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SAVE A MALL ―セーブ ア モール―  作者: 福山直木
一幕 唐突な提案
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決メル!救世主!

ついでに、様々なことを聞いておいた。報酬、勤務形態、保証などなど。


最後にふと思いついたことを尋ねてみた。

「最終的にどのようにしていくのですか?どこかで区切りを付けるのか、長期的に活動していくのか、どちらなんですか?」


その問いに考えながら答える。

「そうだね~私達が第一にやるべきことは再興あるいは活性化。ある程度、形ができれば、あとは店主会に活動を引き継がせるからね。委員会設立時に市から提示された期日は5年。長くてもそこまでだろう。」

「そうですか・・・」

真面目な話になると急に説得力が出てくる。


「商売ってそんな甘くないからね。ちょっとした景気の上がり下がりで影響を受ける。5年持つかも分からないんだし・・・」

¨5年持つか分からない¨という言葉にちょっと衝撃を受けた。


「5年持つか分からないんですか!?」

「えっ、うん。そうだよ。何があるか分からないからね。色々な策を練っても状況が良くなる保証なんて何処にもないんだから」

「そうですよね…」

「それにこの委員会は、市からの資金援助で成り立ってるんだ。効果が薄いと判断されれば援助は打ち切られ、問答無用でこの事業は終了だ」


少し沈黙が続いて、また話し始めた。

「だが、何事もやってみなければ、分からない。どんな難題も、実際に事を起こせば、変化が生まれる。それは足掛かりになることもあれば、足枷になることもある。だが、その変化が何よりも大切だと考えている」


お茶を啜り、また話し始める。

「…君の力は微力かもしれん。だが、それを積み重ねることで商店街を守る力になると思うんだよ…」

「…どんな人も一人では微力だ。それを補うために仲間が居る。何も委員会の連中だけが仲間じゃない。商店街の人たちにも協力を仰ぐ。だから、今は何も考えなくていいんだよ」


そんな口説き文句に、つき動かされた。同時に幼馴染みの顔が浮かぶ。引き受けてほしい。そう言われたも同然だったことを思い出した。


「やるしかない」と決意した。

「……僕は不器用で何をやっても駄目で、何もやりたいことが浮かばなくて。正直こんなこと、頼まれなきゃ、やってません。それでも……商店街の力になれるのであれば、やってみたいです」

力を込めて言った。


それを聞いて安心したように頬を緩めた。

「そうか。そう言ってくれて嬉しいよ。来週から本格的にメンバーが集まってやるから、詳しいことはまた連絡するよ」

「わかりました。ありがとうございました」

「こちらこそ。一緒に頑張っていこう」

そう言って握手を交わした。


こうして僕は、商店街再生に尽力することとなった。


幼馴染みにその事を報告すると喜んでいた。

バイト先の上司も「そうか、頑張れよ」と応援された。なぜか、どことなく満足げな顔だった。


自分の中では、少し後悔している面もあったが、これで良かったのだと言い聞かせた。

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