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緑の拳士~ゴブリンハーフは魔法が使えない~  作者: ハンドレットエレファント


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295/313

295.選択が迫る

リンファは自らの拳を少しだけ握ると、目の前の巨大な影に目をやった

ガルドや自分の攻撃を歯牙にもかけず、翼の一薙ぎで目に映る全てを消し飛ばすほどの力を持つ生物の頂点である蛮龍



その蛮龍が今もなお自分に頭を下げている

しかも頭を下げてまで頼んできたこと、それは……



「あなたを討て……というんですか? 僕に?」



リンファの言葉に、蛮龍は小さく頷いた


蛮龍の目はあまりに穏やかで、リンファはその姿にも戸惑う

穏やかに自らの死を望み、頭を下げる

自分たちがどんなに立ち向かっても幼子がじゃれつきを構うかの如くたやすくあしらっていたあの龍が!





「上等だ!であれば私が貴様に引導を渡してくれるわぁ!」


「が、ガルド!? やめろ!」



リンファの戸惑いの隙をつくように激高したガルドが叫びながら呪文を詠唱!

多重ではない、只々強大な魔力が練り上げられる


シンプルな殺意と暴力の力が形となったような魔力の塊がガルドから放たれた




『む……』



蛮龍はその放たれた魔力に少しだけ表情を変えると、その巨大な魔力を二本の前脚を腕の様に構える

そしてガルドの殺意の塊を力強く受け止めると、それを一息に握りつぶした!



「な……! 私の全力を……化け物め」

ガクリと膝を落としながらガルドが小さく毒づく



『人間にしては大した力だ、まともに食らえば私とてただで済むまいな』


さっきまでの無言で気怠げな戦いとは大きく違い、蛮龍は静かにガルドに言葉を贈る

まるでさっきまでの自分とは違うとアピールするかのような、少しだけ饒舌な姿を蛮龍は見せた




『だが、貴様に殺されるわけにはいかんのだ 』


そんな蛮龍が静かに、ただ強くその一言を言い放つ



『神代王の力を破壊できる唯一の存在、その小さき緑の者に討たれねば意味がないのだ』



蛮龍の目がリンファに注がれる


「ば、蛮龍さんはあの神代王の力に縛られてるんですね……?」

『そうだ、そしてその力のせいで私の一族はあの男に逆らうことができない』



蛮龍がわずかに目を伏せる

かなしみではなく、こらえきれぬ怒りを必死に抑え込むように感じられた

それを証拠に、その翼からはまるで火山のような煮えたぎる炎がわずかに飛び交っていた




『小さき者よ、貴様はステラーハウルの一族と縁があるな?』


リンファはそういわれて自らの手を見る


「……はい、ステラさんは大事な友達です」


『やはりそうであったか、貴様の技を見た時にハウルの凍気が見えたのでこうして話ができる機会を伺っていた』


リンファ達からすれば全力の戦いのつもりだったが、蛮龍からすれば機会を伺う程度の攻防だった……

そのことに軽いショックを受けながら、リンファは表に出さないように話を続けた



『ハウルと縁あるものがここまで来たというのであれば、何か奴を出し抜く力があると期待していたが……まさかあの力を破壊できるとは思わなかった』



蛮龍がチラリと神代王に目を動かす

神代王は未だに立ち上がることすらできず、小さく呼吸を繰り返すのみ



『頼む、不躾なのは承知だがもう時間がない 奴が目覚める前にこの呪いを私ごと破壊してくれ!』



焦りを隠せず声を荒げる蛮龍にリンファが目を見開く驚く

隠し切れなかった感情に自ら驚く蛮龍だったが、それでももう隠しても無駄だと言わんばかりに取り繕うことをやめた





『頼む……! 奴の力を解除しないまま私が死ねば、一族全ての仲間が死ぬのだ!』


神代王の目に、悲しみと焦りがとうとう宿ってしまう―――




――――――――――――――――



神代王は深い意識の底にあってもなお、リンファからの受けた技のダメージに苦しんでいた

深層意識にすら響く重い技に、神代王は意識を失ってもその傷から逃げることはできなかった




その苦しみに在って、神代王の耳に響く言葉があった



―やっぱり君は下振れた個体だったね―


「き、貴様……!」


―性格は結構好みだったから選別なしせずに使ってみたけど、個体差だけはどうしようもないや―


「ふ、ふざけるな!私はまだやれる! あの大陸は私の物だ!王座は私のものだ!」




―そういう感情、すごく好きなんだけどね わかりやすいし でも君、弱いんだよ―


「ま、待て! まだ終わってない……! 奴らを皆殺しにしてなかったことにすれば満足だろう!?」



―いやー、無理だろう? リセット案件だわ 歴代の神代王に比べて基礎能力が低いうえに、まさか絶対命令の力までハズレ値とはさぁ―


「待て!待ってくれ! 待ってください!!!」



―時間がないからって厳選サボっちゃだめだね、いい勉強になった―




―選びなよ―



「え、選ぶ……まさか!?」




―このまま次の個体に入れ替えるか、それとも最後の手段を選ぶか―


「い、いやだ!どっちもいやだ!」



―どっちかしか選べないって言ってるだろ? 無駄死にするか、暴れて死ぬか 選びなよ―


「い、いやだいやだいやだ!」



―大丈夫だよ、データの引継ぎはするから、君の記憶は残るよ、ハズレ個体君―





―じゃあ、あと3秒ね 早く選びなよ―


「いやだ!やめて!おねがいだから!!」











ゼロ―――――――






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