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リボーン・カード

リボーン・カード


ドアノブを開ける翔太を四人でおどおどしながら見守っている。

どう立ち回るのだろうか。不安でしかない。

「開けるぞ」と意を決したように翔太は言い、玄関のドアを開けた。

そして、龍太郎はそこに居た。と、同時に盗みを犯した僕を追い詰める。

「お前…じゃなくて達也、出てこいよ!」と、龍太郎は大声で言い放った。

やはりバレてしまっていたのだ。窃盗をしたという事実は曲げられない。

ただ、ごまかすことはいくらでも出来る。和彦の頭脳を借りれば。

「頼む、打開策を教えてくれ」と、助けを請うように言うと、

和彦は少しばかり沈黙した後、僕にこう告げた、

「盗んだのではなく、片付けておいたと言えばいい」と。

「つまり、どういうことだ?」

「まず、重要なのは、盗んでないと思い込ませることだ。

そして一旦安心させる。その後、この家へとあげてくれ。後は俺がなんとかする」

と、眉をひそめて言った後、裏口から出て行った。

僕はまだ和彦のやろうとしていることが分かっていなかったが、

呼ばれているので龍太郎の前へと向かった。

「すまん、待たせた」と、まずは待たせたことを謝罪した。

「そんなことはどうでもいい!お前、俺のカード盗んだだろ」

一瞬背筋が凍ったが、すぐさま冷静に「いやいや、そんなことする訳ないだろ」と苦笑いで言った。

「嘘つけ!大事に保管しておいたレジェンドすら見当たらないんだぞ!」

気迫が凄いが、僕は負けんと「ああそうだ、そうだった」と思い出すフリをして言い訳を考える。

「なんだよ、何したんだよ、おい!」

相変わらず怒鳴り声が耳へと突き刺さるが、冷静を保って出した答えは、

「一回レジェンド見たときにさ、あれ欲しくて思わず取って触っちゃったんだ」

「はあ!?勝手に触ってんじゃねえぞ!」

「その後元に戻すの忘れて、えーと…ああ、本棚!本棚の上に置いて帰ったよ!」

「そこは、見てなかったな…悪い、疑って。じゃあ俺帰って見てくる!」

龍太郎は純粋だ。嘘をすんなり鵜呑みにしてくれた。やりきった。

絶対嘘だと見抜かれると思ったが、気づかれはしなかった。

ただ、こんな僕でもある良心が自分自身を痛みつけた。

そんな僕の横から「おい、せっかくだからあがってけよ!」と健一が満面の笑みで龍太郎を誘った。

そうだった。和彦に言われたんだった。「その後、この家へとあげてくれ。後は俺がなんとかする」と。

「そうだよ、あがってけよ!お菓子、いっぱいあるぞ!」と真が後を追うように言った。

龍太郎は、「じゃあ、ちょっとだけな」と言い、僕は、アジト…ではなく、一階のリビングへと案内した。

しばらくお菓子とジュースを飲み食いして談笑した後、

「じゃあそろそろ俺帰るわ!楽しかったぜ」と言い残し、龍太郎は帰った。

なんとかして約1時間は持たせた。和彦…うまくやったのだろうか。

と、心配していると、龍太郎と入れ替わるようにそいつは帰ってきた。

「和彦!なんとか出来たか?」と翔太は真っ先にきくと、「ああ、なんとかな」と和彦はニヤリと笑った。

真が不安げな様子で、「どうしたんだ?その、なんとかするって」と問うと、和彦は一連の行動を語ってくれた。

「単純さ。買い戻したんだ。まず俺は、売却者の許へと向かい、売ったカードを確認した。

次にカードショップへと足を運び、そのカードを自腹で買ってきたよ。

そして龍太郎の家へ行って、元の場所へ戻した」

思いつかなかったが、よくよく考えれば、和彦が言うとおり単純に買いなおすだけでよかったのだ。

「これで一件落着だな。よし、明日また集まって、最初の標的を考えるぞ!」

と、リーダーの翔太は言った。それを聞いて、健一は嬉しそうにしていた。

皆で手を合わせ、「おー!」と、掛け声をした。ここから、僕らの新たなる旅が始まる。


Next Story 標的、そして






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