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臨界線のインフィアリアル  作者: 中田滝
三章
27/104

二十四話「レミリア王国」



「ケイト、落ち着いた?」

「はい、何とか。まだ胸の辺りがもやもやしますけど、もう吐くものがありませんから」


胃の中のものを散々吐いた後、漸く少し落ち着いた俺は、外の空気を吸いたくてウルに連れ出してもらった。

心配していたリビィ、セナリと、兵士の護衛を数人付けて。

俺が吐いたものの処理は、職員と兵士が協力してやってくれるようだ。

自分で処理すると言うと、〝お任せください〟と自信満々に請け負ってくれたが、そういう事ではない。

自分の吐いたものを処理してもらうのが申し訳なくて恥ずかしいんだ。

もっとも、暫く処理する為の魔術を発動出来るほどの集中力を練り上げる事が出来なそうだから、とても助かるんだが。



「無理をさせたな」

「いえ、止められてもおそらく見ていました」

「なぜだ?」

「目を閉じる強さがなかっただけです」



〝見ておけ〟と言われなかったらと考えてみたが、おそらくこっそり薄目で見ていたと思う。

ウルの実力を心配していたわけではないが、直上を槍が通り過ぎたのを体感したすぐ後、未だ囲まれている状態で目を閉じて視覚を放棄する勇気は俺にはない。

その点でいくと、全幅の信頼を置いていたリビィとセナリは凄い。

ウルが本気で魔術を使うのを見るのが今回で二度目だから、それだけで命を預けるというのが難しい話なのかもしれないが。

いや、もしかすると今回のですら本気でなかったのかもしれない。


(そんなウルを守る?)


今更ながら、アッシュは相当な無理難題を押し付けてきたんだなと、溜め息混じりに理解した。






「あれが大陸の端ですか?」


リビィに背中を撫でてもらいながら前方を見やると、そこには大陸の切れ目と雲海が広がっていた。

大陸と雲海の境目は曖昧になっている。


(ん?雲海、、、?海じゃなくて?)


幻想的な光景だと感動する間もなく、その異様な状態に疑問符を浮かべた。



「そうだ。あまり近付くなよ。少しでも足を踏み外せば竜に食われるぞ」



(竜、、、?空を飛んでいるイメージがあるあの?、、、嫌な予感がする)



「ウルさん。まさかとは思いますが、この大陸は空中にあるんですか?」

「ああ」

「そ、そうなんですね、、」



懸念したものが、まさかの事実だった。

そうか、うん、そうか。

巨大な雲の中に城がある某有名作品が頭に真っ先に思い浮かんだ。

おそらくそのイメージに近しいものなんだろうが、自分がその中に居るというのは些か実感が湧かない。

それはきっと、陸地の外は海という固定概念が頭にこべりついてしまっているからだろう。

こんな事なら、サンタの存在を信じていた純粋な心を持ったままにしておくんだった。

今も、まさか天空に大陸が浮くわけないと、雲海が這う大陸の端を、見える範囲で見渡している。

我ながら諦めの悪い事だ。



「ん?あれは、、、」

「どうかしたか?」

「あそこ。雲で隠れて見えにくいですけど、人が何人か居ませんか?」

「ん?、、、、、ああ、儀式をしているんだろう」

「儀式、、ですか?」

「監視者達が竜を神聖視しているという話をしただろう?」

「はい」

「あれは、一族から数人が代表して、自らを竜への供物として捧げているところだ」



(供物?という事は、、身投げ、、、?)



「と、止めないと!」

「やめておけ。俺には理解出来ないが、あいつらはそれを至上としている。竜の供物となる事に喜びを感じているんだ」



物語なんかでそういった話は見聞きした事がある。

飢饉を救って貰う為に神様に供物として生者を与えたり。

天災の被害を食い止める為に自らを捧げたり。

一部悪魔に魂を売るといったものも見た事がある気がするが、それらは共通して実体のない、実在するか分からないものに縋って命を投げ捨てるというものばかりだった。

でも、おそらく話の流れとして、この世界の竜は偶像ではない。

いるのか分からない神に縋って命を投げ捨てるというのも分からないが、実体のあるものに同じく実体のあるものが命を捧げるのはもっと分からない。

それを喜んで行うというのだから尚更の事。


(俺には、何かを崇拝するという気持ちは分からないな、、、、)






GLOOOOOOOOWN!!!!!






