きらきらを集めないかご
きらきら町のはずれに、小さな道具屋がありました。
店の前には、木でできたかごが、たくさん並んでいます。大きいかご、小さいかご、深いかご、浅いかご。どれも、とてもていねいに作られていました。
でも、その中に、ひとつだけ、変わったかごがありました。
何も入っていないのに、底が、きらきら光っているのです。
「それは、集めないかごだよ」
道具屋のおばあさんが、ソラに言いました。
「集めない、って?」
「きらきらを、入れないかごさ」
ソラは、首をかしげました。
「入れないなら、なんで、かごなの?」
おばあさんは、にこっと笑いました。
「入れないために、あるんだよ」
ソラは、そのかごを持ってみました。見た目よりも、ずっと軽くて、あたたかい感じがします。
「これ、どうするの?」
「持って歩くだけでいい」
その日、ソラは、集めないかごを持って、町を歩きました。
道ばたに、きらきらが落ちています。
ソラがかごを近づけると、きらきらは、すっと浮かび上がり、かごの中に……入りません。
代わりに、ふわっと空にのぼって、消えてしまいました。
「えっ」
びっくりしていると、近くにいた人が言いました。
「あれ? なんだか、胸が軽くなった」
次の場所でも、同じことが起こりました。
きらきらは、かごに入らず、空へ。
そして、近くにいた人が、少し笑顔になります。
「これって……」
ソラは、だんだん分かってきました。
このかごは、きらきらを集めるものではありません。
きらきらを、手ばなすためのかごなのです。
夕方、ソラは道具屋にもどりました。
「このかご、すごいね」
おばあさんは、うなずきました。
「みんな、つい集めたくなるからね」
「きらきらも?」
「うれしい気持ちも、がんばったことも、持ちすぎると重くなる」
ソラは、かごをそっと置きました。
かごの底は、さっきより、少しだけ明るく光っていました。
「また、使っていい?」
「もちろん」
きらきら町には、集めなくていいものが、たくさんあります。
それを教えてくれるのが、集めないかごでした。




