きらきらと白い息
冬が、きらきら町に、しっかり腰を下ろしました。
朝、目をさますと、町は、しんと静まっています。屋根も道も、うすく白く、音が遠くなったみたいでした。
ソラは、外に出て、息をはきました。
「……はあ」
白い息が、ふわっと空にのぼります。
その白い中に、小さな光が、きらりとまじりました。
「え?」
もう一度、息をはきます。
はあ……
やっぱり、白い息の中に、きらきらが見えました。
白いねこ――キラも、息をはきます。
ふう……
キラの白い息の中にも、小さな光が、ちらりと光りました。
「白い息の中にも、きらきらがあるんだ」
ソラは、少しうれしくなりました。
町を歩くと、人の息、人の動きが、白く見えます。
だれかが笑えば、白い息が、やさしく広がり、だれかが急げば、白い息は、速く流れます。
そのすべてに、かすかな光が、まじっていました。
学校の帰り道、ソラは、橋の上で立ち止まりました。
川から、白いけむりのようなものが、立ちのぼっています。
「川も、息してる」
川の白い息の中にも、きらきらが、ゆっくり動いていました。
そのとき、となりで、小さな声がしました。
「さむい……」
見ると、マフラーをしていない男の子が、体を小さくしています。
ソラは、ポケットから、自分のマフラーを少し引っぱり出しました。
「いっしょに使おう」
二人でマフラーをまくと、白い息が、重なりました。
重なった白い息の中で、きらきらが、少し増えたように見えます。
「あったかい」
男の子が言いました。
その声にも、光がまじっていました。
夕方になると、空は、うすい青から、やさしい紫に変わります。
町の人たちの白い息は、だんだん見えなくなっていきました。
でも、ソラは知っています。
見えなくなっても、白い息は、消えたわけじゃない。
きらきらも、そこにある。
家に帰ると、キラは、ストーブの前で丸くなりました。
ソラは、手をストーブにかざしながら、息をはきます。
白くはならなくても、胸の中が、少しあたたかくなりました。
冬の白い息は、見えるときだけ、光るのではありません。
だれかを思ったとき、だれかと近づいたとき、その中で、きらきらは、そっと生まれるのです。
きらきら町の冬は、静かに、深まっていきました。




