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緑の拳士~ゴブリンハーフは魔法が使えない~  作者: ハンドレットエレファント


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227/258

227.ちょっと何言ってるかわからない

兵士達はゴブリンの群れを分けて戻って来るリンファに歓声を持って出迎えた

皆が口々にリンファの働きを讃え、歓迎の意志を見せる


だがリンファはその兵士達の待つ人間の群れの手前でその足を止める

手を広げ迎えようとする兵士は、動かないリンファをおかしく思いながらも讃える言葉を止めはしない


だがその歓声をかき消すような大音量でリンファは声を上げた



「絶対に動くな! 誰の命令であろうとだ!勝手に動くのは僕が許しません!」

魔導発勁にて大気の魔力を共鳴させて響かせる大声に兵士全員がその目を見開き驚愕

兵士全ての脳を揺らすほどの大きな声に兵士の全員が水を打ったように静かになった



ゴブリンもまたその声に肩を震わせ身動きを止める

何を言っているかはわからなかったが、リンファから立ち上る気迫に圧倒された


両軍で万を超える戦士たちは、リンファただ一名に気圧され、動けなくなる


リンファは人間とゴブリンの軍を睨みつけると、その足を進めた



――――――――――――――――――――――――――――――



「見ていらしたのでしょう? あの旗がたなびいていたのを」

アグライアはその鋭い視線を隠すことなく神代王にぶつけた


「どこまでも座興の邪魔をするか・・・女!」

普段感情を見せようとしない神代王が、隠しきれない怒りを漂わせてアグライアを睨みつける



「全軍!」

ファルネウスがその時、魔力を介し全軍に向けて声を上げる

突然の声に神代王とアグライアはその視線をファルネウスに向けた




「全軍に告げる! 命令があるまで絶対に戦闘行為を行うな! 敵の罠の可能性がある、攻撃を受けても防衛に努めろ、乱戦に持ち込まれるな!」

ファルネウスは全軍に向けて戦闘行為の厳禁を通達


その声を聞いて顔を安堵で綻ばせたアグライアを見て、ファルネウスはわずかに頬を緩ませて小さく手を振る



「何のつもりだ・・・ファルネウス!」

「何を・・・と言われましても神代王、このような想定外の事態に無策で飛び込むのは危険だと判断いたしました」


その言葉に神代王が怒りを露にする



「貴様ぁ!」

「兵士の戦闘指揮を私にお与えになったのは誰であろう、神代王です! 私はその仕事を全うしているのみ!」


怒号を上げる神代王の目をファルネウスは真っ向から睨み返し、反論

両者が睨みあう中、その間をマンダリアンが膝まずきながら恐る恐る声を上げた



「お、恐れながら神代王・・・私もファルネウス卿の考えの方が安全かと愚考いたします 情けないことに私もわが部下も戦況が全く理解できません」

「おのれ・・・臆病風に吹かれおったか! マンダリアン!」

「そ、そのような事は・・・!」


二人を苛立ちながらなじる神代王の前に、わずかに影が落ちる

その影に目をやると、神代王の前にまっすぐな目を向けたアグライアが銀毛の外套をなびかせて立ちはだかっていた



「神代王、この戦いはもうすぐ終わります」

「なんだと・・・?」





「リンファがこの戦いを止めます! そしてあなたの凶行も!」




アグライアの言葉を聞いて神代王は鼻で笑う


「あの穢れの化け物が?この戦いを止めるだと? 魔法すら使えぬ異形の化け物風情に何ができる!?」


猛る神代王の前に、アグライアはそっと何かを差し出す

それはボロボロの布・・・かつての空にたなびいていた頃の面影など微塵も残っていない無様な布切れ


「・・・なんだそれは」

「見ていらっしゃったのでしょう? 神代王」



ゆっくりとその布を広げて見せるアグライア

そこに刻まれていたであろう文字は血と泥に塗れ、もはや見る影はなかった


そう、それは・・・



「貴方が嘲るリンファの力で私は今あなたの前に立ってます・・・ この旗を破り去ってくれたのはあの子です!」



その旗は神代王がアグライアの命に括りつけた忌まわしい旗

その旗の残骸を高らかに見せつけてアグライアは神代王に吠えたのだ





「調子に乗るなよ!女ぁ!」



その言葉に我を忘れた神代王は怒りに任せてその右手をアグライアに伸ばす!



「いかん! に、逃げろ!リリー!」

その動きを見て神代王の殺意を感じたファルネウスが叫ぶ




「この愚か者があぁ!」



ファルネウスの叫びもむなしく神代王の右手は力を宿し、アグライアの首を掴もうとする

それは神代王が持つ絶対の力、どんな生命体であろうとその命を奪う言葉

その力と言葉を注ぎ込むための右手がアグライアに今まさに襲い掛かる!




だがアグライアは逃げない

恐怖に震えながら、その足は動かさない

動けないのではない、動かさなかったのだ





【不敬である】




神代王の右手がそれを掴み、渾身の呪いの言葉が注がれる

掴む手から注がれていくその力を感じながら神代王は醜く顔を歪ませて笑いを浮かべた



だが、それを見て神代王は目を見開く

掴んだその手は、ワナワナと震えた


その手は神から授かった最強無比のチート能力だったはずなのに

自分の楽しみを邪魔する生意気な女を始末したはずの右手だったはずなのに





そいつには効かなかった






アグライアに到達する寸前、その右手はリンファの左手に阻まれていた

魔法すら使えない穢れた異形の化け物には通用しなかったのだ




「貴様!離せ!どけ!【不敬である】【不敬である】【不敬である】!!!!」



固まったアプリにイラつきながらキーボードを叩くように、神代王が何度もその命令を発する

だが目の前の異形の穢れはその目を大きく見開いて生気と怒気を漲らせて神代王を睨み続けていた



「り、リンファ! 大丈夫か!?怪我は!?」

「大丈夫です、アグライアさんが足止めしてくれたおかげで間に合いました・・・ありがとう!」



心配するアグライアに笑顔で応えるリンファ

そしてすぐに神代王に視線を戻し、その目を睨みつけた



「不敬・・・?」

「く・・・この・・・!?」




「ごめんなさい、どういう意味なのかわからないです」




リンファはそういうとその手を突き放し、神代王の足元に伸びる影に向けて強くその足を踏み込んだ!



踏み込んだ足はリンファの顕現できない魔力を神代王の影に潜む者に共振し爆発させる

突如襲い掛かってきたリンファの魔力の奔流に耐え切れなくなった影に潜む者は悲鳴を上げながら地上に打ち上げられた




「ぎゃあああ!」

上空に吊り上げられたようにその身を弾き飛ばす黒衣の男

その手には瘴気を漂わせたナイフが携えられていた



のたうちながら上空に跳んだ男を見ながらリンファはため息をついた



「ミアズマさん、あなたも懲りないですね」

「ひっ・・・ひい・・・!」



いつの間にか神代王の影に移りリンファの命を狙っていたミアズマに、リンファはそっと拳を構える

上昇限界を迎え落下していくミアズマは眼下で待ち構えるリンファに情けなく悲鳴を上げた





【八極剛拳 青龍掌底】



「くぷぇ」

ミアズマの顔面が衝撃で歪み、もう一度吹き飛ばされる

リンファはその一撃を撃ち込んだのち即座にその構えを解き、神代王に体を向けた



神代王は腰に差した華美な剣を抜き放ち、リンファに向ける

リンファはそれを見てもなお構えようともせず、言った






「この戦いはもうお終いです」と――――――


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