きらきらが眠る夜
冬の夜は、きらきら町を、やさしく包みます。
日が落ちるのが早くなり、空は、まだ夕方なのに、もう夜の色をしています。町の明かりが、ひとつ、またひとつ、ともりました。
ソラは、窓のそばに立って、外を見ていました。
「夜って、長くなったね」
白いねこ――キラは、ソラの足元で、丸くなっています。
外のきらきらは、昼よりも、少なく見えました。
「夜になると、きらきらは、どうして少ないんだろう」
ソラがつぶやくと、キラは、ゆっくり目を閉じました。
その夜、ソラは、ふと目をさましました。
部屋は暗く、時計の音だけが聞こえます。
こち、こち
そのとき、床のすみに、小さな光が見えました。
「……きらきら?」
よく見ると、光は、動いていません。
まるで、眠っているみたいです。
ソラは、そっと近づきました。
光は、あたたかくもなく、つめたくもありません。ただ、静かでした。
キラも起きて、光のそばに来ます。
キラは、光をまたぐようにして、丸くなりました。
「寝てるの?」
ソラが聞いても、光は答えません。
かわりに、部屋の空気が、ふわっとやわらぎました。
ソラは、思い出しました。
昼、たくさん光っていたきらきら。
人が歩き、話し、笑っているあいだ、ずっと動いていました。
「夜は……休む時間なんだ」
ソラは、毛布を少し持ってきて、床の光に、そっとかけました。
すると、光は、ほんの少し、ゆるやかに光りました。
まぶしくはありません。
でも、安心したみたいでした。
外を見ると、町の家々の中にも、同じような光が、ぽつぽつ見えます。
どの光も、静かで、動きません。
夜のきらきらは、眠っているのです。
ソラは、ベッドにもどりました。
キラも、いっしょにのぼって、丸くなります。
「おやすみ、きらきら」
そう言うと、胸の中が、少しあたたかくなりました。
次の日の朝、目をさますと、きらきらは、また元気に光っていました。
夜に眠ったぶん、昨日よりも、少しまぶしく見えます。
ソラは、思いました。
光も、休むから、光れる。
夜は、何もない時間ではありません。
だいじな、休む時間なのです。
冬の夜、きらきら町は、今日も静かに、光を眠らせていました。




