第三章 勇者パーティとの共闘編
勇者アルディスとの邂逅から数日後、俺は思いがけずギルドの作戦会議室に呼び出された。
集まったのは、金髪の勇者アルディス、その隣に立つ智将エリナ、筋骨隆々の盾役ガロン、紅一点の魔女リサ——この世界最強と謳われる勇者パーティだった。
「……本題に入ろう」
アルディスが切り出す。その目は真剣そのものだった。
「隣国フルミナに、魔王軍幹部『災厄の巨人』が現れた。討伐要請が来ているが、奴の力はこれまでの常識を超えている。お前、協力してくれないか?」
なんでも、勇者パーティのみでは戦力が不足しているらしい。俺は一瞬だけ悩んだが、すぐに応じることにした。
「いいですよ。戦力の足しになるなら」
パーティメンバーは少し驚いた顔をしたが、誰も反対はしなかった。
フルミナ遠征
数日後、俺たちはフルミナ領境に集結。
戦場には山よりも大きい禍々しい巨人が暴れ、兵士たちが次々と吹き飛ばされていた。
「くっ……魔法障壁でも耐えられないぞ!」
「前衛を固めろ、少しでも足止めを!」
勇者パーティはすぐさま連携して戦い始める。
アルディスが聖剣で巨人の足を斬り、ガロンが盾で攻撃を受け止め、エリナが指揮と魔法で援護し、リサが回復を担当——どの動きも無駄がなく美しい。
だが巨人は、勇者の聖剣すら意に介さず、無限の再生能力で立ち上がる。
「これが……災厄の巨人か……」
俺は一歩前へ。メンバーから「危ない!」と叫ばれるが、そっと右手を向けて軽く呟いた。
「——無量大数パンチ」
空気が震え、巨人が何の抵抗もなく消滅した。地面さえ傷つかず、跡形も残らない。
「…………」
戦場が静まり返る。勇者パーティも、兵士たちも、俺の一撃に息を呑んだ。
「……お、お前、何をしたんだ?」
アルディスが呆然と問う。俺はただ苦笑して答えた。
「ちょっと力を使っただけです。これで、戦いは終わりましたよ」
勇者パーティの反応
フルミナの王が駆けつけ、俺を称える演説を始める。ギルドも祝賀ムードに包まれ、俺は一晩中歓待された。
その夜、勇者パーティは酒場の個室で俺に語り掛けた。
「お前は……俺たちより遥かに強い。でも仲間になってくれてありがとう」
「あなたがいてくれれば、この世界は安心です」
「次は魔王軍本隊だな! 一緒に突っ込もうぜ!」
「でも……普段は力、隠してくれた方がいろいろ都合いい気もするわ」
どうやら、俺は正式に最強パーティの一員となったらしい。
こうして、俺の異世界無双は新たなページを刻み始めた——。