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きらきらをひろうねこ

 きらきら町には、白いねこが一ぴき住んでいました。


 名前は、まだありません。町の人は、「あのねこ」とか「しろいの」とか、思い思いに呼んでいました。


 そのねこは、朝になると町を歩きます。


 屋根の上、石だたみの道、パン屋の前、学校のうら。

 そして、ときどき、立ち止まります。


 そこには、きらきらが落ちているのです。


 ねこは、きらきらを見つけると、前足でちょん、とさわります。

 すると、きらきらは、ころんと転がって、ねこのひげの先に集まります。


「にゃあ」


 ねこは、満足そうに鳴いて、また歩き出します。


 ある日、ソラは学校の帰りに、そのねこを見ました。


「また、あのねこだ」


 ねこは、道のまんなかで、何かを集めています。


「なにしてるの?」


 ソラが聞くと、ねこは、ちらっと見て、また前足を動かしました。


 ひげの先で、小さなきらきらが、たくさん光っています。


「……きらきら?」


 ソラがしゃがみこむと、ねこは逃げませんでした。


 それどころか、くるっと向きを変えて、歩き出します。


「ついてきて、ってこと?」


 ねこは、返事のかわりに、しっぽをゆらしました。


 二人が行きついたのは、公園のすみでした。


 ベンチのそばで、小さな女の子が、うつむいています。


「どうしたの?」


 ソラが声をかけると、女の子は言いました。


「だいじなビー玉、なくしちゃったの……」


 ねこは、その足元に行き、ひげをふるふるとふりました。


 すると、ひげの先についていたきらきらが、ぽろぽろ落ちます。


 きらきらは、地面の上で形を変え、ころん、と丸くなりました。


「あ……!」


 女の子が目を見開きます。


「それ、わたしの!」


 そこにあったのは、青いビー玉でした。中で、光がきらきらゆれています。


「よかったね」


 ソラが言うと、女の子は、何度も頭を下げました。


「ありがとう、ねこさん」


 ねこは、にゃあ、と小さく鳴きました。


 その日の夕方、ソラは気づきました。


 町のあちこちで、きらきらが少なくなっているのです。


「ねこが、ひろってたんだ」


 でも、町は暗くなっていません。

 むしろ、前より、あたたかい感じがしました。


 ねこは、きらきらを集めていたのではありません。


 もとの場所に、かえしていたのです。


 次の日、ソラはねこに言いました。


「名前、つけてもいい?」


 ねこは、ひげをぴくっと動かしました。


「じゃあ……キラ」


 ねこは、少し考えるように空を見てから、にゃあ、と鳴きました。


 それは、気に入った、という声に聞こえました。


 きらきら町には、今日も、見えないところで、きらきらが動いています。


 それをひろうねこがいることを、知っている人は、まだ、少しだけです。

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