹き荒れる風、無数の細い竜巻。

成程。

魔術を放てばすぐに距離を置き、距離を縮められればその隙に他の箇所に隠れている者達が一斉に近付き、魔術を放つ。

そういった作戦のようだね。

迫り来る竜巻の隙間を縫うように切り抜けながら、敵の戦術を読む。

聖魔術士と第零部隊は、どちらも国中から集められた選りすぐりの部隊。

個々は敵ではないけれど、連携を取れた三十名、それも相手に有利な距離を置かれているとなれば中々に厳しいかもしれない。

これだけ離れていれば、一気に片付ける事は難しいだろうしね。



「〝(フレイム)〟!〝(アセンド)〟!」

「〝風斬スラッシャー〟」



一条の炎の渦、それに幾つもの風の刃。

どれも、相手の実力が窺える素晴らしい威力だ。

囲まれている現状では、あまり喜ばしくない事ではあるけれど。



「〝炎蛇(スネイブ)〟」


「〝津波(ウェーバー)〟」



地を這う巨大な炎の蛇が、押し迫る津波で消失させられる。

成程。

魔術を放つ為に近付いて来た相手ならこちらからも攻撃出来ると考えて放たれた魔術の方向を振り向く間もなく攻撃を放ってみたけれど、横に控えていたらしい別の相手に防がれてしまった。

見た所、三人一組を10方向に散らばらせている、といったところかな。

攻撃担当の第零部隊二名に、その少し後ろで司令塔兼、回避防御役の聖魔術士が構える。

中々に、連携が取れているようだ。

元来、二つの部隊は犬猿の仲であるというのに、洗脳とは随分便利なもののようだね。



「よっとっと、、、」



向かい来る風を、炎を、水を。

時には増加される重力を敏感に察知して避け続ける。

けれど、このままでは拙い。

先程から少しずつではあるけれど、攻撃が掠め始めている。

個々では相手にならないとはいえ、相手はかなりの実力を持つ者達。

一つでもまともに当たってしまえば単なる怪我で済まない事は自明の理、だね。

それに、傷を負って動きが鈍れば、相手にとっては動きの鈍い的となってしまう。

つまり、現状ですら紙一重の回避を続けている私の敗北条件は、動きの鈍るような攻撃をこの身に受けてしまう事。

これ程不利な条件は初めてかもしれないね、、、、。

とはいっても、バオジャイ女史と対峙するよりは、かなり気が楽ではあるのだけれど。




「〝瀑布(グラブ)〟」


「〝(フロア)〟」


(───ッつ)





戦闘開始から10分。

ここに来て初めて、体に攻撃を受けてしまった。


(厄介だね、、、)


一人、頭一つ抜きでた実力者が潜んでいる。

その実力者は決して姿を見せず、どこから放っているのかも分からない重力の魔術ばかりを放ってくる厄介者だった。

それも、その全てのタイミングが絶妙。

まだ姿を見せていない中でそれ程の実力を持つ人物という事は、ミシェの調査書に書いてあったアルカディック君という聖魔術士かな、、?

ミシェと戦闘訓練をしていたおかげで、私の戦い方、回避方法も見慣れているのかもしれないね。




(慣れてきたところでタイミングをずらすとは、アルカディック君というのは頭も切れるようだね)




齎される過負荷に合わせて、迫り来る魔術の避け方を変えるも、アルカディック君はそれにすぐに順応し、再び私を追い込んでくる。

その観察眼、分析力、対応力は中々目を見張るものがある。


味方であれば心強いけれど、、、。


この状況で敵に回れば中々に厄介だね。

少しつ少しずつ。

タイミングの合わされていく攻撃が私の体を捉えてくる。

このままでは、後数分もすれば取返しのつかない隙、傷が出来てしまうだろう。


(仕方ないか、、、)


クラムド君と対峙した時、どうしようもない状況に追い込まれてしまえば使おうと思っていた奥の手。

それを出すしかないみたいだ。

碌に試験をしていない状態で使うのは本意ではないけれど、、、。

今はただ、過去の自分を信じてみるしかないね。

そう考えて、猛攻を切り抜けながら、懐に仕舞っていた格納袋へ手を掛けた。




(勘付かれたかな?)




