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緑の拳士~ゴブリンハーフは魔法が使えない~  作者: ハンドレットエレファント


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301/305

301.グリフの鞄から出て来た物は

「浄化の光、だと……? 貴様この状況に恐れをなして気でも触れたのか?」


アグライアの突然の提案にガルドが半ば呆れたような顔を見せる


「いいや、至って冷静だ できれば貴方にも冷静に考えてもらいたいものだな 元隊長どの」


そんなガルドの視線を少しも気にせず、アグライアは言い返した



「な、なぁなぁ 浄化の光ってなんなんだよ? そんなすごい伝説の魔法!とかそんなのなのか?」


「そんな都合のいい秘術がホイホイと出てくるわけなかろうが! ……神聖騎士団では定番の死体処理の魔法だ」


【浄化の光】というなんとも神秘的な響きに目を輝かせたグリフだったが、ガルドの言葉を聞いた途端にその目の輝きを失った




「し、死体処理て……、あのイキったおっさんピンピンしてるぜ?」


「知らんのか貴様……神聖騎士団は魔獣討伐や敵性亜人の処理をした際に死体をそのままにできんからその場で焼却する、その時に魔獣の種類によって……は……」


死んだ目のグリフに仕方なしに説明をするガルドだったが、しゃべりながら自分の言葉に何かを気づいたのか言葉を止めて目をわずかに見開いた



「どうだ、元隊長殿? 何か気づくことがあったか?」


「なるほど、荒唐無稽にもほどがあるが確かに現実味のある話だな 在職時は無能だった貴様にしては上等な気付きだと誉めてやろう、元副官」



ガルドが何かに納得したかのようにニヤリとアグライアに笑って見せる


グリフは二人が何かに勝手に納得している事が理解できず、交互にその顔を覗き込んだ



「お、おいおい オイラにもわかるように説明してくれよ その蚊帳の中に入れておくれよ!」


「すまない、話の途中だったなグリフ…… ガルドが言った通り、浄化の光という魔法は主に討伐した魔獣の焼却の下準備で使う魔法なんだ、その効力は……」




「対象の帯びている魔力を一時的に大幅に弱体化させる、大型の魔獣なんかはそうしないとまともに炎魔法が付かないから焼却できないんだ、つまり……」


「つまりなんだっての?」






ほぼ答えを言っているつもりのアグライアだったが、グリフはさっぱりわからない顔を見て思わず苦笑いをする


ガルドはもうグリフに興味を無くしたかのようにブツブツとその魔法について思考を重ね始めていた



「浄化の光で5秒……いや3秒でもあの魔力を無効化できればダメージは通る……通るとしてどの魔法を選ぶ……しかし……いや……」


「おっさん? だからどうなるんだよおっさん? なぁなぁ! ……ダメだ、目が完全に違う世界に行っちゃってる」


「ははは…… つまり魔法攻撃が通用するようになるってことだよ、だが問題はまだあるんだが……」





アグライアは眉間にしわを寄せて難しい顔を浮かべる





「私とガルドで浄化の光を展開するとして、魔力が足りるかどうか……」


「アグライア、手持ちの魔鉱石はないのか?」


「多少はあるが、正直心もとないな…… ガルド、お前は?」


「残数0だ あの蜥蜴とやりあってるときに使い切った」



二人が深刻な顔で魔力のやりくりについて思案を巡らせてる時、気の抜けた発言が飛び出す


「魔鉱石? あるぜ?」


グリフがずっと抱えていた身の丈以上のボロボロのカバンを何やらごそごそとしながら軽く言い放つ


「おい亜人、1個や2個の安物の魔鉱石でどうこうなる話ではないのだ 適当な横やりを入れるならその横っ面を……」





ガラァン、ガシャガシャガッコーン。





何かをいいかけたガルドをカバンをひっくり返したグリフが無表情で見つめる

カバンからは美しい青色の輝く魔鉱石が小山に積みあがるほどに零れ落ちていた





「足りる? 足りないならもう少しカバンに入ってるけど?」


「横っ面……を……」


「横っ面がなんだって? おっさんに頬ずりされてもオイラ嬉しくねぇけど?」





魔鉱石の山にガルドの目が点になる

