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緑の拳士~ゴブリンハーフは魔法が使えない~  作者: ハンドレットエレファント


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298/309

298.青い炎が灯る

「リンファ!? く・・・セイクリッドチェーン!!!」


アグライアは一瞬何が起こったのかわからずあっけに取られてしまい、慌てて吹き飛ばされるリンファを助けるべく鎖を飛ばす

これまでどんな敵だって退けてきたリンファのあの技が、通用しなかった

その事実にアグライアは一瞬その身を強張らせてしまったのだ





「アグライア! 身を守れ馬鹿者がぁ!」



ガルドがそう言いながら障壁を展開しながらアグライアに覆いかぶさるように飛び掛かる

その勢いに放とうとした光の鎖はガルドの障壁に阻まれ霧散し、魔力の残滓を散らす



アグライアが声を上げようとした瞬間、空から夥しい数の隕石が地面に激突し、まるで戦場の様な大爆撃が大地に巻き起こった


「呆けるな! 貴様もすぐに障壁を張れ! あんなものが直撃したら痛みを感じる間もなく地面の染みと化すぞ!」


「で、でもリンファが・・・!」


「貴様が死んでどうする!!!」




鳴り響く大爆発に負けないほどの大声で怒鳴るガルドの声に我に返ったアグライアが歯を食いしばり障壁の魔法を詠唱する

障壁が展開された瞬間に隕石の爆風と跳弾が次々と激突し、あっという間に視界が消えた



不安そうに辺りを見回すアグライアの顔はあっという間に煙に消えて、大地は隕石に飲み込まれた








『これが人生最後に得る力だというなら・・・なんとも愉快だ!』


神代王の名を捨てた男・・・滅王はこみ上げる力と降り注ぐ隕石を見ながら悦に至る


『この力があれば神代王の命令の力などいらぬ・・・どうせ残り少ない命なら、事切れるまで全てを壊してくれる!』


滅王を名乗った男はその赤く染まった体で笑う




遥か昔、絶対命令の力にて上位種に埋め込まれた命令の最も邪悪な力【我と同化せよ】


だがこの力は、何かあった時の切り札などでは決してない


それを自覚している滅王は、笑いながら赤い涙を流した




神代王のとしての姿も、人としての姿も捨てた

絶対命令の力も無くし、人類が恐れる醜悪な化け物となり果てた




『我は処分されたのだ・・・! であればああああ!』



滅王が天を仰ぎ叫ぶと、翼よりマグマの如き炎が降り注ぎ大地を溶かしながら燃やす




『貴様等を塵芥に変えたのち、この大陸全てを破壊してくれるわああああ!』




――――――――――――――――――




リンファはその衝撃に失いかけていた意識をなんとかつなぎとめることに成功した


「う、うぅ・・・」


まだ覚醒しきらない意識を必死に取り戻そうと、リンファはそのぼやけた視界を必死に目を凝らす

そうすると突然に頭が持ち上げられたかと思うと、口をこじ開けられた




「う、うぅ!? うわ甘っ! 甘じょっぱ!? なんだこれ!!」


「うわ!吐くなリンファ! 結構貴重なポーションなんだぞ!?」




寝ぼけた口にいきなり流し込まれたドロっとした甘じょっぱい何かにリンファは思わずせき込みながら最悪の目覚めを体験する


思わずせき込みながら辺りを見回すと、リンファが手で弾いた小瓶を落とさないように必死でバランスをとるグリフの姿があった



「グ、グリフさん!?」


「このポーション、魔力由来の成分が入ってない特別製なんだぞ! わざわざ輸入品を用意したんだからな!」


何が起こったのかいまいち分かっていないリンファに、いつもと変わらない感じでグリフが眉をわずかに上げて文句を言う


状況を把握しようと体を起こそうとするリンファの目の前で、大地が割れんばかりに揺れながら、真っ赤な爆発が巻き起こった



「な、なにが!?」


「おい、立つなよ!この障壁そんなに大きく展開できないんだよ・・・用意してもらった障壁の魔法ロールと魔鉱石って相性最悪なんだよなぁ すぐ魔力が枯渇しちまう」

グリフがリンファの肩を押さえながら忌々しそうに空を眺める


その視線の先をリンファも追うと、そこには荒れ狂う巨大な龍の姿があった

そしてリンファはその姿を見て、自分の技が通用しなかったことを思い出した



「そ、そうか・・・僕、アイツに負けたんだ・・・」

リンファはそういうと拳を握りしめて小さくつぶやく


自分の中で最高の技を最高の瞬間に叩き込んだはずなのに、神代王・・・滅王には通用しなかった

その事実をリンファは改めて噛み締めた



「すげぇよなぁ・・・こうなってくるともう天変地異の類だよ アグライアさんたちも無事ならいいんだけど」


グリフはどこか緊張感のない顔で外の状況を眺めていた

そして思い出したように残っていたポーションをリンファに差し出すと、持っていたでかいカバンからゴソゴソと応急処置の道具を並べだした




「ほれ、飲めリンファ オイラの給金の2か月分だ 半分無くなったから一か月分だな」


そういうと何がおかしいのかグリフがヘラヘラと笑う


「あ、ありがとうございます・・・この場合このポーションが高いんですかね? グリフさんのお給料が安いんですかね?」


それにつられてリンファも軽口を叩いて笑う






リンファはポーションを一息に飲み干すと、ゆっくりとその身を起こして拳を握る


「おい、待てよリンファ どうせまだ傷だらけになるつもりなんだろうけど、包帯くらい巻かせろよ」


「ありがとうございます、でもアイツを止めないと・・・!」


「わかってるよ だから待てって言ってんだよ・・・って何だあれ!?」




今にも飛び出していきそうなリンファを引き留めるグリフが不意に空を見て声を上げる



その声に驚いて空を見上げたリンファの目に映った者・・・それは・・・




「ば、蛮龍の・・・群れ・・・!?」



目の前の滅王と同じ鱗と翼を持つ龍が、十重二十重と連なり天空に円を描きながら飛翔する


その縁の中心には滅王・・・かつての仲間である蛮龍




「な、なんだよ・・・あんなでけぇ龍があんなにいるのかよ・・・!」


「ちがう・・・違うよグリフさん」


「な、何が違うっていうんだよ?」




「もう・・・あれだけしかいないんだよ・・・!」



蛮龍の群れが滅王を囲む


それは愛しい者の変わり果てた姿に心を痛める想いと、憎い滅王を恨む気持ちから

けれど何もできない蛮龍たちはうめき声のような咆哮を上げながら空を飛ぶことしかできなかった




わずかに残った仲間の変わり果てた姿に、蛮龍たちはその身を寄せてやることすらできず天を濡らした




その鳴き声が何を言っているのかわからない

けれどリンファは、蛮龍たちの心を感じて涙を流し拳を握った




「グリフさん・・・僕、行きます!」


「・・・一応聞いてやるよ どこに行くって?」




グリフはわかり切った答えを敢えて聞く

少しだけ呆れた顔だったけど、その口元は少しだけ笑っていた







「もう一度・・・あの男・・・神代王に挑んで、蛮龍さんを助けます!」







リンファの目に、青い炎が灯った――――――――



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