手を掛けた途端、攻撃が激しさを増した。

隙間のないように見える弾幕攻撃。

右側に見える隙間から抜ければ容易に回避出来るだろうけれど、、、。


(まず間違いなく、罠だろうね)


懐に手を入れただけで、魔力消費を度外視してここまでの集中砲火を出来るような勘の持ち主がいるのなら、あんなに分かり易い逃げ道を作らせるような事はしないだろう。

となれば、、、。



「───ッぐ!」



多少の傷を受けようとも、魔術を突き抜けたほうが敵の油断を誘える。

浴びた炎で魔装が焼けて効果を失ってしまったけれど問題ない。

むしろ、今は好都合。

姿を見失った一瞬の停滞の後に、次は隙間のない弾幕攻撃が迫って来る。


(良い判断、だね。でも少し遅いよ)


格納袋から新しい魔装を取り出し、身に纏う。

脱ぐ手間が省けたお陰で、弾幕攻撃のどれもが到達するよりも早く換装する事が出来た。

まだ試験を終えていない魔装。

不安は多くあるけれど、もうこれに頼るしかない。

失敗すれば、命はないだろうね。

柄にもなく過去の自分に祈りながら、換装し終えた魔装に迫り来る魔術が全て接するように体を高速で回転させた。







「なッ、、、!!!」

「無傷、だと!?!?」







どこかからそんな声が聞こえてくる。

うん。

無事に成功したね。

持ってきておいて正解だった。



「〝風刃(スラッシュ)〟!!」

「〝風刃(スラッシュ)〟!!」

「〝落岩(フォールン)〟!」



現実を受け入れられない者達が、隙だらけの攻撃を放ってくる。

感情に任せて放たれたせいで、何処からでも逃げられるね、、、。

けれど、もう逃げる必要はない。

何故なら。




パシュウゥゥゥゥ────。




そんな音を立てて、手に触れた落岩が、体に触れた風刃が、霧散して消えていく。



「なん、だ、、、、?その魔装は、、、、」



換装したのは首までから足首までを覆い隠す、漆黒の魔装。

手には、同じ素材で作り上げた手袋を嵌めた。

この魔装、素材自体はそれほど珍しいものではないのだけれど、魔力を吸い取る植物魔術、〝魔吸(アブルソ)〟を書き換えた魔法陣を刻んでいる。



「〝竜巻(サイクレート)〟!!」



学習をしないね、、、。



パシュウゥゥゥゥ───。



先程と同じ音を立てて、発生した竜巻が、魔法陣を刻まれた手袋型の魔装に吸収される。

この魔装に刻んだ魔法陣の効果は、触れた魔術を魔力に変換して吸収する、というもの。

バオジャイ女史が使うような魔術や精霊魔術等々、高威力のものであればおそらく変換が追い付かないけれど、通常通りの威力の形成単語であれば、魔装の魔力保有量を超えない限りは何度でも変換、吸収を行える。

試験も終えていない状態で、もし上手く出来ていなければ弾幕攻撃を全てこの身に受けるというのは中々にリスクがあったけれど、問題なく機能しているのであれば、この状況にこれ程まで適した魔装はないだろう。


学習せず、未だに攻撃を放ってくれている無能な者達のおかげで、換装前の魔装に充填していた魔力分くらいは回復出来た。

後は、逃げられないように一網打尽にするだけだけれど、、、。

近付いてもらわなければ、それは叶わないね。




「無駄だよ」




見せつけるように魔術を受け止めて、全員に聞こえるように声を上げる。

様子見か絶望か、一時的にだけれど攻撃は病んだ。



「この魔装は、魔術を魔力に変換して自らに取り込む性能がある。君達が魔術を放つ度に、私が回復してしまうよ?」

「そんな魔装があるわけッ───」

「疑うなら、試してみるといい。とはいっても、散々自慢の攻撃が霧散させられて、既に理解していると思うけれどね。無知な者程、理解の範疇を超えた者に直面すると思考を停止して、大した根拠もなく否定しようとする。哀れだね」

「私を愚弄するなあああああ!!!〝紫電(エレクト)〟!!〝紫電(エレクト)〟!!〝紫電(エレクト)〟!!」




パシュウゥゥゥゥ───。




「無知で盲目な君達でも、これで理解出来たかな?」


「くっそがッ、、、」






認められないながらも、理解は出来ているようだ。

この魔装相手では、遠距離から攻撃し続けても無駄だという事に。

彼らはこう考えているだろう。



〝近くで高威力の魔術を放てばもしかして、、、〟



実際、その通りではある。

どれくらいの威力かにもよるけれど、聖魔術士、第零部隊、どちらであっても、近接戦闘レベルの至近距離で全力の形成単語を放たれれば、変換が追い付かないと思われる。

アルカディック君であれば、中距離でも難しいかな?

