きらきらのたね
きらきら町には、小さな公園があります。
公園のまんなかには、土だけの花だんがありました。春になっても、夏になっても、そこには何も咲きません。
「ここ、ずっとはだかだね」
そう言ったのは、きらきら町に住む男の子、ソラでした。
ソラは毎日、学校の帰りに、その花だんをのぞいていました。何もないのに、なぜか気になったのです。
ある日、夕方の公園で、ソラは光るものを見つけました。
「……あれ?」
花だんの土の中で、小さな光が、ちかちかしていました。星みたいだけれど、空にはありません。
ソラは、そっとしゃがみこみました。
土の上にのっていたのは、きらきらのたねでした。
たねは、あたたかくて、手のひらの中で、やさしく光っています。
「たね……?」
ソラは、少し考えてから、たねを元の場所にもどしました。
「花かもしれないし」
次の日も、その次の日も、ソラは公園に来ました。
たねは、まだ土の中で光っています。でも、前より少しだけ、大きくなった気がしました。
雨の日も、風の日も、ソラは花だんを見ました。
「まだかな」
ある朝、花だんの上に、小さな芽が出ていました。
芽は、みどり色で、先っぽがきらきらしています。
「やっぱり!」
ソラが声をあげると、近くで見ていた女の子が言いました。
「それ、なに?」
「きらきらの花だよ。たぶん」
数日後、芽は大きくなり、つぼみをつけました。
そして、ある夕方。
花は、ぽん、と音がしそうなくらい、元気にひらきました。
花びらは白くて、まんなかが、やさしく光っています。
公園に来た人たちは、足を止めました。
「きれいだね」
「なんだか、元気になる」
ソラは、少しだけえらい気持ちになりました。でも、すぐに思いました。
「ぼくがえらいんじゃない。たねが、がんばったんだ」
その日から、花だんは、きらきら町の人気の場所になりました。
でも、花は一つだけです。
それでも、町は前より明るくなりました。
きらきらは、たくさんなくてもいいのです。
ひとつあれば、ちゃんと、ひろがっていくのです。




