第33話ですわ!
「エイラン様は向上心がおありですのね。素晴らしいですわ」
「あ、ありがとう……。でも良かった〜、覚えられるなら学院に編入して正解だったよ」
「そうですわね。でも、学院に編入するのも条件が多くて大変だったんではなくて?」
「ああうん。ひたすらこの国のNPCの依頼をこなしまくって『名声』上げたよね……」
「なるほど、それでわたくしのお父様から信頼を得て編入に…………」
「そうそう、なんか一番偉い貴族の人に認められて…………え? あれキャロラインさんのお父さんだったの? あ、そういえば『インヴァー』って名乗ってた気がする」
「っ!」
…………『居る』……!
ハイル様はあのように仰っていましたし、わたくしも自宅でお会いした事はありませんがわたくしの『お父様NPC』は『存在する』!
動き回るNPCではないだけの事……!
ハイル様に『NPCとしての矜持』を語ってしまいましたから、今更ストーリー通りになるのは嫌とも言えませんし、やはりハイル様の為にもストーリー通りにするのが良いという考えは変わらないのですが……。
ストーリーが繰り返すのであればハイル様がわたくしから自由になる事はあり得ないですし、ではどうしたらハイル様をわたくしから自由にして差し上げる事ができるのでしょうか?
うーん…………?
「その上、実はちゃんとわたくしのお父様のNPCがいたのであれば…………はっ!」
「ど、どうしたの!?」
「結局新しいプレイヤーさんが来て繰り返すのであればわたくしのこの努力は——っ!」
「キャロラインさん!?」
痛……!
頭が…………え、ええと…………ん?
「…………えーと……なんの話を……」
「え?」
「そうです! 卒業イベントです!」
「え?」
わたくしの晴れ舞台ですから、卒業パーティーは成功させなければなりません。
『魔法付加』と『魔法付与』のスキルをエルミーさんが覚えればパーティーの条件が揃いますわ。
わたくしは当日、エルミーさんのドレスに飲み物をこぼしてダメにしてしまう虐めを行いますのよ。
そしてそれを皮切りにハイル様よりわたくしへの断罪が始まるのですわ!
「こうしてはいられませんわね。ドレスを選ばなくては!」
「え? 待ってキャロラインさん。今その話ししてなかったよ?」
「え?」
そうでしたっけ?
ではなんのお話をしていたのでしたか?
見上げるとずいぶんと変なお顔をされましたわ。
「…………時々……、キャロラインさんってそういう事あったけど……」
「え? そうですか? ……ああ、確かに時折頭痛のような症状が……」
「もしかして、それゲーム補正?」
「…………」
頭痛が、ゲーム補正?
頭をさすりますが、もう変な症状はありません。
けれど、そう……今も……確かに……ぼんやりと霧かかったような感覚は……。
「…………慣れてしまっていましたわ……」
「っ……」
顔をしかめるエイラン様。
確かに……ちょっとさすがのわたくしもゾッと致しましたわね。
この頭痛らしき症状がゲーム補正。
わたくしをNPCとしての役割に抑えつける為のものなのだとしたら……。
いえ、けれど……それは当たり前の事。
わたくしNPCとしてストーリー通りに物事を進める義務がある事ぐらい分かっておりますわ。
「ですが、条件がよく分かりませんわね……どうして補正されなければいけないのでしょうか?」
わたくしストーリー通りに事を進める気満々ですのに!
なんだか酷いですわ!
「そうだね。……どちらにしても、あまり良い気持ちにはならない」
「……エイラン様……」
NPCの為にそこまで真剣に怒る必要などないのに。
お優しいのですわね。
「んもぉ! おっそーい、エイラン! どこほっつき歩いてんのおぉ!」
「そうだな。今日のところはこのまま解散しよう。明日もログインしていれば学院に顔を出すだろう」
あ、噴水の方で動きがありましたわ。
わたくしとエイラン様は物陰からこっそりとお二人の様子を伺います……が、やはり思った通り甘い雰囲気は微塵もありませんわ。
正直エルミーさんとハイル様が甘い空気を醸し出して明日また会う約束をするシーンを見るのは……こう、なんと言いますか、複雑極まりないのですけれど。
ええと、ヒロインがネカマさん的な意味で。
「まずい、エルミーたちが痺れを切らしたな。キャロラインさんはこのまま自宅に帰って待機してて。オレ、ハイル王子に兵の貸し出しを依頼してそのまま『花の森』にプレイヤーたちを探しに行くから」
「まあ、わたくしも参りますわ!」
「ダメだよ、危ない」
「行きますわ! わたくしのお友達を壊した理由を問いたださなければ、気が治りません!」
「ううぅ……」
というわけでハイル様たちと合流する事に致しましたわ!
エイランさんについていき、二人に声を……。
「キャリー!?」
「ひゃーーーー! ひゃーーーー! キャァァリィーたーーーーん!」
「ひっ!?」








