ハニートラップ 〜蜂蜜ほどは甘くない現実〜
ハニートラップ。
多くの人が、この単語に少なからぬ魅力を感じることでしょう。
麗しく艶やかな女性スパイが巧みに男性を籠絡する。その絵面に華があるためか、あるいはお色気シーンが人気を稼ぎやすいからか、ハニートラップは多くのフィクションに登場しています。
ですが、物語という形でのハニートラップは有名ですが、現実のハニートラップについては、よく知らないという人が多いのではないでしょうか。
そこで今回は、現実世界で行われているハニートラップについて、紹介します。
まず、フィクションのハニートラップは、ターゲットを誘惑して恋人関係になったり肉体関係を持ったりなど、主に性的な魅力を使って、情報を聞き出したり相手を意のままに操ったりするものが多いです。
では、現実のハニートラップはどうなのでしょうか?
現実のハニートラップにおいては、『快楽』や『恋心』ではなく、『恐怖』を使ってターゲットを籠絡することが多いです。
具体的には、以下の方法が挙げられます。
・配偶者のいる人間に接近して肉体関係を持ち、それを元に脅迫する。
・要職に就いている性的少数者と肉体関係を持ち、それを元に脅迫する。(諜報合戦が特に盛んだった冷戦時代は、性的少数者に対する社会的な差別や偏見が今よりも強く、この手の凶悪なハニートラップは極めて有効でした)
こうして見ると、関係を通じて弱みを握り、それを元に脅迫するという形のハニートラップが多いことが分かります。
脅迫でターゲットを意のままに操り、情報を聞き出したり交渉を有利に進めたりするのが、現実のハニートラップです。
冷戦期には、特にソ連の諜報機関であるKGBがハニートラップを得意としていましたが、西側の諜報機関でも、ソ連ほどの規模ではないにしてもハニートラップは行っていました。
補足ですが、ハニートラップというのは人権的、倫理的な問題が多く、人権意識の高い国家はそもそも実行できない場合が多いです(だから、全体的に人権意識の低かった冷戦時代には、西でも東でもハニートラップが多く使用されました)。
ちなみに、脅迫の形を取るハニートラップにはある弱点があります。配偶者を持ちながら他の異性と関係を持つことを気にしない人間や、好色漢で有名な人間などには効果がないというものです。ソ連はハニートラップを多く実行しましたが、この手の理由で失敗することも少なくなかったようです。
諜報機関による現実のハニートラップは、甘々なフィクションのハニートラップからは想像もできないような苦味を有しています。
では、フィクションのような甘いハニートラップは幻想に過ぎないのでしょうか?
実は、そうとも言い切れません。
フィクションに登場するような、ターゲットと恋愛関係になって情報を聞き出したり交渉を有利に進めたりするという形式のハニートラップも実在します。
もちろん、極めて重大な機密情報を抜き取るなら、楊貴妃レベルの傾国の美女が必要なので難しいでしょう。ですが「このくらいならいいかな……」という油断を引き出すだけならば、絶世の美男美女は必要ありません。
コミュニケーション能力と少しの美貌があれば十分です。
また、プロのハニートラップ要員を育成するのには金も時間もかかり費用対効果が良くないので、最近は、ターゲットが元から想いを寄せている女性(場合によっては恋人や妻)を金銭等で懐柔し情報を聞き出させるという形式のハニートラップも行われているそうです。
それらのハニートラップは、まあ、フィクションほどではないにしても、若干の甘さを有していると言えるでしょう。
以上が、ハニートラップについてのざっくりとした解説です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。