頭の動きの鈍い人種を信用するのは苦手だけれど、ここは彼らがその可能性にまで辿り着いていると信じて次手を打とう。




「いつまでもちまちまと離れた位置から攻撃を打たずに、近付いて来ればいいんじゃないかな?そうすれば、勝てる可能性が1%くらいはあるかもしれないね」





煽り耐性のない第零部隊の一部の人間が、怒髪天を衝く。

冷静な顔をしている他の面々も、それなりに私に怒りを覚えているようだ。

うん。

順調だね。




「さあ、掛かっておいで。授業をしてあげよう」




手を広げて、出来る限り神経を逆撫でする態度でそう言う。




「「「「「貴様あああああああああ!!!!!」」」」」




武器を持ち、近接攻撃に向いた第零部隊が真っすぐに向かってくる。

何の戦略も感じられない、怒り任せの特攻。

それぞれの武器には、得意とするのであろう魔術が纏われている。

ある者は炎を、ある者は氷雪を、ある者は風を。

体裁きも流石で、中々に驚異的な攻撃に感じられる。

だがそれは、あくまで一般的な見地で計った場合。


(風魔術のミシェと呼ばれる者の師匠である私が、この程度で苦戦するわけがないというのに、、、、)


ミシェにあの戦い方を教えたのは勿論私だ。

半魔人となり、私と共に魔力総量の少ない存在となってしまった。

その状態でも消費を抑え、魔力の潤沢な相手と対峙しても勝利を掴める方法として編み出し、伝授した。

回避能力一つ取っても、まだまだ師匠としても面目を保っている自信がある。

これくらい、どうという事はない。




「くそ!ちょこまかと!!」

「三賢者相手に、五人程度で傷を負わせられるとでも?」

「くっ!お前ら!突っ立って見てないで参戦しやがれ!!」

「貴様らごと屠ってもいいのであれば、とうに攻撃をしているがな!!」




徐々に数が増え、ついに全員が近接戦闘に切り替えた第零部隊。

それと対照的な対応を、聖魔術士達は見せている。


(冷静で、良い判断なんだけれどね)


武器を持たない聖魔術士達は近接戦闘に向いていない。

となると必然、魔術がぎりぎり届く長距離での攻撃がメインとなるのだけれど、現状では目まぐるしく動き回る第零部隊が邪魔で手が出せずに二の足を踏んでいる。

これこそ、作り出したかった状況の第一段階。

もう二段、状況が進めば一網打尽に出来るんだけれど、中々に冷静で面倒くさいね。



「もっと近くから撃ちやがれ!!へっぴり腰でそんな距離から放ってんじゃねえぞ!!」



偉そうに指示を出す第零部隊に苛立ち、巻き込む事を厭わず聖魔術士が長距離から攻撃を放ってくる。

その数は、少しずつ、少しずつ増えてきた。

これで二段目。

後一段。




「よし!追い込めてるぞ!このまま詰め寄れ!!」




広い範囲を使って、多少の余裕を持って避けていたものを、自ら徐々に範囲を狭めていって、紙一重で攻撃を避けていく。

逃げる場所がなくなり、追い込まれていると錯覚させるように。



「くそ!野蛮な猿どもめッ」



回避の範囲を狭めた理由はもう一つ。

第零部隊で私の姿を隠す事。

そうすれば魔術を放つ隙間がなくなり、苛立った聖魔術士が攻撃を当てようと、気付かない内にじりじりと、少しずつ距離を詰めてしまう。

近付けば、発現から着弾までの時間を縮めれば、第零部隊の隙間を縫う事が出来ると。

少しずつ、少しずつ、、、。


(これが三段目)


後は、射程範囲に入るのを待つだけ。

放つ魔術は決めている。

その魔術を使う為の魔力は、余裕を持って回復が済んでいる。

もう少し、もう少しで、、、、。


(、、、よし)





「【契約者メヒト・ヴィルボーク・フィオが求む。】」



「拙い!こいつを止めろ!!!」



「【偉大なる貴殿の力を今此処に。】」





全方位から繰り出される攻撃を、詠唱を続けながら最小限の動きで躱す。

詠唱中は魔術を吸収出来ない。

それに気付かれる前に終わらせなければ、ね。




「【糧としたるは我が魔力。】」



「くそっ!なんでだ!!当たらねえ!!!!」




攻撃を躱し、必要以上に高く、空中に飛び上がる。

あの場所に居ては、私も巻き込まれるからね。



「【世界の狭間を新たに定め、抗う者へ絶望を確約されたし。空間主スパルトルネリアの権能の一端を、知らしめ給へ 〝裂界(フラクシュア)〟 】」



ズンッ──!!!!


