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緑の拳士~ゴブリンハーフは魔法が使えない~  作者: ハンドレットエレファント


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218/258

218.髑髏の奥で


リンファの一撃は、全ての敵を即座に無力化した


撃ち込む一撃でゾンビは人の亡骸に戻り大地に眠る

蹴りこむ一撃で鉱石兵のコアは砕ける

断ち切る一撃で闇の口は地面の染みとなる



踏み込む一撃で大地は爆発し、飛び込む一撃は音を置き去りにする

リンファに迫る大量の敵はその間合いに入った瞬間にその動きを止め、リンファを一歩たりとも後退させることはできなかった




それどころか大量に迫る敵は、リンファ一人に押し返されていく

迫る敵が連携を取れるような集まりではなかったこともあるが、もはやこうなってくるとどんなに多くとも烏合の衆に過ぎない

リンファの技は、打ち込むごとに冴え、踏み込むほどに鋭くなっていく



リンファは迫る化け物の大群を一歩たりとも自分より先には進ませなかった

その後方に居るステラとアグライアに、チリの一つすらも近づけぬ覚悟で迫る敵の全てを撃ち払い無力化していった



そして敵の数が半分ほどになったとき、変化が起きる


リンファが鉱石兵を撃ち込もうとした瞬間、その肩から腰に掛けて一本の線が走る

それに気づいたリンファが即座にバックステップすると同時に鋭い斬撃が鉱石兵ごとリンファの居た地面を鋭く切り裂いた




「リーフ……!」

リンファが髑髏を埋め込んだ漆黒の甲冑を着こんだリーフに構えを作る


「リンファ……、いや……貴様は……」

リーフは一瞬身を沈めると倒れこむ様に体を一気に前傾し、そのままの勢いで刀を抜き放つ!


【北天一刀流 雷鳴一閃】



稲光よりも速く感じるほどの横薙ぎの斬撃がリンファの体を切り裂くが、その切り裂いたリンファまるで霧の様に消え失せる


その瞬間リーフの鍔元に深く踏みこんだリンファの肘が撃ち込まれ、リーフはそれを柄頭で撃ち落とす

撃ち落とされる瞬間にその勢いにそのまま体をゆだね、その場で一回転しながらバックハンドブローを叩き込んだ!


鈍い音が辺りに響き、二人はその身をぶつけながら睨みつける

リンファの裏拳をリーフはその甲冑の肩で受け止めてながら、髑髏の眼窩の奥から赤い目で睨みつける


「貴様は殺す……、貴様も、人間も、そして……!」

リーフがリンファの拳を強引に押し返しながら刀を持ち替えて斬撃の構えを作る


「悪いけど……それはさせない!」

リーフが力を込めてリンファを弾き飛ばし、切り裂く

だがその瞬間リンファはその横薙ぎの刃の腹を蹴り地面に叩き落した


いや、リーフはその斬撃が捌かれるとわかった瞬間その刀を手から離し、リンファに掴みかかる

その掴みかかる手をリンファは手の甲で払い、そのまま肘を極めて投げ飛ばした!


ふき飛ぶリーフの着地点に合わせ、リンファは大きくその足を踏みこむ!

【八極剛拳 地烈爆震脚 響】


冥力に侵された大地の奥深くに眠るまだ無事な魔力が残る大地がリンファの爆震脚に反応し爆発!