「え、、?な、なに、、、?」



聞こえた地鳴りのような声と、吹きつけた突風にリビィがあたふたしている。

俺は声の方向を見ていたにも関わらず何が起こったのか頭が処理出来ておらず、呆けていてあたふたする事すら出来ない。

鳴り響いた音を声だと判断出来ただけでも、自分の脳の処理能力を褒めてやりたいくらいだ。



「あれが竜だ」



竜だ。と言われても、サイズが大き過ぎてその実態はよく分からなかった。

確認出来たのは、遠くに見える人影が中空に身を投げたのと、それを優に丸呑みした巨大な口。

大地のような舌と、立ち並んだ小山のような犬歯が辛うじて確認出来たから、おそらく口だろうと推測をつけた。

竜の口を人間の口に置き換えて大きさの比較をするなら、ギリギリ視認出来るくらいの小ささの蚊が口に飛び込んできたようなものだろうか。

もっと血が溢れるような猟奇的なものを想像していたから、あまりのスケールの大きさに人死にが出たという事実にも何の感情も沸き起こってこなかった。


(あのサイズ。キングベポですら悠遊飲み込んでしまうんじゃないか、、、?)


供物の役割すら果たせていなさそうなのに、次々と飛び込んではやってくる竜に飲み込まれていく人達に、何の感慨もなくひとまず手を合わせておいた。

さっきまで人の死に一喜一憂していたのが嘘みたいだ。










「ドルトン殿!転移の準備が完了致しました!すぐに出立されますか?」

「ああ、頼む」


身投げ、もとい儀式を最後まで見届けて遠くに聞こえる竜の鳴き声を聞いていると、メンザが一人でやってきた。

何があるか分からない状況なのに、団体行動をしなくていいんだろうか?

副団長補佐と言っていたから、それなりの実力者ではあるんだろうけど。



「ご案内致します」



メンザと、元々護衛に付いてくれていた数名に囲まれる状態で、次に使う魔法陣まで案内してもらった。

歩く度に鳴るガチャガチャという音が物々しい。



「大変お待たせしてしまい申し訳ありません。今回事件を解決していただいいた件、転移塔職員を救っていただいた件を加味しまして、お連れの方々の分のお代も結構です。その旨もこちらに書いてありますので、お忘れなくレミリア王国、フーマの転移塔職員へお渡しください」



そういえば、以前ウルが言っていた。

外交官という職業柄色々なところへ行かなくてはならないウルは、転移する際に発生する料金を免除されているらしい。

元居た世界で言うところの必要経費というやつだろう。

それが何となく嫌で基本的に自分の魔力を使って転移していたそうなんだが、今回は魔力を温存していたほうが良さそうだし、ウル以外の分は普通に代金を支払わないと駄目だからな。

