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緑の拳士~ゴブリンハーフは魔法が使えない~  作者: ハンドレットエレファント


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291/315

291.僕がやるんだ

『僕がやるんだ、僕がコイツを一刻も早く……!』



リンファはそれだけを心に唱えながら神代王と対峙していた

焦っているつもりはなかった


だが、それを忘れてはいけないと心で唱え続けた




神代王の力を無効にできる自分がやるのだ

力を持っている自分がやるのだ

誰も失わない、失わせない


だから僕がやるんだ

リンファはそう心で誓いながら、その小さな拳を握っていた




リンファは焦ってはいない

焦ってはいないと、自分に言い聞かせて―――――





――――――――――――――――――――――――



【八極剛拳 電光箭疾歩】


リンファは即座に踵を返すとまさに雷光の速さで神代王との間合いを殺す


神代王はその拳を全身を覆う防御壁で受け止めるが、リンファの拳が直撃すると同時にその防御壁は崩れ去る



「串刺しになれぇ!」


神代王は砕けて消失していく防御壁の残滓に紛れるように地面に手を置き魔力を一気に放出させる


その魔力に呼応した地面の白い土が鋭い針山の様な隆起を見せ、一気呵成にリンファに襲い掛かる!



「早贄だ! その屍を晒せぇ!」


神代王は針山の魔法を途切れさせることなく連続で再生させながら叫びながら笑う




針山は更に狙った相手をすりつぶさんばかりの勢いで幾重に折り重なっていく


それでもなお詠唱し続ける神代王の頭上から声が響いた



「ハヤニエって言葉の意味はわからないけど、こんなの……効かないよ!」

その声に驚き上空を見上げてしまった神代王の足元から、冷たい声が響く




「僕はここだ」



神代王が見上げようとした刹那に一気に間合いを詰めたリンファが、その懐に潜り込む!


「ひっ―」


神代王が思わず悲鳴にも似た短い声を上げるが、その声を言い切るより早くリンファの体が残像を作る



【八極剛拳 金剛鉄山靠】


金剛石でできた壁すらも粉々に破壊しかない強烈な一撃が神代王の腹部に直撃

大地の魔力と此の世に顕現できないリンファの魔力が呼応し、神代王の魔力に共鳴し爆発を引き起こした



「うがあぁぁ!」


その爆発と共に吹き飛ばされる神代王だったが、リンファはさらに追撃を加える為に跳ぶように踏み込む


「手ごたえが少ない……、まだだ!」


神代王は追撃してくるリンファに焦りと恐怖を隠すことができない

地面に転がりながら体勢を立て直す神代王は胸元を押さえ、青ざめた


「緊急用の防御壁が、あっという間に全て破壊された……まずい……!」


神代王は迫るリンファの足を止める為に強大な防御壁を性懲りもなく展開しながら、魔力の通信で叫ぶ



『蛮龍! い、いつまで遊んでいる! こちらを援護しろ!貴様の役目を果たさんか!』


蛮龍は脳裏に飛び込んでくる神代王のケチな叫びに胡乱な瞳を差し向けると、下らなそうに神代王を見下す




『忘れるなよ蛮龍……! 貴様が私を守らねば眷属がどうなるかをな!』




その言葉に蛮龍の目がわずかに濁り、展開する電撃に揺らぎを生じさせた

ガルドはその揺らぎを感じて、力を振り絞る!



「魔力が乱れたぞトカゲ! 押し切られろ!」


ガルドは魔力を振り絞り展開する電撃魔法の威力を一気に跳ね上げ放出!

魔力の帯が巨大な弾となって、蛮龍の展開する電撃を押しのけながら直撃した


「力比べは私の勝ちだな! 黒焦げになって堕ちるがいい!」


ガルドがわずかに息を切らせながら勝ち誇る

だがガルドは次の瞬間、その光景を目にして身を強張らせてしまった



「そ、そんなことが……」



蛮龍は力負けしたのではなかった、その魔力の放出をやめてガルドの攻撃を敢えて受けた

背中に携えた世界全て覆えそうなほどに大きな二枚の羽を体を包むように前方で交差させ、ガルド渾身の電撃をその翼に纏わせる



まるで自分で魔力を使うのが面倒だったからガルドを力を利用した、それくらいの気軽さで

蛮龍はその翼に蓄えた電撃を、憎しみと倦怠感を込めて……




神代王に向かって撃ち放った!





「け、穢れ!避けろ!逃げろ――!」

ガルドはその攻撃を見て声の限り叫ぶ!






「な……!?」

神代王の防御壁を破壊しようと攻撃を加えていたリンファの視界が真っ白な光に包まれる

まるで太陽が落ちて来たかのような眩い光の塊が稲光のバチバチという音を響かせながらリンファの体を飲み込む



その光は刹那の瞬間に大きくその口を開き、まるで曼殊沙華の様に大量の稲妻を降り注がせた!





「く……このおおおおお!!!」


リンファは必死に魔力の流れを視て、その五月雨の如く降り注ぐ電撃の回避を試みる


電撃の走る音と光、大地の砕ける爆発音、大気の震え、稲妻の明滅――――


入り乱れる魔力、そして音と光に翻弄されながらリンファは必死にその攻撃を捌き続ける!



(僕がやるんだ! 僕が、ここで、あいつを!)




リンファはそれだけを考えながら、必死に体勢を整える


今の神代王の力はロードが話してくれた過去の力、そして以前に目にした力に比べて明らかに力を弱めている

原因はわからないけど、これは好機だ

リンファはここで神代王と刃を交えた時、心からそう思った



アイツの力を絶対に他の人にもう向けさせたりはしない

自分の大事な人をひどい目に合わせたりしたくない


本当は一人で来たかったけど、皆の心が嬉しかったからそれは言わなかった


だから……だから……



「僕が! お前をここで倒すんだ!神代王ーー!!!」



リンファが光の奔流で叫ぶ




けれど――――




「どちらにしようか迷うたが、やはり貴様を追い詰めるならこちらだろうな」



光の外から声がする

その声にリンファは心臓を掴まれたかのように凍り付いた



「や、やめろ……!」

リンファは震えるように小さく叫ぶ



僕がやるんだ、一人でお前とやるんだ

だから、だから手を出すな





光が消えて、二人の影が見えてくる

神代王はアグライアの顔面を鷲掴みにしたまま、ここに来て満面の笑みをリンファに見せた



「やめろおおおおおお!!!!!」






「女、あの下賤なゴブリンハーフを殺せ……【従え】」



リンファの叫び声をかき消すように、神代王の凍てつくような命令が下った――――――――





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