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きらきらがとける昼

 夏の昼の、きらきら町は、とても明るいです。


 空は高く、太陽はまぶしく、道の石も白く光っています。あまりに明るくて、目を細めてしまうほどです。


 その時間になると、町のきらきらは、少し変わります。


 ソラは、学校が休みの日、外に出ました。


「今日は、暑いなあ」


 歩いていると、足元のきらきらが、いつもより、やわらかく見えます。


 まるで、あめ玉が、日なたに置かれたみたいです。


「……きらきら、とけてる?」


 しゃがんで見ていると、きらきらは、ゆっくり形を変えて、地面にしみこんでいきました。


 そのとき、白いねこ――キラが、日かげから出てきました。


「キラ、見て」


 キラは、きらきらを見て、にゃあ、と短く鳴きました。


 町の人も、きらきらが少ないことに気づきはじめています。


「今日は、きらきらが少ないね」


「昼は、きらきらがとける日なんだよ」


 パン屋のおじさんが、店の前で言いました。


「どうして?」


「太陽が、近すぎるからさ」


 ソラは、空を見上げました。


「太陽が、まぶしすぎると、きらきらは、かくれちゃうんだ」


「かくれるの?」


「うん。土や、木や、人の中にね」


 ソラは、手を地面に当てました。


 土のあたたかさがソラの手のひらに伝わりました。


「じゃあ、きらきらはなくなったわけじゃないんだ」


「そう。とけただけ」


 その日の昼、町は、少し地味に見えました。


 きらきらしていない町は少しふしぎでもありました。


 でも、夕方になると、風がふいて、空の色が変わります。


 すると、地面から小さな光が、ひとつ、またひとつ、ぽつぽつと出てきました。


「あ、もどってきた」


 きらきらは、少しずつ元の形にもどり、道や屋根の上で、また光りはじめます。


 キラが、しっぽを立てて歩きました。


 その夜、ソラは思いました。


 きらきらは、いつも見えなくてもいい。


 見えないあいだも、ちゃんと、そこにある。


 それが分かると、昼のまぶしさも、少し好きになりました。


 夏の昼は、きらきらが休む時間。


 町は、そんな時間も、大切にしています。

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