双子の絆
松葉と濡烏はゼオラに向かっていった。八咫烏の里の烏を戦闘不能にしたゼオラは、何事も無かったように平然と立っている。
「妖というのは人間が居ないと生きられない弱い存在だ。無様に負けるのがお似合いだね。」
ゼオラの剣は細く光っていた。
「それで、妖でも怪でもないどっちつかずの君がここを守る意味は無いと思うんだけどね。」
ゼオラが指を鳴らすと、空から岩の雨が降りそそいだ。八咫烏の里の家屋は潰れていく。
「松葉、いけるか?」
松葉は頷き、団扇を持った。そして突風を起こし、岩を飛ばしていった。
戦いの中で松葉が思い出していたのは、双子の弟である一八の姿だった。自分と似た境遇でありながら、一八は明るかった。今は現世に居るそうだが、元気にしているだろうか。いつか再び会える日は来るのだろうか。
松葉はその日まで死ぬ訳にはいかない。違う道を辿っていようと、心は一つだ。いつか何処かで同じ場所に辿り着くだろう。
「進む道が違っても、同じ場所に辿り着くって信じている。だから、それまで負けない!」
松葉は団扇を持ち、周囲の怪を吹き飛ばした。
濡烏はその様子を戦いながら見守っていた。かつて濡烏は、鬼以外の存在は皆格下だと思い込んでいた。ところが、『獄炎の輩』の元締めである蘇芳はそうではないと言う。蘇芳は冥界や現世に自ら赴き、様々な存在と関わっていた。同族の死がありながらも、異種族を憎まなかった。蘇芳なら怪が他の種族と関わり合える世界を造れるかもしれない。濡烏はそう信じ、蘇芳と同じ事をしている。
「あいつは、鬼以外の奴らを知りたかっただけなのかもな…」
そして濡烏は松葉の背後に立った。
「いつかお前の弟にも会わせろよ。」
「はい!」
今、松葉は濡烏の背中を預けられている。今目の前に居ない一八の為にも、そして八咫烏の里の為にも松葉は負ける訳にはいかない。松葉は刀を握り締めた。