魔力も代金も纏めて向こうが持ってくれるのであれば、この上ない良い事だろう。


それにしても、フードを目深に被った職員が定型文以外を話しているのは何か違和感がある。

人質になっていたあの人は普通に話していたが、顔が出ていたからか違和感はなかったんだよな、、。











一つ乗り継いでやって来た現在地はレミリア王国の街中にある転移塔。

こちらも天井がなく吹き抜けになっていたが、監視者の自治領のものと違って、人工的にそう作ってあるようだった。

気になってウルに雨の日はどうするんですか?と聞いてみたら、〝濡れる〟と端的な返事をされた。

まあそうだよな。

天井がなければ雨の日は濡れるよな。

でもそういう事じゃないんだウルよ。

本当はそれに対して何か対策をしているのか聞きたかったけど、即答加減を見るに何もしていないんだと思う。

これだけで断定出来るものではないが何となく、一癖も二癖もある国の予感がするな、、、。



「それでは私共はここに残ります。部下を二名報告の為に最寄りの司令部まで先行させておりますので、監視者達の件の後始末はお任せください」

「助かる」

「いえ、本来制圧も私共の役目でしたからこれくらいは。ところで、移動用の馬はもうご用意されていますか?」

「いや、今から借りに行こうと思っている」

「でしたら、軍のものをお使いください。二頭までしかお貸し出来ませんが、どちらも健脚ですよ」

「二頭で充分だ。甘えさせてもらおう」

「承知しました。すぐに転移塔の近くまで連れてまいりますので、今暫くお待ちください」



どこまで着いてくるんだと思っていたメンザと複数の兵士は、どうやらここでお別れみたいだ。

監視者達の転移塔からここに移動してこられたら、兵が居た方が事態の終息は早いもんな。

ちょび髭が生えていて胡散臭い見た目をしているが、馬の用意までしてくれるなんてメンザは良い人物みたいだ。



「お待たせしました。こちらの二頭です」

「良い馬だ。長ければ10日程借りる事になるが問題ないか?」

「はい。問題ありません。ここまで返しに来る事が難しい状況であれば、こちらまで文をいただければ兵に迎えに行かせます」

「何から何まですまない。礼はいずれ」

「いえ、お気遣いなく。ただ、どうしてもと仰っていただけるのであれば、軍団長へご随意に」



うん、まあこれだけ色々としてくれて、何の見返りも求められないなんて事はないよな。

嫌らしい笑みを浮かべるメンザは、ちょび髭も相まって小物感満載だ。

〝善処しよう〟と政治家のような事をウルが言っているが、振り返った時に見えた目は呆れが浮かんでいたから、おそらく何もする事はないだろう。

メンザの地位が下がる事が無い事を祈るばかりだ。



王都の時と同じように、ウルと俺、リビィとセナリの二人ずつで馬に乗る。

今回の馬もかなり大きいが、テレビで見た事がある範囲のサイズで少し落ち着く。

足音も聞いた事のある馬の足音だ。

王都の馬の、鉛を置いたようなゴトリという音とは大きく違う。

音の違いは馬の大きさだけでなく、今走っている地面のせいもあるのかもしれない。

王都やセプタ領では石畳が主流だったが、ここレミリア王国では、明らかな街中にも関わらず地面には土が剥き出しになっている。

馬車道という事もありきちんと舗装はされているが、石畳やアスファルトのような人工物でその上を覆って道を作ってはいない。


(家はレンガ造りが主流、、、か)


道の両脇に立ち並ぶ家々はその殆どがレンガ造りで、外壁に蔦が巻き付いていたり、家の中を木が突き破っているものも珍しくない。

本当に人が住んでいるのか?と疑わしくなる程の様相をしている。

日本で言うなら、廃村になって十年以上放置された家々のようだ。



「ウルさん。なんであんなに家に植物が巻き付いたり、木が天井を突き破ったりしているんでしょう?あれだけの数全てが空き家だとは思えなくて」

「今通り過ぎた範囲には空き家はなかったはずだ。この国は植物や動物、全ての命を大切にするという国民性があってな、木が生えていればそれを避けるように家を建てる。蔦が巻き付けばそのまま放置する。地面には石畳を敷かない。という様に、自分達で自然を害する事が殆どない。勿論、この馬車道のように最低限舗装されたりはするが、無駄な殺生はないな」

「優しい国民性なんですね」

「優しい?まあ、そういう考え方も出来る」

「ウルさんはあまり好きではないんですか?」

「好きでも嫌いでもないが、あまり優しいとは思わない。レミリア王国民が何故自然を害さないか分かるか?」

「命を大事にしているからでしょうか?」

「それも勿論あるが、植物や動物、人間。その全ての命に身分差以外の優劣を付けないんだ。お前も、家畜を食べる事は厭わないが、人を殺してそれを食そうとは思わないだろう?例え美味だと噂されたとしても」



考えるまでも無い。

無理だ。

またちょっと吐きそうになってしまった。



「レミリア王国民は、その考え方が全ての生命に行き渡っている。まあ、生命維持の為に育てた野菜に限り食べるがな。そのせいで、この国ではどこに行っても食べられるのは野菜だけだ。肉なんて食べようもんなら、それだけで罪となる」



