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共通②
「ライラ!君が殿下から求婚されたときいて飛んできた!」
ルッツが息を切らせて屋敷までやってきた。
「少し落ち着いて、きっと殿下は他の令嬢にも声をかけていらっしゃるわ」
第一にこの家は王子に釣り合うほどの家ではない。
「しかし第二王子グリエスの浮き名などの噂はあがっていない」
―――兄がいたなんて初耳である。この国の王子は一人なんだと思っていた。
「……いきなりあがりこんですまなかった。帰ろうロヴィット」
「はい、では失礼します」
ルッツの従者ロヴィットが挨拶して二人は去る。
ロヴィットは昔からルッツといたので私とも親しい。
それに幼かった私の初恋の人で草花で作った指輪でプロポーズした間柄だが、身分が違うので成長してからはうやむやのままだ。