2話 能力者達
白いローブの男に案内されわしらは階段上がっていくとだだっ広い広間に出る。
様々な宝石が付いた柱、金と銀が大量に飾られた壁、白く大きな大理石で作られた床に、大きな赤いカーペットがひいてあった。
この絵になりそうな広間で待っていてくれと言われたわし等は、ゆったりと歩きながら壁に飾られた金や宝石などを拝見していた。
こぶし大はありそうな紫色をした宝石に金色の金属でできた台座に飾られたもの、植物のように複雑に伸びた銀色の枝に木の実のように付いた七色の宝石。
見たことや聞いたことのないような物ばかりだ。辺りの雰囲気はまるで美術館に展示された作品のよう。
特に女子陣はキャアキャアと興奮した様子で見ていた。
天王司のいる方がなにやら騒がしいのでふりむくと、クラスの女子とメイドさんを含めた、人だかりができていた。
彼女らはおそらく宝石の事か、天王司の事で騒いでいるのだろう。
クラスの中でもトップの成績を持つ天王司は物知りでもあるのだ、よって宝石の名前やらその産地について解説しているのであろう。
「やっぱりあいつはどこでも人気だな、そう思わないか?」
「「「・・・・・・」」」。
返事がない、どうしたのだろうか。
坂本達のいる方を振り向くと、みんなメイドさんに目が釘付けになっていた。
「・・・・・どうした?」
「やっぱり、メイドさんてかわいいなぁ。」
と坂本のこの発言を始めとして、彼らはメイドさんについて熱く語り始めた。
このままほっとくことにしよう。
こうなったら小一時間このままなのだから。
その時、白く大きい扉が大きな音と共に開かれた。あまりの突然なことだったのでクラス全員はそこに釘づけとなってしまった。
緊張と不安の空気が広間を覆い尽くした広間にある一人の老人がやってきた。
白いローブに紅い宝石を埋め込んだ黒い眼帯、長く腰のあたりまで伸びた顎髭、右手に長い杖を持っている老人だった。
唖然としているわしらを見て、こう言った。
「皆さん、突然ここに、この世界にお招きしてしまい申し訳ありません。ですがこの世界にはあなた方の力がどうしても必要なのです。」