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きらきらと忘れもの

 朝のきらきら町は、少しあわただしいです。


 学校へ行く子、仕事へ行く人、買いものへ行く人。足音が、あちこちで交わります。


 ソラも、ランドセルを背負って、家を出ました。


「いってきます」


 白いねこ――キラは、玄関まで見送りに来ます。


 道を歩いていると、足元で、きらりと光るものがありました。


「あれ?」


 見ると、小さなハンカチが、落ちていました。


 青い布に、星のもよう。きらきらが、しみこんだみたいに、やわらかく光っています。


「忘れものだ」


 ソラは、ハンカチをひろいました。


 そのとたん、きらきらが、ふっと動き、道の先へ流れました。


「……あっち?」


 ソラは、光を追いました。


 学校とは、ちがう道です。


 少し迷いましたが、ソラは、歩きつづけました。


 角を曲がると、泣き声が聞こえました。


「……ない……」


 小さな女の子が、立っています。


「どうしたの?」


「ハンカチ、落としちゃった」


 ソラは、手に持っていたハンカチを見ました。


「これ?」


 女の子の顔が、ぱっと明るくなりました。


「それ!」


 ハンカチを渡すと、きらきらが、ふわっと広がりました。


 光は、女の子のまわりを、くるっと一周します。


「ありがとう」


 その声にも、きらきらがまじっていました。


 ソラは、ほっとしました。


 学校へ向かおうとすると、今度は、足元で、また光が動きます。


 今度は、えんぴつでした。


「また、忘れもの」


 えんぴつは、ころころ転がりながら、光を引いて進みます。


 ソラは、少し走りました。


 橋の手前で、男の子が、ランドセルの中を、さがしています。


「どうしたの?」


「えんぴつ、なくした」


 ソラは、えんぴつを差し出しました。


「これ?」


「それ!」


 二人で笑うと、きらきらが、足元ではねました。


 学校に着くころ、ソラは、少し息が切れていました。


 でも、心は、軽くなっています。


 忘れものは、ただの物ではありません。


 だれかの気持ちや、大切な時間が、いっしょに落ちているのです。


 きらきらは、それを、元の持ち主のもとへ、連れていきます。


 放課後、ソラは、空を見上げました。


 今日は、忘れものを、いくつも拾いました。


 でも、何も、失っていません。


 むしろ、少し増えた気がしました。


 きらきら町では、忘れものも、ちゃんと帰る道を、知っているのです。

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