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第3話ですわ!



「わたくしぎゃふっ!」

(噛んだ!?)

(噛んだ!)

(キャロライン様今日はどうしたんだ慣れない事ばかり……)

「あううぅ〜……わ、わ、わたくしふぁ、キャロライン・インヴァー……こ、公爵令嬢でふわ……」

(諦めないのか!?)


 えーと、どうしたら悪役令嬢に見えるのでしょうか?

 大声を出すなんて出来ませんでしたからうっかり舌を噛んでしまいました、痛い……。

 ですが宣戦布告は成功ですわね!

 ……悪役令嬢っぽいのは、今後もっと勉強しませんと……。

 要訓練ですわね……あうう。


「あ! もしかして昨日間違えて突き飛ばしちゃった人ですか? ごめんなさーい!」


 と、ヒロインが軽い感じでてへぺろっとしてきましたわ。

 さすがですわね、なんて底抜けに明るいのでしょうか。


「な! なんだとこいつ!」

「キャロライン様を突き飛ばして噴水の縁に激突させたのはお前だったのか!」

「なんて無礼なの! キャロライン様は頭をお怪我されたのよ!」

「そうよ! それなのになんなのその誠意のこもらない謝罪は! そもそもその場で救護をするのが筋というものではなくて!?」

「非常識だわ!」

「え? あ、あの、皆様? お、落ち着いてください……! わたくし平気ですし……」


 まだ少し後頭部は痛いですわ。

 でも、お医者様にも「切れていました。 五針ほど縫いましたのでしばらくは安静にしていてください。髪の毛で傷跡は隠れると思いますが……傷は残るでしょうね……。魔法で定期的に治癒してください」と言われ、この通り平気へっちゃらです。

 なので、皆様がそんなムキになるような事ではありませんわ。

 ん? あら?

 なんで皆様がそんなに殺気立ってらっしゃるの!?


「キャロライン様が本当は嫌がっておいでのようだったから見逃してやらうと思ったが……」

「ええ、許せない!」

「みんなやるぞ! 計画通り思い知らせてやれ!」


 え?

 え? え?


「「生卵流星群!」」


 そんなスキルありましたっけ〜〜〜〜〜〜!?


 ……あ、えーと……『ディスティニー・カルマ・オンライン』はレベル概念がなく、PS(プレイヤースキル)を修得していくゲームなのですわ。

 ステータスも『剣技』を取得したり『盾術』を取得して、それらのスキルのスキルツリーを解放していく事で幅を広げていきますの。

 スキルツリーが解放されていけばレア度の高い装備を作ったり装備出来るようになりますわ。

 市販ものは限界がすぐにきてしまいますので、レアモンスターを倒したり、職人になったプレイヤーさんが生産したものを購入して強くなるしかないんですの。

 ですからほとんどのプレイヤーは後半、強くなるのには『魔法』のスキルが必須だと気付きます。

 剣や槍や弓などの王道は、早熟ではありますがその分早い段階で限界を感じるようになりますのよ。

 剣や槍などのそれら武器は最終的に『魔法』スキルで強化していかなければならないので、いずれのプレイヤーも『魔法』のスキルツリーの解放に躍起になる事になりますの。

 で、初期身分『貴族』にしますと王立貴族学院——つまりここですわね——で、最初に『魔法』のスキルを多く取得出来ます。

 複垢持ちのプレイヤーは大体最初に『貴族』になるようになりますわ。


 ……まあ、その……ですけれど『生卵流星群』というスキルは聞いた事がありませんわ!

 一体どういう事なのですか〜!?

 ああ⁉︎ 皆様がわたくしの指示のないままに卵をヒロインに投げつけています⁉︎

 確かにその様子は『卵流星群』!

 わたくし、このゲームで冒険した記憶はあれどこんなスキルの記憶は——!




 どくん。




 ……………………。

 冒険、した?

 いつ?

 あら? ……そういえば、わたくしは……どうして『キャロライン』の運命を知っていたのでしょうか?

 NPCである『キャロライン』に、わたくしは……わたくしが『キャロライン』……あら?


「……っ?」


 頭を抱える。

 ズキズキと後頭部の痛みが広がっていく。

 そういえば、昨日も……こう思って……でも、はっきりとは、思い出せなくて……わたくしは……?


「なにをしている!」


 ……はっと顔を上げる。

 わたくしの肩には、大きな手が添えられていた。

 その手はわたくしの背に回されていて、わたくしを支えてくれているように思える。

 見上げたら、ハイル様……!


「ハ、ハイル様……」

「大丈夫かキャリー……! ……っ、この騒ぎはなんだ!? キャリーがこんなに顔を青くしているのに、なににかまけていた!?」

「も、申し訳ありません! 殿下!」

「キャロライン様! 申し訳ありません! 大丈夫ですか!?」

「あ、は、はい……少し頭が痛くなって……でもそれだけで……」

「大丈夫ですか!」


 ばしゃ、ばしゃと……床に落ちた卵を踏み付けて階段を上ってくるのはピンクだった制服の女の子。


「ヒッ!」


 い、い、い、い、いいえ?

 そそそ、そうなるようにする予定ではございましたわよ!?

 け、けれど、どういう事なのでしょうか!

 主人公……満面の笑みです!

 な、なぜ⁉︎

 生卵を雨のように浴び続け、なぜ満面の笑みを浮かべられるのですか!?

 しかもその姿のまま階段を滑り落ちる事も恐れず、戸惑わず、王太子であるハイル様の目の前に恥ずかしげもなく……!


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