きらきらと川のひみつ
きらきら町の夏は、川の音ではじまります。
町のはずれを流れる川は、ふだんは静かです。でも、夏になると、水が光を集めて、きらきらしながら流れます。
ソラは、学校が終わると、ランドセルを置いて、川へ走りました。
「つめたい!」
手を入れると、水はひんやりしていて、気持ちがいい。
川の中をのぞくと、石の間で、小さな光がゆらゆら動いています。
「これも、きらきら?」
ソラが指を近づけると、光は、すっと流れていきました。
そのとき、白いねこ――キラが、川べりにあらわれました。
「キラも来たんだ」
キラは、にゃあ、と鳴いたあと、川をじっと見つめています。
ソラがよく見ると、川の流れの中に、きらきらが集まっている場所がありました。
そこだけ、水の色が、少し明るいのです。
「ひみつの場所かな」
ソラは、石を伝って、近づきました。
すると、川の底から、ぽこっと泡が出ました。
泡の中に、小さな光が入っています。
「……なんだろう」
そのとき、後ろから声がしました。
「そこは、川の休けい所だよ」
ふり向くと、つりをしているおじいさんがいました。
「休けい所?」
「きらきらが、流れにつかれたとき、少し止まる場所さ」
ソラは、川を見ました。
「きらきらも、つかれるの?」
「もちろん」
おじいさんは、にこっと笑いました。
「夏は、たくさん流れるからね」
ソラは、手を川に入れて、そっと水をすくいました。
きらきらは、手のひらにのりません。けれど、水の中で、楽しそうに光っています。
「ここ、いい場所だね」
キラが、にゃあ、と鳴きました。
そのとき、川の上流から、少し強い流れが来ました。
きらきらは、また流れに乗って、下へ進んでいきます。
「いっちゃった」
でも、さみしくありません。
また、つかれたら、ここに来ると、分かっているからです。
夕方、川は、夕日の色にそまりました。
水の中のきらきらも、オレンジ色に光っています。
ソラは、ランドセルを取りに帰りながら、思いました。
きらきらは、止まることも、流れることも、どちらも大事なんだ。
川は、今日も、ひみつを抱えて流れています。




