見果てぬ夢
家に着いた律花は、部屋で何か考えていた。ゾフィー達が現れた時、真由が駆け付けてくれなかったらどうなっていただろう。これから何が起こるか分からないのに両親を頼っていいのだろうか。
「律花も俺もまだ子供なんだから、親を頼っていいだろ。」
「そうなんだけどさ、このままでいいのかな…」
律花はコウモリの姿になった一八を手に乗せていた。
「またいつゾフィー達と会ったら、立ち向かえるのかな…」
律花は心細くなった。
「家族を頼れるだけ、俺は有難いと思うけどな。」
「そういえば、一八君の家族って何処に居るの?」
「さぁ、元気にしてるだろうとしか言えないな。」
双子の姉松葉は八咫烏の里で修行していると以前話していたが、両親の話は聞いていない。妖と怪の混血とは聞いていたが、肝心の親の話を一八はしたがらなかった。
それから、律花が眠ると夢の中で奇跡と会った。
「また会ったね。」
「夢の中でならいつでも会えるもんね。」
「私にはまだ、世界を、みんなを救う覚悟がないんだって。」
奇跡は夢の中で戦っていたらしく、羽織が汚れている。それでも奇跡は止まらなかった。
「私は人間じゃないから運命が既に決まってるんだよね。だから、それに向かって突き進むしかないんだ。」
「それで、誰かを守る為に人知れず戦い続けるっていうの?」
「そうだよ?」
奇跡の目は何かを強く訴えていた。
「私は誰にも知られずに夢を守り続けなければならない。それを悲しいと感じる人も居るだろうけど、この世界は誰かの犠牲で成り立っている。それは本当だから、仕方ないよ。」
奇跡は律花と同級生のはずだ。だが、明らかな差がある。その一つが戦いに向ける覚悟だった。
「自分を犠牲にするぐらいの覚悟か…」
次に律花が目覚めた時、隣に一八が居た。
「私達は出来る事をやらないとね。」
律花は一八を連れて外に出た。今日は学校だったが、怪達は構わず現れる。大切なものを守る為、律花は人知れず戦わなければならなかった。