自然を害さないというのが優しいという考えは変わらないが、そこまでいってしまうと極端なのかもしれない。

そんなに極端なのに、野菜であれば食べて大丈夫というちょっとした妥協をしてしまうのもよく分からないな。

それならば自分達で育てた家畜であれば食べてもいいじゃないかと思うのは、利己的な考えなんだろうか。



「それだけならまだいいんだが、その概念は魔物にも及ぶ」

「魔物が現れても討伐しないという事ですか?」

「ああ、そうだ。先に手を出された場合のみ、反撃する事が許される。例え敵意を剥き出しにされたとしても、自分から手を出すのは罪となる」



ウルが優しい国民性だと言いたくないのは、この一点から来るものなんだろう。

肉が食べられないと言ったところのほうが強い嫌悪感を示していた気もするが、きっと気のせいだ。

こんなに愛くるしくない食いしん坊キャラはいらない。



「それを聞いても優しいという一言で断言出来るか?」

「身の危険がある状態で何も出来ないというのは理解出来ませんね。それに、肉が食べられないのは辛いです」

「ふっ、そうだな」



そんな共感者を得たみたいな笑みを浮かべてられましても、、、。

食いしん坊キャラとまではいかないが、肉を食べるのが好きなのは断定みたいだ。

聞こえたお腹の音は聞かなかった事にしておこう。





「ん?」

「うわっ、ちょっ!」


ウルが突然、馬を棹立ちの状態で止めた。

抱きつく姿勢を取っていなければ落馬するところだった、、、。



「ウル!?どうしたの?」

「ちょっと気になるものがあってな。ケイト、降りられるか?」

「え、は、はい」



不格好ながらも、教えられた通りに馬を下りる。

片足を目一杯伸ばして、地面との距離感を調節しながらゆっくりゆっくり、、、


(足攣った、、、、)


攣った足を引き摺りながら、馬を引いて来た道を徒歩で戻るウルへ付いて行く。

周囲を見回す余裕は無かったから気付かなかったが、何か気になるものでも見つけたんだろうか?



「見間違いじゃなかったか、、、」



ウルが見つけたのは、無残に切り殺された猫。

ちょっと細長い気がするが、元の世界の動物に当て嵌めるなら猫だと思う。

動物の死がありふれていそうなこの世界でわざわざウルが馬を降りてまで確認したのは、この国での出来事だからだろう。

そう、命が全て平等であるこの国で、明らかな殺意を持って殺されている。

この猫が人を殺し得る攻撃をしてくるとは思えない。

という事は、正当防衛ではないという事だ。



「これは、猫、、でしょうか?可哀想なのです、、、」



どうやら猫で合っていたらしい。

その身に残る残忍な犯行の痕は、思わず目を逸らしてしまう程の凄惨さだ。



「ケイト。中は空洞でいい。この猫と周囲の血痕を覆い隠すように、土魔術で半球状に覆い隠してくれ」

「分かりました。燃やして埋めなくていいんですか?」

「ああ。この国でこの事態はあまりにも異常だ。明日、保安所へ報告に行く。その時に痕跡があったほうが捜査もし易いだろう。この猫には悪いが、今暫く燃やすのは待ってもらう他ない」



意外だ。

ウルは動物にも優しく出来るんだな。

ヤンキーが捨て猫に餌をやっているような、そんな光景を見ている気になった。






その後は特に何事もなく、街を出て途中昼食を挟みながら夕暮れまで馬を走らせて、自然豊かな街道の先で辿り着いた別の街で宿を取った。

自然に生えた二本の木の間に手書きの看板が設けられた、温かみのある宿だ。

三部屋取ろうとしていたが二部屋しか空いておらず、リビィとセナリ、ウルと俺の部屋割りになった。

夫婦同部屋でなくてはいいんだろうか?