着地の瞬間に割れる大地に虚を突かれたのか、間欠泉の様に爆発する地面を避けるように大きくリーフは間合いを離した


「あれをかわすか……やっぱり強いな……リーフは」


震脚の打ち込みから流れるように構えを作るリンファに対し、頭を抱えるように身を縮めるリーフ

その手はフルフェイスの兜に刻まれた髑髏を撫でるように、あるい引っ掻くようにその手を這わす


「くそぉ……くそぉ……貴様のせいで……貴様のせいで……!」



リーフがその髑髏を押さえながら呪詛の様にリンファに向かって呟き、瘴気を放つ


その瘴気に反応して闇の口が再び沸き上がり、さっきまで統率を失っていた鉱石兵がリーフの配下にでもなったかのように列をなす

異変はそれだけではなかった


「そ、そんな……!?」


呪殺士の呪縛から離れたはずの兵士の亡骸が、ビクビクと動き出す

まだ立ち上がる者はいなかったが、体を持ち上げようと必死にもがきだす



動きだそうとする亡骸をみてステラが恐ろしいほどの唸り声をあげ、怒りを露にする

アグライアは動きだそうとする亡骸たちをみて、リンファに叫ぶ


「ゾンビ化だ! 冥力が濃くなりすぎて亡骸の魔力が変質していってる!」



ゾンビ化はもともと死した者の魔力が大地などの冥力に侵され変質し動き出す現象

呪殺士はそれを任意で引き起こすことができるが、そもそもが冥力が強ければ死体が変容する


未だ噴きだすレッドゴーレムの冥力とリーフが発する冥力が辺りの死体をゾンビへと変えようとしていたのだ





瘴気を漲らせながらリーフが吠える

「リンファ……貴様だけは私の手で殺さないとならんのだ! いや……お前だけでなく……アイツも……」



まるでむき身の刃……殺意の塊となったリーフが構えることすらせずにリンファに迫る

その手に呼応するように不気味な黒い刀身の太刀がまるで生き物の様に浮き上がりリーフに掴まれた



殺意のみで迫るリーフとその大群……リンファは話し合う余裕はないと見て拳を握る



「リーフ……君相手だと手加減なんてできない、何があったのかわからないけど全力で行かせてもらう!」




リンファは覚悟を決めて低く構え、飛び込む体勢を作る

リーフは刀をだらりと下げたまま、頭を片手で押さえたままゆっくりと迫り、その後方には闇の口と鉱石兵が群れを成す




お互いの間合いが徐々に詰まる


大地が響き、炎が燃える

そしてその触刃の瞬間





リンファは踏み込む足を止め、自らの右側面に掌底を叩き込んだ!




何もない空間に激突音が響き、何かが砕ける音がする

その音が鳴りやむとともに、赤い破片がバラバラと地面に撒き散りその巨大な何かが姿を現す



『な、何故分かった……化け物め……!』

「見え見えですよ、おまけに遅い」



リンファの掌底はその巨大な人形の腹部に炸裂し、大きなヒビができる

だが人形はそれでも動きを止めず、リンファとリーフの間に割って入った





「レッドゴーレム……アバカスか 邪魔をするな、コイツは俺の手で殺さねばならんのだ」

『ふ、ふざけるなよソード……! お前がどんな考えだろうと戦争中は指揮官の命令に従ってもらうぞ!』



アバカスの操るレッドゴーレムを押しのけてリンファに襲い掛かろうとするリーフを必死に押さえ込む

リンファに背中を向けてでもアバカスは必死にリーフの戦いを止めようとしていた




リンファはそれすらも相手の策である可能性を捨てず、わずかに距離を取って構えを取り直した




「戦争だと……? これがか? 何を血迷ったこと言っているんだアバカス!」

『血迷ってるのは貴様だ!ソード!』



レッドゴーレムはリンファに向かって振り返ると、その両腕を振りかざし高らかに叫んだ


『ゴブリンハーフ! 貴様の相手は俺だ!』


その叫びにリンファは無言で構えながら、レッドゴーレムを睨みつける



「いい加減にしろアバカス……! 私はコイツを殺すためならこんな木偶人形ごと貴様を斬るぞ……!」

『お前はこのまま人間の本拠地へ進め!時間がないんだ!』


アバカスはリーフの言葉にひるむこともなく必死の声で訴える

そのあまりの焦り具合に目の前で構えていたリンファがわずかにたじろぐほどだった



アバカスは背中越しにリーフに告げる




「クイーンが……敵の本拠地に本隊を引き連れて進軍した! 私も他のレッドゴーレムを全て動員している! 頼む、行ってくれ……!」



その言葉にリーフ、リンファの眼が大きく見開く


リーフはその言葉を聞いて少しだけ立ち尽くすと、自分で自分の頭を殴りつけ、そして我に返ったかのように頭を振ると太刀を鞘に納めた


「……わかった、鉱石兵と闇の口は置いていく 私もすぐに向かうからそれまで本隊の指揮は頼んだぞ」

リーフはそういうと納刀したままレッドゴーレムの脇を抜け、リンファの眼前に歩き進む


あまりに大胆な動きだったが、リンファは構えを作ったままリーフを警戒


隙を見せればお互いの命を簡単奪えるほどの間合いで、二人は睨みあう


そしてリーフは視線を外すと、ゆらりとリンファの傍を通り抜けた



「貴様の首はこの俺が刎ねる……その首を洗って待っていろ」

「待て! 行かせるわけには……!」


リンファが視線をリーフに向けたその一瞬、アバカスの操るレッドゴーレムの拳が襲い掛かる!

その拳をいなすと逸れた打撃で大地が砕け、地響きが巻き起こる



「くっ……! 邪魔をするなあ!」

即座にリーフに視線を向けるが、そこにはもう誰もいない……

リンファは少しだけ歯を食いしばるとアバカスを睨みつけながら構えを向けた




『貴様を街に……クイーン様の元に行かせるわけにはいかんのでな! ここでそこの人間と一緒に死んでもらうぞ!』

レッドゴーレムが吠え、闇の口達がそれに呼応して吠える

その叫びと共に撃ち込み傷つけたはずの腹部のヒビが跡形も消えていく!


「今・・・アグライアさんたちも殺すって言ったのか・・・!?」


リンファはその叫びに負けない程の声で吠える!



「そんなことはさせない!お前を倒して押し通る!!」




炎渦巻く戦場の真っただ中でリンファとアバカスが対峙した――――



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