第三十壱話:秦国の科挙試験 後編の3(序)
【科挙武官試験:第三試験】
頭の痛い第二試験も終わり、次なる第三試験が始まりを迎える。
選抜されし10名の精鋭――英布、季布、龍且、彭越、灌嬰、樊噲、周勃、田横、曹参、王陵――は、次なる試練である第三試験(指揮試験)に臨むため、訓練場の中央に集結していた。
訓練場の周囲には、秦の龍を象った旗が風に翻り、馬の嘶きと金属の擦れる音が響き合う。観客席には試験官や衛兵が詰めかけ、厳粛な空気が漂っていた。
この試験に通れば、立身出世は約束される!
その思いが、受験者たちに一層の覚悟をさせた。
第一試験の武術、第二試験の戦術立案を勝ち抜いた彼らは、すでに任官が確定しているが、第三試験の結果次第で左庶長、右庶長、場合によっては駟車庶長という異例の官位が約束されている。
この試験は、秦の軍を未来に導く真の将才を選ぶ最終関門であり、過酷さと栄誉が共存する試練だった。
一方、始皇帝・嬴政(佐藤誠)はこの日、咸陽の宮殿で匈奴統一のための北辺支援要請案件、新たな統治制度の設計に追われ、試験会場には姿を見せていなかった。
誠は韓信に試験の全権を委ね、結果の報告を待つことにしていた。
【第三試験:指揮試験の概要】
韓信が設計した第三試験は、受験者に小部隊(秦の精兵100人)を指揮させ、模擬戦で受験者同士を戦わせる指揮試験である。部下の統率力、臨機応変な指示、戦況把握の能力が評価され、勝利した受験者が第四試験に進出する。
試験のルールと評価基準は以下の通り。
模擬戦の形式:受験者10名を5組に分け、模擬戦を5試合行う。
要するに模擬戦に一回勝てば第三試験は合格である。
各受験者は秦の精兵100人を率い、広く設定された模擬戦場(丘陵、林、川、岩場の模した地形)で戦う。
刃引きの武器を使用し、戦闘不能、降伏、または試験官の判定で勝敗が決まる。
勝利条件:相手の受験者を戦闘不能(模擬的な「致命傷」判定)、降伏、または部隊の7割以上(70人以上)を無力化することで勝利。受験者本人の戦闘不能や降伏も敗北条件。
評価基準:
統率力:部下への明確な指示と士気維持。100人という中隊規模の部隊を効果的に動かす能力。
戦況把握:地形や敵の動きを読み、適切な戦術を展開する能力。
臨機応変さ:突発的な状況(状況変化、部下のミス、敵の奇襲)への対応力。
被害最小化:自軍の損失を抑えつつ、敵に最大の打撃を与える戦略。
特記事項:
勝利者は第四試験(危機対応試験)に進出。敗者は任官されるが、官位は左庶長以下に限定。
試験は過酷で、不慮の事故による死亡リスクがあるため、辞退や途中離脱は許可されるが、その判断も評価の一部となる。
無駄な殺傷や不慮の事故と認められない死亡者を出した者は即失格。
模擬戦場は、丘陵や林、川、岩場を模した障害物が広範囲に配置され、中規模な部隊戦を再現。試験官(韓信と秦の高位武官)が戦況を監視し、精兵の報告や戦術に評価を下す。
勝利が評価の中心だが、負けた場合でも戦術の巧妙さや統率力が高ければ高評価を得る可能性がある。
ただし、第四試験進出には勝利が必須条件である。
勝敗は兵家の常ではあるが、やはり勝利という結果は軍を指揮する者にもっとも求められるものである故に当然な措置といえる。
【試験開始:韓信の演説】
試験開始前、韓信は訓練場の中央に設けられた高台に立ち、10名の受験者を見渡し、全体に向けて言葉を放つ。
「韓信である。第三試験は、諸君の将としての真価を試す場だ。武勇も知略も、部下を率い、戦場で勝利を掴むためにある。諸君に与えられた精兵は、秦の誇る優秀な戦士、100名である。この部隊を見事に統率し、相対する者を打ち破れれば。第三試験は合格とする。勝利が秦の未来を担う将才の証となる。しかし、この試験は不慮の事故で命を落とす可能性もある。覚悟のない者は辞退を認めるゆえ、遠慮なく申し出よ! それでは、諸君の奮闘を期待する!」
韓信の声は、訓練場に力強く響き、受験者たちの闘志を掻き立てた。
そう言われて、辞退する者がいるわけもなかった。
訓練場の砂塵が朝の光に舞い、受験者同士の熾烈なバトルの予感が空気を張り詰めさせた。
韓信は高台から降り、試験官たちに試合の組み合わせを指示。
受験者たちは試験官達からくじを渡され、それを引いた。
そして、対戦相手が決まり、その組み合わせが発表された。
英布 対 周勃
季布 対 曹参
龍且 対 王陵
彭越 対 田横
灌嬰 対 樊噲
受験者は互いに相手を確認し、それぞれの思いが交錯する。
くじ引きによる組み合わせ発表が行われ、各受験者の胸中には、様々な思いが募り、葛藤もあったが、今は目の前の相手に勝つ!
やがてそれだけに意識は集中されて行った。
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第三試験後半に続く!
第三試験長すぎて分割します。
バトル展開はすぐに冗長になる……。
うまく紡げてるか不安ですが、頑張ります!