夜な夜なリビィの艶めかしい声が聞こえてきたら碌に寝付けない自信があるが、二人の仲を邪魔しようなどとは思わないからセナリとの同部屋を提案されてもすんなり受け入れるのに。

リビィから迫られたらきっと抵抗する術なく受け入れてしまうだろうけど、そうでなければ美術品と見紛うような美しさを持つリビィへと自分から夫婦や恋人のような関係になろうとは思えないし、夫であるウルへの嫉妬心も湧かない。

綺麗過ぎる人を目の当たりにすると案外そういう気も起きないものだ。


以前参加した合コンで、綺麗過ぎる人が目の前に来てあたふたして終わるという事がありその時に友人の里中に散々馬鹿にされた経験がある事を思い出した。

だが何て事はない。

あいつも未だに独り身記録を更新中だ。






「ケイト、精霊魔術について話しておこうと思うが、まだ起きていられるか?」

「はい。大丈夫です」


時刻は24時くらい。

まだ寝付けそうにはなかった。

もう吐き気や胸やけは治まったが、平和な日本で育ってきた俺にとって、初めて見る人死にに対する感情はそう簡単に拭えるものではないんだ。



「精霊魔術は一度見せた通り、自家魔術の威力が高いものと、自家魔術では扱えない魔術のどちらもがある。治癒魔術や防御魔術が自家魔術で使えない類のものだな」

「ひとつ気になっていたんですが、防御魔術で張ったものを結界と呼ぶのに、結界魔術と呼ばないのは何ででしょうか?」

「攻撃を防ぐもの以外にも結界があるからだ。代表的なものが風魔術を薄く張った感知結界だな。張った場所を通ると術者が分かる仕組みになっている」



魔術の特性を活かした結界というわけか。

触れると静電気を発するような、罠用の結界もあるのかもしれない。



「精霊魔術は、その全てが契約をしないと使う事が出来ない。炎の精霊魔術を使いたいなら炎の精霊と契約するといったように、一つ契約すれば何でも扱えるといったものではない。そして、一度に契約出来るのは精霊一種までだ」

「精霊というのはどれくらいの数がいるんでしょうか?」

「約10万程だと言われているが、その実態は分からない。精霊域には入る事が出来ないからな」

「精霊域には転移塔がないんですか?」

「ああ。少なくとも魔人域から向こうに渡る分はな。空を飛んで行くのは、竜の存在がある限りはどう足掻いても無理だ。あれには勝てない」



それは分かる。

あの竜に勝つのは例えウルでも無理だろう。

魔術を使えない普通の人間が、天災に立ち向かうようなものだと思うから。



「10万とは言ってもそれだけの多様な魔術が存在するわけではない。例えば、炎の精霊と一括りに言ってもその中には何種もの精霊が存在する。選ぶものによって威力が変わるんだが、その中で俺が初めに契約したのは最上位の炎精霊だな。炎主と呼ばれている」

「どの精霊と契約するのがおススメなんでしょう?やっぱり防御魔術がおススメですか?」



ウルが契約している炎の精霊の魔術は、自分では扱い切れる気がしない。

あんな大規模な炎、例えキングベポ相手でもオーバーキルだ。

ウル曰く、あれでもかなり威力を抑えていたらしいが。



「いや、その辺りは自分で決めればいい。どの道、契約の場まで同行する事は出来ないからな」



よく創作物であるギルドの掲示板のように、契約出来る精霊が張り出されたりしているんだろうか?

書いてある文章、読めるかな。



「精霊との契約は【契約の泉】にて行う。そこに魔力を流せば、自分が契約出来る精霊が頭の中に情報として流れ込んでくる。詳しい契約の仕方はその時案内役に聞けばいいが、まあそんなに固くなる事はない。すぐに済む」



ウル曰く、契約の場までの案内と、契約の仕方の面倒を見てくれる人がいるみたいだ。

案内してくれる人達が一族以外の血を決して混ぜない種族と聞いた時に監視者の事が浮かんだが、察してくれたウルがそれを否定してくれた。

家族として受け入れないだけで、日常会話程度なら問題ないみたいだ。


もう、あんな突然の死合いは耐えられる気がしない。

今度こそ血の匂いで咽てすぐにでも吐いてしまうだろう。

だが困った事に、リビィとセナリに吐くところを見られたからか、それぐらいならもう見られてもいいかなという考えになってしまっている。

慣れた方がいい人死により、吐く現場を見られる事のほうが慣れるとは、、、、。


(人死にに慣れたいとは思わないけど、何か複雑な気分だな)


変な趣向に目覚めない事を、祈るばかりだ。

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