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最弱怪物ースライムー  作者: ジャックン
2/3

前編

 薄暗くて、若干ひんやりとしていて、高さが低いためか、圧迫感のある洞窟。

 この洞窟と90匹の同族がレベルの低いスライムたちにとっての世界の全てだ。


 「なぁ、何で出ちゃマズいんだよっ!? 何で『レベル4になるまで洞窟の外に出てはならない』って掟が要るんだよっ?」

 モンスター達には名前という概念がない。だから仮にこいつをAとしよう。Aからは今にもぷんぷん、と効果音が聞こえてきそうである。

「知るかっ!」

 ……はぁー。そういえばこいつ出たいんだっけ。洞窟の外に。

 仮にこいつをBとしよう。何故出てはいけないのか。それはレベル4になるまでわからないらしいし、他言してはならないそうだ。だから、答えようがないのである。

 「そういえばさ、もし出たときの罰ってあったっけ?」

「さあ。聞いたことない。まぁ俺は興味ないから知らないだけかもだけど」

「あっそ。じゃあ、あの方がレベル6になったらしいから訊いてみる」

 AはBに背を向け、たまたま視線の先にいた『あの方』(仮にCとしよう)の方へポンポンと跳ねてゆく。

 あれっ……? ひょっとして……!Aの心には小さな希望が生まれていた。


 「あの」

「どした?」

「ぼくのようなレベル3とかが、洞窟の外に出てしまったときの罰とかって、ありましたっけ?」

AはCにおずおずとした感じで訊く。人間やモンスターも同じで、この世界ではレベルが高いモノの方が目上の存在になっている。

「ん? 無かったと思うぞ?」

「――そうなんですか!? ありがとうございます!」

「ああ」

Cは頷くように声を漏らす。

 ひゃっほうっ! Aはあたりをピョンピョンと跳ねまくる。動かないとこの気持ちがおさまらないのだ。

 もしかしてだけどっもしかしてだけどっべぇーつ(別)にに出ぇーても問題ないんじゃないの!?

最近、洞窟の外からよく聞こえてくる曲に合わせて、心の中に潜んでいた希望を爆発させる。Aは完全にうかれている。これはもう、うかれポンチといっても過言ではない。


 ――そして、後に掟の理由を最悪の形で知ることになるとは、このときどのスライムも予想すらしなかった。


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