グリフは特にドヤ顔などすることなくもう一つのカバンを引っ張り出そうとしていた




「ぐ、グリフ! お前こんな量の魔鉱石どこから……しかもなんだこれは? こんな青い魔鉱石見たことがないぞ」


「あぁ、これ? これは……」


「蒼魔鉱石……! 何故こんなものを貴様が持っている! それもこんなにも大量に!?」




ガルドがその魔鉱石を掴みながら肩を震わせてグリフを睨み、グリフはそんなガルドの勢いに思わず両手を上げて冷や汗を流した




「な、なんでって……その……あの……」


「ま、待てガルド! そもそもその蒼魔鉱石というのはなんなのだ……!?」


「蒼魔鉱石は従来の魔鉱石と違って魔法と反応しても即座に消失せず、その形を保ったまま出力を一定化する、しかも魔力が枯渇しても最充填が可能の……王都で秘匿されている精製術で作られる秘宝だ!」





ガルドが目を見開いてグリフの襟首を掴み、感情のままに振り回す





「私が王都からサンプルを盗み出してやっとの思いで精製できたコレを!なんで!貴様が!こんなに……言え!吐け!懺悔しろ!」


「ギ、ギブギブ……ギブブブブ」


「ば、馬鹿やめろ! グリフの顔色がまずいことになってる! やめろ馬鹿!」




もはやネックハンギングツリーの様な状態でグリフを締め上げるガルドを、もはや体当たりの勢いで割って入るアグライア

グリフは軽くせき込みながら、アグライアに抑え込まれながらまだ睨みつけてくるガルドの視線を逸らしながら話し始めた





「つ、作ったんだよ! テンドの爺さんに教えてもらって! ……元々は緑の民に伝わってた精製法だったらしいけどな」


「こ、ここに来てまたゴブリンが出てくるのか……! 忌々しい!」


「簡単に言うなよな、ほとんどあやふやになってた作り方をオイラが必死に試行錯誤して完成させたんだからよ……!」




歯を食いしばりながら何とも言えない表情でガルドはその魔鉱石を手に持ってその品質を確かめる




「こ、こんな亜人風情が作った物の方が私の作った物より純度が高いだと……! 屈辱だ……!」


「で、どうなんだよおっさん? これでどうにかできるか? リンファ助けられるのか?」


「……できるか、だと?」




グリフの言葉にガルドの目が怒りに燃え、グリフの全身に鳥肌が走る



「できるに決まっておろう……できるできないではない、私がやるのだ できないわけがなかろうが!?あぁ!?」



「ひっ」


激昂するガルドにもはや短く悲鳴を上げるのが精いっぱいのグリフ




「た、確かにこれだけの魔鉱石があればできるな……! お手柄だよグリフ! お前は大した奴だ!」


「そ、そういってもらえると助かるよ…… これでリンファの力になれるかな?」


「あぁ、やれる! やろう……リンファを助けて、アイツを倒すんだ!」




3人はゆっくりと立ち上がると、山の如く聳える滅王を見上げ、睨みつける


その頭頂部では猛攻を搔い潜りながら激戦を繰り広げるリンファの姿が見えた




「そうと決まれば時間が惜しい、やるぞアグライア それと……グリフと言ったか」




ガルドがグリフの名前を呼んだ事にアグライアは少し驚く

だが当のグリフは名前を呼ばれたことを気にもしていなかった


そんなグリフは戦い続けるリンファの背中を見上げ、その拳を握るので精いっぱいだったからだ



「おっさん、もう一回聞くけど魔鉱石はこれだけで足りるのか?」


「くどいぞグリフ、これだけあればお釣りが来る……残りは護身用でとっておけ」


「そか、わかった でもこれだけは渡しとくわ、多分おっさんとアグライアさんならうまく使えるだろ?」



グリフはそういいながら何かを二人に手渡した


いぶかしそうに手渡された薄っぺらい何かを見て、二人は驚きを隠せない


「き、貴様これは……!」


「リンファにも持たせてる、オイラじゃうまく使えねぇけどおっさんなら使えるだろ?」





ガルドとアグライアは手渡されたそれを握りしめ、ゆっくりと笑いながらうなづく


隕石は降り注ぎ、大地は炎に包まれる




三人はそんな極限の状況で戦い続けるリンファを助けるべく、作戦を開始した――――




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