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【財政出動】PB黒字化を「複数年度」にする効果はどれほどか? 【レアアース採掘】  作者: 中将


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1/2

前半 「複数年度」にすることは効果があるが実現できるかは謎

筆者:

本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。


今回は高市首相が11月7日の予算委員会の答弁で示した、PB黒字化目標を単年度から複数年度にすることの意義や会議で判明した強化したい17項目について、これまでの「日本の財政のガラパゴス」などについて語っていこうと思います。



質問者:

「PB黒字化目標」というのは税収内で全ての支出を賄う目標のことで、


以前から筆者さんが困窮する国民を救うために撤廃するべきだと言われていた目標のことですよね。



筆者:

そうです。現状、格差を示すジニ係数は過去最悪でG7では2番目に悪く、

生活すらも危うい状況であるために結婚することもままならない状況です。


特に若者世代の格差是正をすることこそ少子化対策にもなり、そのための財政出動は必須だと考えます。


またエネルギー資源の発掘やイノベーションのための技術革新も推進していく必要があると考えています。



質問者:

日本は自国通貨建ての借金の上に日銀が半分以上を引き受けているために、財政出動をしても破綻をしなく、


インフレになることが財政出動の最大のリスクになるというお話でしたが、

現状は需要によるインフレではないため大丈夫だというお話でしたよね?



筆者:

そうです。需要が多いことによるインフレをディマンドプルインフレと言いますが、

日本人の消費に限って言えばずっと横ばいです。


2022年当初は円安と輸入価格の上昇によるもの。ここ2年ほどは賃上げによるコストプッシュインフレが原因です。


そのために一定レベルの財政出動を行うことは可能であると考えます。



◇PB黒字化を「複数年度」にする意味



質問者:

それで、本題に入りたいんですけど、私からするとPB黒字化目標を「単年度」から「複数年度」にしたところで何も変わらないような気がするんですけど……。



筆者:

実は全然違います。一体その複数年度を何年度分にするかで、どれぐらい予算を増やせるのかは分からないので何とも言えないのですが、


直近5年の予算で示された日本の税収合計(カッコ内は主な税収)を見ていただきたいのですが、


令和3年度 67.0兆円(消費税21.9兆円 所得税21.4兆円 法人税13.6兆円)


令和4年度 71.1兆円(消費税23.1兆円 所得税22.5兆円 法人税14.9兆円)


令和5年度 72.1兆円(消費税23.1兆円 所得税22,1兆円 法人税15.9兆円)


令和6年度 75.2兆円(消費税25.0兆円 所得税21.2兆円 法人税17.9兆円)


令和7年度 77.8兆円(消費税24.9兆円 所得税22.7兆円 法人税19.2兆円)



このようにここここ3年で比較すれば5兆円、5年で合計すると10兆円税収は増えています。


言わば、未来の税収増分も加味した上での「PB黒字化」を意味するために現状よりも年間5~10兆円分予算を増やせるということです。



質問者:

実際のところその更に5年や10年前と比べるとどの程度増えているんでしょうか?



筆者:

平成28年度は計55.5兆円 平成23年度は42.8兆円でした。ただ、平成23年はリーマンショックなどの影響もあって大きく下がっているのでちょっと例外的な存在ですね。


アベノミクス前は横ばいで50兆円前後で推移していた感じです。


つまりアベノミクスによって経済成長や国民生活は豊かにはなりませんでしたが、税収増と国の財政改革は成功していたと言えます。

これを国民に還元する必要があるのです。


正直なところその間の一般国民に対する還元なんて、コロナ渦の10万円給付と雇用調整助成金による雇用保障、事務手続きが増えた岸田政権の所得減税ぐらいなものです。


後は住民税非課税世帯へはここ数年数万円が給付されていますけど、働いている人への給付や減税というのは行われてこなかったのが実情なのです。



質問者:

なるほど。アベノミクス前と比べて20兆円も税収が増えていたのに貧富の差が拡大しているのは納得いきませんね……。


ところで、5~10兆円予算が増えるとして、具体的にどんなことにお金が使われるのでしょうか?



筆者:

実はその内容が一番重要だと思います。


11月4日の日本成長戦略本部の会議で定義された項目としては、


AI・半導体


造船


量子


合成生物学・バイオ


航空・宇宙


デジタル・サイバーセキュリティ


コンテンツ


フードテック


資源・エネルギー安全保障・GX


防災・国土強靱化


創薬・先端医療


フュージョンエネルギー


マテリアル(重要鉱物・部素材)


港湾ロジスティクス


防衛産業


情報通信


海洋


の17分野を重点的に強化することを決めたようです。



質問者:

どれも必要そうに見えますからこれらが推進されるのであれば安心ですね。



筆者:

ところが11月10日、首相官邸で「強い経済」の実現を目指す「日本成長戦略会議」(議長・高市早苗首相)の初会合では、これら17分野に関して、


「新たな減税措置を通じて民間の設備投資を促す方針」


だそうです。


国民に対しては減税の方が良いと訴えていますが、

技術開発に関しては給付の方が絶対に良いです。


なぜなら、ベンチャー企業などは利益が出ていないところが多く、

「払っている税金そのものが無い」可能性は十分あり得るからです。


またしても大企業優遇一辺倒の政策であると言えます。



質問者:

ただ、給付だと結構大変じゃないですか?



