勇者筆頭判明
「このスキル。そしてこの称号は・・・」
どうやらご都合主義よろしく知らない言語のはずなのに文字が読めるようだ。
「どうしたのですかジェナ?」
固まっていた魔法使いを女王様が再起動させた。どうやら魔法使いの名前はジェナのようだ。
「失礼しました。女王様。では改めて。まずこの方のスキルには全属性魔法と剣術:達人級、戦神の助力があります。」
歓声が上がる。それはまあいい。
「確かに戦闘系でこのレベルのスキルを3つも持つ方は居ませんでしたが、あなたが固まるほどとは思えません。他の何かがあるということですね?」
そうなのだ。これらだけなら珍しいねで済まされる。情報収集をしていたのだからこれぐらいはわかる。だが「はい。女王様の言う通りです。私が驚いたのはスキルではなく称号。この‘勇者筆頭‘という称号です!!」 そうだ。お前はだめだ。なんで他のやつらがみんな‘勇者‘の称号を持っている中で俺だけ変な二文字が付いちゃってんだよ!おかしいだろ!ラノベのテンプレっつったらこういうモブは、平均的な能力とか一人最底辺とかだろ!なんで一人上に突き抜けちゃってんの!?これじゃ三流小説もいいとこだよ!いや最底辺スタートよりは全然いいんだけどさ。むしろありがたいんだけどさ。なんというか、これじゃない感が半端なくて周囲からの嫉妬の目だけで、すでに二・三回は死んでる気がする。俺は何であそこでフラグ立てちゃったかなー。立てるにしてももうちょっと素朴な感じで立てればよかったのかな?
っはーーーーーーーーーーーーーーーーーー。不幸?だ。
こんなお気楽なことを言えるのも、本当の絶望を知らなかったからだろう。もしここで俺ではない誰かが勇者筆頭になっていれば、違う結末になっていたのかもしれない。そうして、あの絶望の日が着実に迫っていた。
ようやく物語の始まりが見えました