ズ───ズズズ─────────ズ──。



「あ゛、、、?」



空間に境界を定め、境界を挟んだ両側の空間の位置をずらす。

定めた境界は先程まで居た場所。

ある者は上半身と下半身を、ある者は首から上とそれ以外を、ずれた空間によって強制的に引き離され、しかし皆一様に、絶命した。

元々、岩石地帯という事もあって高さはバラバラだったけれど、度重なるアルカディック君の重力魔術のおかげで、この魔術の効果範囲は殆ど平坦になっていた。

けれど、全体が平坦になっていたわけではない。

全員が平坦になった岩石地帯に入るまで待つ為に、ここまで時間が掛かってしまった。

この魔術を使うのは久しぶりだったけれど、上手くいって良かったよ。





────トン。




真下にあった大きな岩へ、小さな音を立てて着地する

降り立った岩石地帯は、死屍累々といった様相だった。

至る所が血で塗れ、切断された体が散らばっている。

人死にを見る事には随分慣れたけれど、これだけ血の匂いが立ち込めていると、あまり良い気分ではないね。

早く立ち去ろう。




「ぎざま゛、、、」

「おや?中々にしぶといね」




中には、運よく回避して即死を免れていた者もいたけれど、放っておけばそのまま失血死してしまう傷だ。

トドメを刺す事はしない。

魔力が勿体無いからね。





「生きて、、、る?」

「はあ、、、はあ、、回避に全力を使ったので、もう逃げる力もありませんけどね、、、。どうぞトドメを」





岩石地帯の端、草原に大の字で転がっていたのは、右腕が変な方向へ曲がっている聖魔術士。

身体的特徴を見るに、ミシェの調査書に書かれていたアルカディック君で間違いないと思われる。

確実に射程範囲に居たというのに、詠唱している間に危険性を感じて射程範囲外まで出ていたという事かな、、、、。

詠唱の初めの辺りで気付かなければ逃げ切れないというのに。

洗脳されていない故の冷静さがあったからかもしれないけれど、それでも目を見張る洞察力だね。


(ミシェを見逃し、良きライバルとなってくれた恩もある)


殲滅しようと考えていたけれど、どうせ魔力を使うのであれば、わざわざトドメを刺すよりはこっちを選ぼう。

ミシェが生き返った時のご褒美として。




「【傷痍掃いし癒しの者よ。盟約の下に救いの声を今聞き届け、我が魔力を持ちて此の者の身を癒し給へ 〝上治癒(ヒーリア)〟】」




うん。

問題なく完治出来たようだ。




「なぜ情けを、、」

「君は、アルカディック君で間違いないかい?」

「そう、ですけど、、、、。もしかしてミシェから何か聞いていますか?」

「その通り。察しが良いね。ミシェが命を代償に作り上げてくれた調査書に君の事が書いてあってね。マシな仕事を与え、良きライバルになってくれたせめてものお礼さ」

「命を代償に、、、、?」




事情を知らない様子のアルカディック君へ、全てを話す。

ミシェが、聖魔術士三人を相手取り、命を落とした事を。

生き返る可能性は僅かしかなく、下手に希望を持たせるのは悪いと話さないでおいた。




「あの時大聖堂に忍び込んでいたのがミシェだったなんて、、、。せっかく、気の許せる友人が出来たと思っていたのに、、、」




ミシェが、聖都でアルカディック君へ会えて良かった。

訃報を聞いて涙を流してくれる者がいるのなら、死闘も少しは報われるだろう。











(ん?あれはなんだろう)



遠くに見えたのは、半透明の巨人。

手前にある木々の、三倍程の高さがある。

あの色は防御結界の色だけれど、、、、。


(という事はあの巨人の正体はウルかミストリア君、だろうね)


少し疲れているけれど、休んでいる暇はない。

どのみちあの巨人がいる場所はバオジャイ女史の元へ行くまでの道中であるし、ウルの手助けをしてあげようか。

恩は、売れれば売れる程に良い。



「死体の処理は、好きにするといい」



アルカディック君へ一言だけそう言い残して、全速力でその場を離れる。

次の戦地、あの巨人の元へ向かう為に。

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