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Dogmacula  作者: 芦静一
Part 1
9/26

#1

おまけ・英題の和訳


Dogmacula:本文通りdogma+macula

dogma→教義、理想 macula→シミ、黒点

ちなみに、夢野久作先生の「ドグラ・マグラ」とは無関係である。


1 Daily of dark gray:濃灰色の日常

2 Mischievous cloudy sky:有毒な曇り空

3 Optimistic admiration:楽観的な賞賛

4 Chilly mirage:肌寒い蜃気楼

5 translucent on Late Show:レイトショー上の半透明

6 Sunrise tastes like blood:血液風味の日の出

7 Black brakes the stillness:黒は静寂を壊した

8 lunchtime punishment:ランチタイム制裁


日本語として成り立ってない上、多分間違っているという......ね。

少年は退屈な部屋の扉を開けた。玩具に溢れた、それが退屈さを増幅させていた部屋が、少年の視界から消えた。それは少年に、新しい世界に踏み込んだような、心地良い解放感をもたらした。少年は赤いカーペットの引かれた廊下を、足取り軽く歩く。壁のそこかしこに、意味のわからない「芸術」が並べられているが、少年にとってそれは現在地を示す看板でしかない。

毎日晩餐の度に通る道が、今日は魔法の洞窟にすら見えた。赤い絵の具を撒き散らした神の絵が、こちらに笑いかけてくる。

(なんてったって、今日は冒険に出る日なんだから!)

少年は些細な乱れのない赤いカーペットの上を歩き続ける。カーペットは使用人の格好をした上等な奴隷が正しているのだろう。その上をパタパタ音を立てて歩くその様が、少年の立場を示していた。

口笛を吹きつつ、昨日の晩餐で兄に聞いた事を思い出した。

(なあ、知ってるか?この家の外には、お前が思ってる何百倍も何千倍もの人間がいて、それぞれがお前みたいに考えて、寝て、食っているんだ。その分だけ幸せがあって、そして、残念なことにその分だけ悲しみがあるんだよ。え、なんで幸せだけじゃないかって? それはな.......人間は悪い物だからだ。人間は幸せだけじゃ満足できないから、神様が悲しみを作ったんだよ)

廊下が広間に突入した。目の前が開け、明るくなった。少年は心の中で沸き立つ思いに、スニーカーを履いた足でスキップをしてしまいそうなくらい興奮していた。

(ただ、神様は失敗した。悲しみは幸せを食べてしまうから、幸せと悲しみが一緒だけあったら、人間は悲しみに飲まれてしまう。そこで......だ。俺たちは神の使いだ。名前に『神』が入ってるだろ、それが証拠さ。俺たちは神の失敗をなんとかして取り返すために、悲しみを無くさなきゃならない.......悲しみは目に見えないから、消せないだって? 確かにそうだ。俺たちでは悲しみを消すことはできない。でも、悲しみが生まれるのを防ぐ事はできるだろ)

少年は巨大な豪邸の端、正面玄関に辿り着いた。そこでサイズの大きめな上着を羽織り、昨日母親に手渡された細長いそれを手に取る。それには肩に掛けて運ぶための紐がついていた。タスキ掛けにすると、小さな少年では先端が床に着いてしまうので、仕方なく両手で持って運ぶ事にした。

(え、どうするかって? 簡単さ)

細長いそれ--人を殺す道具を握った手が、期待と不安でカタカタ震える。まるで、ドラゴンを倒す勇者のような気分だ。いや、自分は勇者なのだ。世界を平和にするために戦う、勇者として生まれて来たのだ。

(悲しみを生む、悪い人を殺し尽くせば良い。膿が消えれば、この世界はもっと綺麗になるからね)

鷹の紋章の刺繍を靡かせ、最先端の兵器を抱えた少年は、神矢家をスキップで飛び出した。

藍の人生が始まる、約十年前の事だった。

どうも始めまして。作者の芦 静一です。

今まで地味に投稿して来たこの作文を見て下さった方がいる事に、まず世界中の神様に感謝します。勿論貴方にも。十倍の暑苦しさで。

ありがとうございました。頑張ります。

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