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逃亡先、鉱山の出会い

「どうか、婚約をお断りできませんか?」


 私は、皇太子アルヴィン殿下の前で、頭を下げぶていた。


 深々と。


 しかし彼は、涼しげな瞳をかえず、淡々とした声でいった。


 「理由は?」


 「え?」


「俺は、陛下の命に従っただけではない。…君を気に入っている。だから、この婚約に異論はない。」


 うそでしょ⁉ゲームでは、もっと冷たくてツンツンしてたじゃん!


 「えっと、その…私は皇太子殿下のような高貴なお方には、ふさわしくありません!それに、私虫がすきなんですよ!」


 「…虫?」

 

「はい!虫が好きで、特に蝶々が!芋虫の時には考えられない、大人になった時飛び立つ姿に力がもらえるんです。だから、王宮よりは自然の中が好きで、結婚より、森とか鉱山にいってみたいんです。」


 焦りすぎて、自虐的な発言になったが、何とか皇太子は目を少し細めてー-笑った。


 「面白いね!」


 「…は?」


 「じゃあ、次の休暇に君の好きな場所に案内しよう。君が好きな森でも鉱山でも」


  そう言って、彼はさっさと部屋を後にした。まるで私の様子を楽しんでいるように。


  残された私は、膝から崩れ落ちた。 


(なによ、これ。皇太子うぶキャラの皮をかぶった天然タラシ⁉)


 けど、考えてみたらこれって、チャンスだよね!


 (逃げる場所、出来たんじゃない?)

 

 翌週、王宮の馬車に乗せられ、私は皇太子つきの護衛数名とともに鉱山のある南部地方へ行くことになった。理由が、虫が好きだからって⁉


 我ながら意味不明な理由だけど、義妹レティシアから物理的に距離がとれるんだからよし。


 そして着いたのは、小さな村と広がる森、そして未開発の鉱山。


 「わぁ!キラキラしてきれい!」


 岩肌に、淡く輝く青緑の結晶。ここは、ゲームに登場しなかった。だから、鉱山の名前も知らない。


 だが、近くにいた鉱夫の少年が、少し興奮気味に教えてくれた。


 「お嬢さん、それは最近発見された“ルクス石”って鉱山です。ほんの少量で、熱や魔力を安定して供給する力があるって…」


 ルクス石。初耳だけどどうやらものすごい発見らしい。


 (これ…この鉱山、使えるかも)


 そう、この村に拠点をおき、ここを生き延びるための隠れ家にしたらいいんだわ!


 レティシアの手が届かない場所で、何かあった時に逃げ込める場所をつくる。そのための資金も、鉱山なら得られるはずよ。


 「…皇太子殿下には秘密にできないよね。」


 無謀な計画。でもわたしは知ってる。


 “何もしなければ、崖から突き落とされて死ぬ”ってことを。


 帰り道、馬車の中で皇太子アルヴィンが私に向かってぼそりとつぶやいた。


 「君が楽しそうで何よりだ。…君の瞳は危険の中にいるほど輝くね!」


 「えっ⁉」


 「何でもない。」


 なんか、私に興味持ちすぎじゃない⁉前世の記憶とずれてるような。


 (この鉱山が命綱になりますように!)


 そう決意した私の中に、小さな反撃の炎がともった。 


ー-でも、この鉱山にも秘密があるなんて、私はまだ知らなかった。

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