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きらきらと夜の約束

 夜が近づくと、きらきら町は、昼とはちがう顔になります。


 空は深い青になり、星は、まだ少ししか見えていません。町の音も、だんだん少なくなっていきました。


 ソラは、夕ごはんを食べ終えて、外へ出ました。


「ちょっとだけ、散歩してくる」


 白いねこ――キラも、静かについてきます。


 夜の道には、昼のきらきらは、あまり見えません。


 でも、よく目をこらすと、暗がりの中で、かすかな光が、ぽつり、ぽつりと動いていました。


「夜のきらきらは、ひそやかだね」


 キラは、小さく鳴いて、前へ進みます。


 広場に着くと、だれもいません。


 昼に人が集まっていた場所は、今は、しんと静まっていました。


 そのとき、空の下から、ちいん……と、かすかな音が聞こえました。


「音?」


 ソラは、耳をすませました。


 それは、鈴の音のようでもあり、風の音のようでもあります。


 きらきらが、地面から、ゆっくり集まりはじめました。


 光は、円をえがき、その中に、やわらかな暗さを作ります。


 ソラは、なぜか、その中に入ってはいけない気がしました。


 ただ、見ていると、安心するのです。


「夜の約束……?」


 ソラは、そうつぶやきました。


 約束は、言葉だけじゃありません。


 同じ時間に眠ること。


 静かに過ごすこと。


 明日を待つこと。


 きらきらは、その約束を、夜のあいだ、守っているようでした。


 キラは、光の外で、丸くなりました。


 まるで、「ここまでだよ」と言っているみたいです。


 しばらくすると、きらきらは、ゆっくり地面にしみこんでいきました。


 音も、消えます。


 夜は、ちゃんと夜に、なったのです。


 ソラは、深く息をすいました。


 胸の中が、静かに整っていくのを感じます。


 家へ帰る道、星が、少し増えていました。


「明日も、ちゃんと朝になる」


 そのことを、夜のきらきらは、約束してくれた気がしました。


 家に入ると、キラは、すぐに寝床へ向かいました。


 ソラも、布団にもぐります。


 外は暗くても、不安はありません。


 夜には、夜の光があるからです。


 きらきら町の夜は、今日も、だれかと明日を、そっと約束していました。

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