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きらきらが消えない夜

 きらきら町の夜は、しずかです。


 街灯の光も、星の光も、昼よりやさしく見えます。夜になると、町の音は、小さくなります。


 その夜、ソラは、なかなか眠れませんでした。


 窓の外を見ると、道に、小さな光がいくつも落ちています。


「……きらきら?」


 いつもなら、夜になると、きらきらは見えなくなります。


 でも、この夜はちがいました。


 道も、屋根も、木の葉の上も、ほのかに光っています。


 ソラは、そっと外に出ました。


 夜の空気は、ひんやりしていて、でも、こわくありません。


 歩くたび、足元のきらきらが、消えません。


「いつもなら、すぐ消えるのに」


 公園まで来ると、白いねこ――キラが、ベンチの上にいました。


「キラ、きょうはどうしたの?」


 キラは、にゃあ、と鳴いて、空を見上げました。


 空には、雲がありません。星が、たくさん出ています。


 そのとき、後ろから声がしました。


「今日は、消えなくていい夜なんだよ」


 振り向くと、パン屋のおじさんが、店じまいの帰り道でした。


「消えなくていい?」


「うん。がんばった日だから」


 ソラは、思い出しました。


 今日は、町のおそうじの日でした。


 朝から、みんなで道をそうじして、花だんに水をやって、古いベンチを直しました。


 大きなことではありません。


 でも、町のみんなが、同じ日に、同じことをしました。


「そういう日はね」


 パン屋のおじさんは、道を見ました。


「きらきらが、夜まで残るんだ」


 ソラは、足元の光を見つめました。


 きらきらは、強く光っていません。でも、たしかに、そこにあります。


「じゃあ、朝まで?」


「朝までは、いないよ」


「どうして?」


「休む時間も、だいじだから」


 その言葉を聞いて、ソラは、少し安心しました。


 きらきらも、休む。


 それは、いいことのように思えました。


 夜が、だんだん深くなります。


 空の星と、地面のきらきらが、ゆっくり近づくような気がしました。


 キラが、ソラの足に、すりっと体をよせました。


「もう、帰ろうか」


 家にもどると、きらきらは、少しずつ消えていきました。


 でも、ソラの胸の中には、あたたかい光が、ひとつ残っています。


 それは、朝になっても、消えませんでした。


 きらきら町には、ときどき、消えなくていい夜があります。


 そんな夜があるから、次の日も、歩いていけるのです。

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