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突然の襲撃。

不定期連載です!

ご容赦くださいませ……。



「いつ、いかなるときもお互いを支えあい……愛することを誓いますか?」


 きらびやかなステンドグラスを背景に神父が優しくも厳しい言葉を放つ。

 辺りは今か今かとキスシーンを待つ新郎新婦の縁者で満席だった。


 これが春の麗らかな陽射しの最中であったのであれば、皆もいつまでも生暖かく見守っていたのであろう。

 ただ、足の爪先から滲み寄ってくる寒さといったらこれ以上はないほどの地獄であったのだ。


 まさか……もっとも天国に近い聖域でこんなハメになるとは思ってもいやしなかった。


  ── 教会 ──


 純白のウェディングドレスを、か細くも華奢な身体に纏った新婦。

 口元が微かに震えていたのは緊張していたからに過ぎない。

 まるで怯えきった子羊のように。


 一方、新郎はひとまわり年の離れた、少しばかり腹の肥えた中年男性を想わせていた。


 彼はもはや、欲望を待ちきれないのか。

 いくら獲物を喰らっても満ち足りない狼のように涎を垂らし、はぁはぁ、と息を吐き撒き散らかす。


「ち……誓います!!」


 と ── 相手の答えを待たずとしてベールをおもむろに開き、鼻息を荒くしたまさにその時だった。


 ばたん!


「ちょっと待ったぁぁぁ!!」


 荘厳な雰囲気をぶち壊すほどの豪快なコールが辺り一面に鳴り響き、仁王立ちする男がいたのだ。

 寧ろ、仁王さま(・・・・)といっても過言ではない。


 その姿は身の丈3㍍にも及び、なによりも先ず一同の目を奪ったのがまるで闘牛を彷彿させるような見事な双角。

 分かりやすくいえば ── ギリシャの伝承における怪物、ミノタウロス。


 ここは異世界などではない。

 到ってシンプルな、且つ現代なのである。

 突如として現れたそれ(・・)は一直線に新婦へと襲い掛かる。


 バージンロードとは。

 新郎・新婦、また立会人や両親が歩くことのみ許され、参列者は壁に沿って入場することがマナーであるとされていたが……彼にとってはそんなことはお構い無しだったのだろう。


「きみを迎えに来た!!」


 その言葉に嘘偽りなど一切無い。

 呆気にとられる新郎を余所に力強く、だが優しく抱き締めた。


「あぁ、こんなことは……。 神様も決してお許しになってはくれません……」


 野獣の逞しい胸元に顔を埋め、麗ら若き新婦の頬を一筋の涙が伝う。

 だが、それこそ待ちわびていたかのようであったのだった。


「さぁ、行こう。 俺と共に」


 斯くして花嫁は教会をあとにした。

 ブーケを誰にも託すこともなく。

 残った面々には、いったい何が起こったのかすら理解出来るハズもない。


「…………いや。アイツ何なの!?」


 綿密にコト(・・)を運ばせてきた新郎からすれば当然の一言である。

 まだ新婦が幼少の頃から練りに練ってきた計画を邪魔されるなどとはもっての他だ。

 すかさず新郎が奪い返すようにして駆け出してゆく。


 だが、数名の警備係が外に待機していたハズなのに、ふたりの姿は忽然と消えていたのであった。




一応、オチまでは構想済みですが……

果たしてたどり着くかは秘密(爆)

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