筆者:

何もやっていないのにやったように見せかけるとか、水増しして請求したりするなどの不正受給はいけないと思いますけど、


ある程度「無駄っぽいところにも支援」することになってもやむを得ないと思いますよ。


これまでの固定観念を覆すようなイノベーションというのは一見無駄そうなところにあったりもしますからね。


また、減税をするにしたってこういうのは1企業ごとに減税をするかしないかの審査が結局のところ必要ですし、やる手続きや手間は変わらないと思います。


そのために、赤字企業や利益がほとんど出ていない企業に対しての門戸を開く意味でも給付にするべきでしょう(個人の場合は給付より減税の方が手間がかからないという利点があります)。



質問者:

確かに、儲かっていなくても技術は優れているかもしれない会社はあるでしょうからね……。



筆者:

日本の大企業は雇用などを支えてきた意味では大きいと思いますけど、これまで散々補助金やら減税やらで優遇してきたのに「イノベーションしてきたのか?」という意味ではあまり活躍していないように思います。


それなら中小企業を支援する方向性の方が良いと思うんですけどね。



質問者:

なるほど……それは言えていますね……。



筆者:

ただ、この中の資源と海洋については国会の他党との代表質問の中で期待したいなと思ったことが一つありまして、


『南鳥島周辺海域でのレアアース開発についても、日米間の具体的な協力の進め方を検討してまいります』


とあるんですね。


本当なレアアースを日本だけで独占したいのはやまやまなんですけど、


中国の空母「遼寧」が2025年6月に太平洋にも進出し、レアアースが多く眠っている南鳥島から約300kmの海域を航行したということがありまして、もはや中国が「軍事的威嚇」までして邪魔をしようとしているわけです。


日本が部隊を動かせばまた「9条が大好きな人たち」が大きくは反対をするでしょうから

アメリカと協力をして採掘することには大きな意義があるわけです。



質問者:

日本の今の安全保障の状況から言っても、アメリカさんに頼るしか無いわけなんですね……。



筆者:

米軍も多く駐留していますしこの辺りは妥協するしかないです。


また、上手く利権の一部や輸出優先権などを与えて交渉することができれば関税引き下げの「80兆の投資」の中にも加えてくれるかもしれません。


そしたら日本にもアメリカにも美味しいでしょうし、良いと思います(本当なら日本が全ての権利を得て良いと思いますけど「背に腹は代えられない」状態です)。



◇円安を軽減できるかどうかは「財政出動の内容」次第



質問者:

そういう理想的なことになったら良いですけどね……。


私が注目しているのは物価にも影響する円安の問題です。


高市さんが自民党総裁になってから8円ほど円安になっているんですがこれについてはどういう影響がありそうなんですか?



筆者:

ご指摘通り、仮にも1ドル=160円ラインを超えるようなことがあれば更なる物価高にも繋がることでしょう。


これは市場が高市政権の財政出動などによって国債を発行することに警戒感があるからでしょう。


ただ、的外れな政策や中途半端な支援ではイノベーションは生まれにくいんじゃないかと思います。


国民に対する支援についてはお米券や商品券の配布や所得減税、ガソリン減税と何とも言えない政策ばかりですからね。



※かといって消費が横ばいなのに利上げをして円高を狙う方向性は変動金利の返済金額が増えるなど非常に危険です。



質問者:

収入に関わらず一定の率で固定になっている社会保険を累進制度にしようというのが筆者さんの提案ですよね……。



筆者:

低所得者ほど社会保障の負担があまりにも大きすぎますからね。


ただ、この「複数年でのPB黒字化目標」については6月あたりの閣議決定で決まるのですが、それについて高市首相は11月10日の予算委員会で


「ただちに閣議決定をやり直して、この(PB黒字化の)目標を反故にするということではない」


とも言及しており、


「単年度PB黒字化目標」が完全に排除されたわけでもないようです。



質問者:

……ということは結局のところこれまでの自民党の政策と変わりないということなんですか?



筆者:

いえ、高市政権の経済政策をどう評価するかは時期尚早というところでしょうか。


今回の臨時国会で所得税の壁引き上げを178万円以上にして今年の年末調整に間に合わせることができるのならば、30点~40点ぐらいの評価して良いと思いますよ(これまでの政権がゼロかマイナスだったため)。


前半では、このようにいつもながらの自民党&高市首相ネガティブキャンペーンがほとんどになってしまったのですが、


一方で高市首相に経済財政諮問会議の民間議員に任命された「ブレーン」というべき学者の方が僕の考え方とかなり近いことを「希望」と言えるかもしれないことについて後半は触れていこうと思います。

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